報道発表資料

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2008年12月25日
  • 再生循環

産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成19年度)について(お知らせ)

 環境省では、毎年度、全国の都道府県及び政令市(以下「都道府県等」という。)の協力を得て、産業廃棄物の不法投棄や不適正処理事案について、(1)新たに確認された不法投棄事案の状況(フロー)及び(2)年度末時点の不法投棄及び不適正処理(以下、「不法投棄等」という。)事案の残存量等(ストック)について調査し、公表しています。今回、この2つについて、平成19年度に係る調査結果を取りまとめましたので、お知らせします。
 結果の概要は次のとおりです。

(1)
平成19年度に新たに発覚した不法投棄事案の件数は382件(前年554件、▲172件)不法投棄量は10.2万トン(同13.1万トン、▲2.9万トン)でした。
(2)
平成19年度末における不法投棄等の残存件数は2,753件(前年2,774件、▲21件)、残存量の合計は1,633.7万トン(同1,565.3万トン、+68.4万トン)でした。

1 平成19年度に発覚した産業廃棄物の不法投棄事案

 この調査は、以下の[1]及び[2]の両方に該当する事案で、平成19年度(平成19年4月1日~平成20年3月31日の間)に新たに発覚したものを対象としています。ただし、硫酸ピッチ事案、フェロシルト事案については、本調査の対象から除外しています。

[1]
 廃棄物処理法に規定する産業廃棄物であって、同法第16条に違反して不法投棄 されたと報告のあったもの。
[2]
 1件当たりの投棄量が10トン以上と報告のあったもの。ただし、特別管理産業廃棄物を含む事案については、10トン未満と報告のあったものも含めてすべて対象とします。

1-1 不法投棄事案の件数及び投棄量

 平成19年度に新たに発覚した不法投棄の件数は382件、不法投棄量は10.2万トンでした。
(「1. 不法投棄件数及び投棄量」、「(参考1)不法投棄件数・投棄量(都道府県・政令市別、平成19年度)」及び「(参考2)不法投棄件数・投棄量の推移(都道府県別、平成10~平成19年度)」参照)

1-2 大規模な事案の状況

(1)
 投棄量5,000トン以上の大規模事案は2件で、全体の投棄件数(382件)の0.5%となっています。
(2)
 この大規模事案2件の投棄量の合計は3.9万トンで、全体の投棄量(10.2万トン)の37.9%を占めます。
 (「2. 規模別不法投棄件数」、「3. 規模別不法投棄量」及び「(参考3)平成19年度大規模事案の概要」参照)

1-3 実行者別の状況

(1)
 不法投棄の実行者の内訳を見ると、件数では、排出事業者が193件(50.5%)、実行者不明が100件(26.2%)、無許可の産廃処理業者(無許可業者)が57件(14.9%)、産業廃棄物許可業者(許可業者)が21件(5.5%)となっています。
(2)
 投棄量では、許可業者が3.1万トン(30.6%)、排出事業者が2.4万トン(23.7%)、無許可業者が2.3万トン(22.4%)、実行者不明が2.0万トン(19.8%)、複数によるものが0.4万トン(3.4%)となっています。
 (「4. 不法投棄実行者の内訳」参照)

1-4 不法投棄廃棄物の種類

(1)
 不法投棄された廃棄物の種類は、件数で見ると、建設系廃棄物が290件(がれき191件、建設混合廃棄物54件、建設系木くず36件等)と多く、全体(382件)の75.9%を占めています。
(2)
 投棄量で見ると、建設系廃棄物が8.0万トン(がれき5.8万トン、建設混合廃棄物1.7万トン、木くず0.4万トン等)と多く、全体(10.2万トン)の79.0%を占めています。
 (「5-1. 不法投棄廃棄物の種類」及び「5-2. 不法投棄廃棄物の種類」参照)

