報道発表資料
「プラスチック資源循環戦略」(令和元年5月31日決定)に基づくプラスチック資源循環システムの構築のため、従来型の化石由来プラスチックの利用を段階的に改め、バイオマス・生分解性プラスチック等の再生可能資源へ転換を図っていくとともに、従来リサイクルが困難であったプラスチック等素材に対するリサイクル技術・システムの高度化を図る必要があります。
この度、「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」について、委託事業と補助事業の公募を行い、申請書類による事前審査及び有識者で構成される評価審査委員会における審査の結果、採択した事業についてお知らせいたします。
この度、「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」について、委託事業と補助事業の公募を行い、申請書類による事前審査及び有識者で構成される評価審査委員会における審査の結果、採択した事業についてお知らせいたします。
1.「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」の公募概要
環境省では、低炭素社会及び循環型社会構築に資するプラスチック資源循環システム構築の加速化を図るため、従来型のプラスチック利用を段階的に改めることとし、化石資源由来のプラスチックを代替する再生可能資源由来のバイオプラスチック等への転換を推進しています。
また、従来リサイクルが困難であったプラスチック等素材に対するリサイクル技術・システムの高度化を図り、プラスチック資源循環システム全体でのエネルギー起源CO2排出の抑制を目的とした以下の事業を行います。
① 石油由来プラスチックの代替素材である再生可能資源への転換及び社会実装化に係る技術実証事業
② プラスチック等のリサイクルプロセス構築・省CO2化に係る技術実証事業
2.選定結果
本事業の公募に対し、60件(委託事業30件、補助事業30件)の応募があり、申請書類による事前審査及び有識者で構成される評価審査委員会による審査を行った結果、以下29件(委託事業15件、補助事業14件)の事業について選定しました。
(委託事業15件)
事業者名(五十音順) | 事業名 | 事業の概要 |
---|---|---|
①石油由来プラスチックの代替素材である再生可能資源への転換及び社会実装化に係る技術実証事業 | ||
王子ホールディングス株式会社 | 非可食バイオマスを活用した国産バイオマスプラスチック製造実証事業 | パルプを原料として、バイオポリエチレン、ポリ乳酸の製造についての技術課題の解決を図るとともに、ベンチプラントによる量産プロセスの実証、リサイクル性の評価、CO2排出量の削減効果を検証し、国産バイオプラスチックの製造実証を行う。 |
国立大学法人大阪大学大学院工学研究科 | オールバイオマスプラからなる耐衝撃性樹脂の開発と用途展開 | トチュウが産出するエラストマー(トチュウエラストマー、EuTPI)に着目し、ポリ乳酸にEuTPIを少量ブレンドすることでABS樹脂に匹敵する耐衝撃性を付与する。オールバイオマスプラブレンドの耐衝撃性等の物性を実用レベルに引き上げるための実証を行う。 |
国立大学法人大阪大学大学院薬学研究科 | 光活性化二酸化塩素を用いた機能改質によるPLAブレンドフィルムの製造 | 光活性化二酸化塩素を用いた新規樹脂改質技術により、ポリ乳酸(PLA)とポリヒドロキシアルカン酸(PHA)などの他樹脂とのブレンドを実現し、オールバイオマス機能性フィルムの実用化に係る技術開発及びビジネスモデル構築に向けた実証を行う。 |
公益財団法人京都高度技術研究所 | PHA系バイオプラスチックのライフサイクル実証事業 | 国産バイオマスによるバイオプラスチック製造及びその特性を活かしたごみ処理システムの確立に向け、京都市をフィールドに「廃食用油等からのPHBH製造」及び「PHBHのごみ袋等への利用とバイオガス化」に関する実証を行い、ライフサイクルでの環境改善効果を明らかにする。 |
国立大学法人京都大学 | 京都プロセスで製造したアセチル化セルロースナノファイバー強化バイオPEの社会実装評価 | 自動車用樹脂材料のバイオプラスチックへの代替を目指し、自動車用エアコンケースにおいて、バイオポリエチレン樹脂に高強度セルロースナノファイバーを充填することで樹脂の強化を図るとともに、CO2排出量の削減効果を検証するための実証を行う。 |
Green Earth Institute株式会社 | 植物由来で生分解性を備えた高吸水性ポリマーの製造実証事業 | 高吸水性ポリマーについて、バイオマス由来で生分解性を有する高吸水性ポリマー製造に係るCO2を吸収する新規発酵技術についての菌体の改良、培養・反応、精製等の最適化、ポリマー化条件検討、スケールアップ等の技術の実証を行う。 |
