報道発表資料

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1997年06月20日

流域赤土流出防止等対策事業費について

本日、官房長官より沖縄特別振興対策調査費の配分について発表があり、環境庁 から要求(農水省、林野庁、建設省と共同要求)していた流域赤土流出防止等対策事業費に6千万円配分された。         
  1. 概要

     沖縄においては、赤土の流出により自然環境に悪影響が生じ、社会問題化している。この赤土の流出は、沖縄特有の気候風土に加え、各種開発の進行等複合的原因によるものであり、その解決に当たっては、各要因に対応した対策を総合的に実施する必要がある。
     このため、沖縄県、関係省庁等関係者の密接な連携の下、赤土の流出の実態・防止対策の現状を調査するとともに、発生源対策から除去対策に至るまで、今後実施すべき対策のあり方について検討・整理を行うこととしている。これを踏まえ、事業者、住民等に対する普及活動を行うことにより、赤土流出防止対策の実施を促進するとともに、地域の環境保全意識の高揚につなげる。
     
  2. 今後の予定

     沖縄特別振興対策調整費を活用して、沖縄県、関係省庁、学識経験者等からなる流域赤土対策検討委員会を設置し、流域赤土流出防止等対策について検討整理を行い、年度末を目途にとりまとめを行う予定。

流域赤土流出防止等対策事業
  1. 事業の内容

    {1} 赤土流出状況の把握
     沖縄県において、赤土流出の現状・流出原因・原因防止対策の実態について、現地調査及び既存の調査結果の整理を行う。

    {2} 流域赤土流出防止等対策の検討・整理
     現在実施されている各個別分野における流出防止等対策について、発生源から流下抑制、除去対策まで、効果の検証も含め、流域全体を視野に入れた総合的な対策として再検討するとともに、今後実施すべき新たな対策の在り方について検討する。
     (対策例)
     ○発生源対策
      ・開発工事現場における赤土流出の抑制
      ・農地、自然崩壊地等における赤土流出の抑制
     
     ○流下抑制対策
      ・河川域における赤土流下の抑制
      ・植栽による赤土流下の抑制
     
     ○拡散防止・除去・有効利用対策
     
    {3} 今後行うべき対策の整理
     {1}、{2}を踏まえ、総合的な流域赤土流出防止等対策及び特定の地域において講じていく必要がある対策(赤土流出防止マスタープラン)についてとりまとめる。
     また、とりまとめた対策について、事業者・住民に広く普及活動を行う。
     
  2. 事業の進め方
     
     関係省庁、沖縄県関係部局、有識者、市民団体等を構成メンバーとする検討委員会を設置しその下で関係省庁が協力して調査・検討を進める。
     (赤土流出状況の把握、検討委員会の運営、全体のとりまとめは環境庁が、各対策の効果の分析・整理等は各省庁(環境、農水、林野、建設)が担当する。)

『赤土対策の現状』

  1. 赤土流出の原因
     
    1950年度以降のパイン畑の造成
    1972年度以降の大規模な土地改良事業、圃場整備等鋸の公共事業、ゴルフ場等のリクリエーション施設、米軍演習場の建設
     
  2. 赤土流出による被害
     
    水質汚濁、水域生態系への悪影響(珊瑚礁の死滅)
    水産業関連被害(もずく、車海老等養殖魚の死亡、収穫物の減少)
    観光業関連被害(ビーチの一時的閉鎖、マリンレジャーの中止)
    水道水源被害
     
    赤土による被害は本島以外に久米島、石垣島及び西表島等の離島においても発生しており、現在でも流出は続いている。
     
  3. 沖縄県の取り組み
     
    昭和61年より「沖縄県赤土等流出防止対策協議会」を設置
    平成6年10月「赤土等流出防止条例の制定」
    平成8年9月に沖縄県がとりまとめた「沖縄振興開発の課題と展望」においても「快適で安全な県土づくりと豊かな環境の創出」として赤土流出防止対策を位置づけている。
連絡先
環境庁水質保全局水質管理課
課長  :南川 秀樹 (6630)
 課長補佐:安東  隆 (6637)
 担当  :中島 恵理 (6632)