1-5 生活環境保全上の支障除去等の状況

 平成19年度に新たに確認された不法投棄事案のうち、当該年度(平成19年度)中に支障除去等に着手されたものは、全不法投棄件数382件のうち281件(73.6%)でした。
 また、新たに確認された不法投棄事案のうち、生活環境保全上の支障又はそのおそれのある事案は36件、そのうち当該年度(平成19年度)中に支障除去等に着手されたものは23件(63.9%)でした。
  (「6-1. 不法投棄事案への対応状況(平成19年度新規発覚事案)」、「6-2.生活環境保全上の支障等がある事案の支障除去等の状況」、「6-3.支障除去等の状況」、「7-1. 支障の除去未着手の産業廃棄物の種類」及び「7-2. 支障の除去未着手の産業廃棄物の種類」参照)

(参考)平成19年度に発覚した産業廃棄物の不適正処理事案について

 産業廃棄物の不適正処理事案(廃棄物処理法第12条第1項又は第12条の2第1項違反の事案) については、平成15年度から調査を実施していますが、不法投棄事案の調査と不適正処理事 案の調査とではスタート時点が大きく異なったことから経年的な比較が難しいため、残存量 等調査の中で不法投棄事案と併せて記載しています。

2 平成19年度末の時点で残存している産業廃棄物の不法投棄等事案(以下、「残存事案」という。)

 この調査は、以下の[1]及び[2]の両方に該当する事案で、平成19年度末(平成20年3月31日)時点で残存しているものを対象としています(硫酸ピッチ事案、フェロシルト事案を除く)。

[1]
 廃棄物処理法に規定する産業廃棄物であって、同法第12条第1項に規定する産業廃棄物処理基準若しくは第12条の2第1項に規定する特別管理産業廃棄物処理基準に適合しない処分(不適正処理)が行われたもの、又は同法第16条に違反して投棄(不法投棄)されたと報告のあったもの。
[2]
 1件当たりの残存量が平成20年3月31日(平成19年度末)時点で10トン以上と報告のあったもの。ただし、特別管理産業廃棄物を含む事案については10トン未満と報告のあったものを含めてすべて対象とします。

2-1 平成19年度末における不法投棄等事案の残存件数及び残存量

 平成19年度末における不法投棄等の残存件数は2,753件、残存量の合計は1,633.7万トンでした。
 (「8. 規模別の残存件数と残存量(平成19年度末時点)」、「(参考4)不法投棄等の残存件数及び残存量(都道府県・政令市別、平成19年度末時点)」及び「(参考5)不法投棄等の残存件数及び残存量(市町村別、平成19年度末時点)」参照)

2-2 大規模な事案の状況

 5,000トン以上の残存事案は330件(全体の12.0%)、残存量は1,495.2万トン(同 91.5%)となっています。
 (「8. 規模別の残存件数と残存量(平成19年度末時点)」参照)

2-3 実行者別の状況

 残存事案の実行者の内訳を見ると、残存件数では、排出事業者によるものが1,071件(38.9%)、無許可業者によるものが664件(24.1%)、実行者不明のものが662件(24.0%)と多くなっています。
 残存量では、許可業者によるものが870.9万トン(53.3%)、無許可業者によるものが391.4万トン(24.0%)、排出事業者によるものが174.1万トン(10.7%)と多くなっています。
 (「9. 不法投棄等の実行者(平成19年度末時点)」参照」)

2-4 不法投棄等廃棄物の種類

 残存事案の廃棄物の種類を見ると、残存件数では建設系廃棄物が1,941件と全体の70.5%を占め、残存量では1,061.7万トンと全体の65.0%を占めます。
 (「10-1. 不法投棄等された廃棄物の種類別残存件数と残存量(平成19年度末時点)」及び「10-2. 不法投棄等された廃棄物の種類別残存件数と残存量(平成19年度末時点)」参照)

2-5 発覚時期別の状況

 残存事案の発覚時期の内訳を見ると、件数では、平成19年度に発覚したものが335件(12.2%)、平成18年度に発覚したものが301件(10.9%)、平成17年度に発覚したものが285件(10.4%)と多くなっています。
 また、残存量では、平成10年度に発覚したものが329.9万トン(20.2%)、平成11年度に発覚したものが285.2万トン(17.5%)、平成5年度に発覚したものが167.3万トン(10.2%)と多くなっています。
 (「11-1. 不法投棄等事案の発覚時期別残存件数と残存量(平成19年度末時点)」及び「11-2. 不法投棄等事案の発覚時期別残存件数と残存量(平成19年度末時点)」参照)