学校法人慶應義塾 | バイオポリエチレン家具3Dプリント製造実証事業 | 3Dプリンティング可能なバイオポリエチレン素材の開発及び製造方法等の検討により、リサイクル可能な家具の大型3Dプリンタでの製造の実証を行う。 |
株式会社ダイセル | バイオマスからC4化成品製造に関する実証事業 | バイオマス由来エリスリトール(原料廃グリセロール)からC4化成品へ転換する際の触媒の改良及びC4化成品から得られた樹脂の物性評価を実施し、これまで石油を原料として製造されていたC4化成品をバイオマスから製造する技術実証を行う。 |
トクラス株式会社 | セルロースフィラーによる化石資源由来プラスチック使用量の削減 | ポリプロピレン樹脂の一部を木粉等のセルロースフィラーへ置き換えた材料について、流動性、難燃性、バイオマス原料の品質評価等の課題解決に係る実証を行う。 |
トヨタ車体株式会社 | パルプ、バイオプラスチックを用いた部品適用検討 | パルプやバイオプラスチック(ポリ乳酸等)を用いた吸音材等の自動車部品について、物性評価等を通じて石油由来のプラスチック製部品を植物由来に置き換える技術実証行う。 |
日本電気株式会社 | 電子機器および住宅設備(インテリア)製品への多糖類系高機能バイオプラスチックの適用とリサイクルシステムの実証事業 | 非可食バイオマスから得られる天然多糖類(セルロースやパラミロンなど)を用いて、高機能バイオプラスチックを開発し、電子機器や住宅インテリア製品への適用を実証するとともに、そのマテリアルフロー把握や劣化予測を含めたリサイクルシステムを構築し、その有効性について実証を行う。 |
パナソニック株式会社 | バイオ由来素材を複合した再生樹脂の適用技術実証 | バイオ由来素材であるセルロースファイバーを廃家電等由来の再生樹脂に複合させ、再度、家電部品に適応することを目指す。再生による物性低下を回復・強化する樹脂複合工程及びバイオ素材複合樹脂の高精度選別工程の実証を行う。また、適応商品の拡大検討と、セルロース含有樹脂のリサイクルシステムへの影響評価も行う。 |
北陸テクノ株式会社 | プラスチック代替「バイオマス高機能次世代発泡硬化体材料」の開発 | 主に建築資材として流通する硬質ウレタンフォーム代替となり、もみ殻由来のシリカ灰を主原料とした「ジオポリマー発泡硬化体」を創製し、試験製造品評価、炉改造評価等に係る実証を行う。 |
三井化学株式会社 | バイオポリプロピレン実証事業 | バイオマス原料の発酵をキー反応とした独自の製造方法による、バイオポリプロピレンの工業レベルでの製造実証試験に取り組む。食品残渣や非可食を含めた多様なバイオマス原料を使用し、原料残渣を発電に用いたサステイナブルな製造方法の確立をするとともに、CO2排出量の削減効果を検証する実証を行う。 |
三菱ケミカル株式会社 | 生分解かつバイオマス由来新規プラスチックの農業用フィルム等開発および実用化実証事業 | エネルギー起源CO2排出を抑えつつ、農業生産を安定・向上させる新しい社会システムの普及を目指す。生分解かつバイオマス由来のプラスチックを改良し、その分解を制御する方法を作り上げ、廃棄処理が要らない農業用フィルムをより多くの作物や地域に拡大するための実用化実証を行う。 |
(補助事業14件)
事業者名(五十音順) | 事業名 | 事業の概要 |
---|---|---|
①石油由来プラスチックの代替素材である再生可能資源への転換及び社会実装化に係る技術実証事業 | ||
株式会社カネカ | PHA系バイオプラスチックのライフサイクル実証に向けた設備補助事業 | 生分解性ポリマーPHBHは植物油を原料に微生物により発酵製造され、高い生分解性を有する素材であるが、本事業では廃食用油を原料としたPHBH製生ごみ袋をバイオガス化プラントで利用する実証検討を行う。 |
株式会社環境経営総合研究所 | 紙パウダーと生分解樹脂の混成技術・製品によるコスト競争力のある使い捨てプラスチック製品の代替実証事業 | 本事業では石油由来樹脂に紙の微細パウダーを重量比で51%以上混錬させることで石油由来樹脂の使用量削減を実現するとともに、生分解性樹脂と紙パウダーの混錬も並行で進めることを目指し、当該製品の開発・製品化のための実証を行う。 |
株式会社事業革新パートナーズ | 植物由来ヘミセルロースを活用したバイオマス含有PMMAへの転換及び社会実装化に係る技術実証事業 | ヘミセルロース(植物細胞壁を構成する多糖類)は優れた物性を有する素材である。本事業では、石油由来PMMAを、このヘミセルロースを活用した「バイオマス含有PMMA」に代替することを目指し、普及に向けた課題(物性・コスト)解決のための実証を行う。 |
