報道発表資料
この共同命令の改正は、昨年8月に大阪市からの帯水層蓄熱利用の普及に向けた国家戦略特区の規制緩和提案を受け、自治体がリスク管理のための措置を講ずる場合に、実証試験等を通じて地盤沈下等が生じないことが確認された建築物用地下水の採取に関する特例措置を実現するため、現行の技術的基準の緩和を行うものです。
1.背景
地下水の過剰採取は地盤沈下の原因となることから、建築物用地下水の採取の規制に関する法律(昭和37法律第100号)の政令で定める指定地域においては、冷暖房の用に供する地下水の採取が規制されています。
一方、近年、地球温暖化対策に寄与すると期待される地下水の熱を利用した新たな空調システムとして、帯水層から被圧地下水を採取して熱利用した後、採取した地下水の全量を同一の帯水層に還元する帯水層蓄熱技術の実証試験が行われ、地盤沈下を抑制しつつ、同技術の活用が可能であることが確認されたことから、自治体がリスク管理のための措置を講ずる場合に、実証試験を通じて地盤沈下等が生じないことが確認された帯水層蓄熱技術に対して、地下水の採取に関する特例措置を設けることとしました。
2.緩和の内容
国家戦略特別区域会議が特定事業として、帯水層蓄熱型冷暖房事業を定めた区域計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、次に掲げる要件の全てを満たすと都道府県知事(指定都市の区域内にあっては、指定都市の長。)が認めるものについて、建築物用地下水の採取の規制に関する法律施行規則(昭和37年建設省令第22号)第二条中「別記のとおり」とある技術的基準を「ストレーナーの位置は、内閣総理大臣の認定を申請する際に実施した実証試験で被圧地下水を揚水及び還水した帯水層の範囲内とし、かつ、揚水機の吐出口の断面積は、当該試験において用いた揚水設備の吐出口の断面積以下」に緩和します。
3.緩和の要件
(1)事業を実施する場所は、連続する敷地で一体的に開発を行う区域とし、かつ、連続した地層構成及び同一の土質を有すること。
(2)事業を実施する場所における土質に係る測定結果(揚水を行う帯水層に接する粘性土層の載荷に対する圧密量の測定結果を含む。)により、当該粘性土層が過圧密の状態にあり、かつ、揚水時の圧密圧力が圧密降伏応力に対して十分に小さいと認められること。
(3)事業を実施する場所において、季節に応じた地下水や地盤への影響を把握するために十分な期間、当該事業と同程度の規模で被圧地下水を採取し、その全量を同一の帯水層へ還元する実証試験を実施した結果、当該場所及びその周辺において、地下水位、地盤高、地下水の水質及び間隙水圧に著しい変化が認められないこと。
(4)前述の実証試験から得られる情報及び当該設備の運用時に想定される熱負荷に基づいて実施される地下水の温度変化に係るシミュレーション(実測値が再現できるものに限る。)により得られる情報から、地下水の温度に著しい変化が認められないと想定されること。
(5)揚水設備の維持管理及び緊急時の対応に関する計画の策定、揚水設備の試運転の実施、事業の実施期間中におけるモニタリングの実施及び当該モニタリングから得られる情報の都道府県知事への報告、緊急時の都道府県知事への報告その他の地盤沈下の防止等の観点から必要な措置を講じられていること。
添付資料
- 環境省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る省令の特例に関する措置を定める命令の一部を改正する命令 [PDF 179 KB]
- 国家戦略特別区域における帯水層蓄熱技術を活用した冷暖房について [PDF 217 KB]
連絡先
環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室
- 代表03-3581-3351
- 直通03-5521-8308
- 室長堀上 勝(内線 6590)
- 室長補佐羽澤 敏行(内線 6605)
- 担当黒沼 覚(内線 7629)