2-6 生活環境保全上の支障除去等の状況

 残存事案のうち、現に生活環境保全上の支障又はそのおそれがある事案(357件、924.8万トン)については、生活環境保全上の支障の除去等を行うため、原因者等に対して措置命令が発出されたものは70件(679.5万トン)あり、このうち12件(296.3万トン)については行政代執行が行われています。また、措置命令は発出されていないものは287件(245.3万トン)ありますが、このうち244件(238.4万トン)については行政指導等の対応がなされているなど、対策が進められています。
 (「12. 不法投棄等事案への対応状況(平成19年度末時点)」参照」)

(注)
不法投棄等事案については、その一義的な責任が投棄者及び不適正な委託をした排出事業者等にあることから、生活環境保全上の支障の除去については、これらの原因者等により行われることが基本ですが、原因者等が不明又は資力がないなどの理由により、行政代執行が行われる場合があります。

2-7 不法投棄等の開始時期と支障の状況(残存事案)

 平成19年度末時点における全残存事案のうち平成10年5月以前に行われたものは 253件で全件数の9.2%となっています。そのうち生活環境保全上の支障又はそのおそれがある事案は83件で全件数の3.0%です。
 また、平成10年6月以降に行われた残存事案の件数は1,221件で、全件数の 44.4%となっています。そのうち生活環境保全上の支障又はそのおそれがある事案は123件で全件数の4.5%です。
 (「13.不法投棄等の開始時期と支障の状況(残存事案)(平成19年度末時点)」参照)

3 環境省の取組み

 不法投棄等の不適正処分に係る対策として種々の施策が講じられてきており、新規発覚事案の件数及び投棄量は減少してきています。また、これら新規発覚事案については、7割程度について支障の除去等に着手され又は措置が完了しています。しかしながら、5,000トン以上の大規模な不法投棄事案も2件と数は少なくなったものの、未だに発覚しており、不法投棄事案の撲滅までには至っていません。
 残存事案については、生活環境保全上の支障又はそのおそれがあるものから順次支障の除去等の措置が講じられており、平成19年度中に前年度末時点で残存していた事案のうち4百弱の事案についての措置が完了しました。一方、平成19年度に新たに発覚した6百数十件の不法投棄等の事案については、半分程度については当該年度内に支障の除去等の措置を完了しているものの、支障の除去等の措置が完了していない事案が残存事案として追加されるため、残存量も含めて残存件数がほとんど変化していない状況となっています。

 環境省においては、これまでも不法投棄等を防止するために、数次の廃棄物処理法の改正により不法投棄の罰則強化、マニフェスト制度の強化、排出事業者の責任強化、不法投棄目的罰の創設等を行ってきたところです。一方で、昨今の資源価格の急激な変動に伴い、今後、資源の循環が滞って不法投棄等の不適正な処分が増加するのではないかとの懸念もあることから、引き続き、全国ごみ不法投棄撲滅運動の展開による監視活動の強化やエコアラームネットを活用した早期発見・早期対応等の取組により、地方環境事務所が拠点となって都道府県等と緊密に連携し、大規模事案を中心に新規に発覚される事案を減少させるよう、早期発見による未然防止及び早期対応による拡大防止の取組を一層推進します。
 また、生活環境保全上の支障又はそのおそれがある残存事案の支障の除去等の措置については、平成10年6月16日以前に行為のあった事案は、特定産業廃棄物支障の除去等特別措置法に基づき国からの補助等の支援により実施しており、これまでに11事案について同法に基づく大臣同意がなされています。一方、平成10年6月17日以降に行為のあった事案については、産業界からの出えんをいただき、国からの補助も加えて設けた産業廃棄物適正処理推進基金により、都道府県等の代執行経費の支援を行っており、平成19年度末までに70事案の支援を行いました。
 今後も引き続き、産業界の協力を得てこれら取組を実施します。

添付資料

連絡先
環境省環境省廃棄物・リサイクル対策部
適正処理・不法投棄対策室
直通:03-5501-3157
室長:荒木 真一(内線 6881)
室長補佐:冨田 悟(内線 6896)
担当:日浦憲太郎(内線 6883)
担当:松野 一郎(内線 6883)

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