株式会社ティーエヌ製作所 | 古紙粉・PLAカウンタープレッシャー射出成形システム及びリサイクル実証事業 | カウンタープレッシャー構造を搭載した古紙粉とポリ乳酸の配膳トレイ射出成形金型を設計製作、離型技術を搭載した専用射出成形機と周辺機器を導入し連続加工システムを構築、使用後の廃棄製品を安定して粉砕できるシステムを開発し、リペレットサイクルについて実証を行う。 |
東罐興業株式会社 | プラスチック製被せ蓋の紙化によるCO2削減実証事業 | 本事業はプラスチック製飲料用被せ蓋を、紙を主体とする構成に変更し、廃プラスチックの減少、CO2排出量の削減に貢献することを目的としている。課題である篏合や漏れを克服し、速度アップ、検査、集積の省人化でコストダウンを計り、紙製被せ蓋の製造実証を行う。 |
日清食品ホールディングス株式会社 | バイオマスPE等による食品容器包装のバイオ化に向けた加工技術開発実証事業 | 食品容器包装における石油由来プラスチックの削減及びCO2排出量の削減を図るために、製品のバイオ化に向けた加工技術実証を行う。 |
株式会社バイオマスレジン南魚沼 | 資源米を原料に含むバイオマスプラスチック樹脂の量産化及びその他未利用バイオマスの樹脂化のための技術実証事業 | 廃棄米や食品加工残渣、木材加工残渣などの未利用バイオマスを樹脂化するための設備を高度化することで、品質の向上とコスト削減のための実証を行い、石油由来プラスチックと競争力のある低炭素バイオマスプラスチックの製造実証を行う。 |
フタムラ化学株式会社 | イオン液体法によるセルロース不織布製造の実証事業 |
世界に先駆けてイオン液体によるセルロース溶解技術を用いて不織布の量産化技術を確立する。 実証事業では製造プロセスの内、特にイオン液体のリサイクル率の向上を主とした実証を行う。 |
株式会社平和化学工業所 | バイオマスプラスチック等代替素材の用途拡大に向けた高品質ボトル開発 | バイオマスプラスチックの中には特有の臭気成分を含んでいるものがあり、食品調味料・飲料・化粧品等への使用には課題がある。本事業では臭気成分を含むプラスチックをガスバリア性樹脂でラミネートする技術を確立し、樹脂臭が内容物に転移しないボトルの製造実証を行う。 |
レンゴー株式会社 | セルロース粒子によるマイクロプラスチックビーズの代替 | 世界的な海洋汚染の一因となっているマイクロプラスチックビーズの代替素材として、自然環境中(土中、淡水・海水中)で生分解するセルロース粒子の普及を図る。パルプの溶解工程及びセルロース粒子の小粒径化工程で、生産性向上、品種の多様化、低コスト化を図るための実証を行う。 |
②プラスチック等のリサイクルプロセス構築・省CO2化に係る技術実証事業 | ||
環境エネルギー株式会社 | 各種廃プラスチック油化によるケミカルリサイクル実証事業 | 本事業では各種廃プラスチックについて、触媒を使用した接触分解により油化を行い、石油精製会社がケミカルリサイクル原料として使用することを目指し、実証を行う。 |
株式会社リーテム | 小型家電等リサイクル工程で発生する混合プラスチックの効率的選別とバリューチェーン構築・商品化の実証 | 浮沈選別と静電分離を組み合わせて最適化することで、小型家電由来の混合プラスチックを樹脂種類毎に高品位選別し、製品価値の高い再生プラスチックを需要先に安定供給する資源循環体制を構築するための実証を行う。 |
株式会社リコー | 樹脂判別ハンディーセンサーの創製及びこれを用いた樹脂リサイクル促進事業 | 流通量のおよそ3/4に達する汎用樹脂(7種程度)について、その樹脂種を判別する作業者の補助具を活用し、リサイクルの作業現場における効率化及びリサイクルプロセス全体の高度化を目指すための実証を行う。 |
ワタミ株式会社 | 宅配弁当容器の自主回収リサイクルシステム並びに再生品活用プロセスの構築事業 | 食品容器包装プラスチックのリサイクルプロセスの構築と省CO2化を実現するために、宅配弁当容器の自主回収ルートを構築するとともに、ケミカルリサイクル手法の確実性について実証を行う。 |
連絡先
環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室
- 代表03-3581-3351
- 直通03-5501-3153
- 室長冨安 健一郎(内線 6831)
- 室長補佐泉 知行(内線 7889)
- 室長補佐畠中 太陽(内線 6822)
- 担当藤木 駿(内線 6805)