報道発表資料
会合では、地球規模の環境問題について議論を行い、①その概要は議長国カナダにより議長総括として発出されるとともに、②G7の海洋プラスチックごみ問題に対する今後の取組をまとめた「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」をG7として採択しました。
1.今次会合の主な成果
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中川雅治環境大臣がカナダに出張し、G7環境大臣会合(19日)、G7環境・海洋・エネルギー大臣による共同海洋会合(20日)及び関連のサイドイベント(18日及び20日)に出席。
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中川環境大臣は、G7各国及び招聘国と、気候変動、循環経済と資源効率性、適応と自然保護(以上、19日)及び海洋プラスチックごみ(20日)を中心に議論を行い、これらの地球規模の環境問題等に対し、引き続き各国が結束・連携し、積極的に取り組む姿勢を確認。
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議長国カナダが、議論の内容をまとめた議長総括を、環境大臣会合及び共同海洋会合のそれぞれにつき発出。
- 共同海洋会合の成果として、G7の海洋プラスチックごみ問題に対する今後の取組をまとめた、「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」(添付)を採択。
- 中川環境大臣は、G7各国等と個別に会談を行い、来年6月のG20日本開催に向けた連携を確認。
2.開催概要
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日 時:平成30年9月18日(火)~20日(木)
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18日:サイドイベント「持続可能なファイナンスに関する円卓会議」
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19日:G7環境大臣会合
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20日:G7環境・海洋・エネルギー大臣による共同海洋会合
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同 :サイドイベント「G7インスピレーションエキスポ」
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21日:G7エネルギー大臣会合(※関係省庁が出席)
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場 所:カナダ・ハリファックス
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参加国:G7各国(日、米、仏、独、英、伊、加(議長国))、EU
- 招聘国:ジャマイカ、ケニア、マーシャル諸島、ナウル、ノルウェー、セーシェル、ベトナム
3.環境大臣会合(19日)
中川環境大臣は、①低炭素経済への長期的な経済移行、②循環経済と資源効率性、③緊急の行動と削減機会、④適応と自然保護を議題とする4つのセッションにおいて、G7各国の大臣等と気候変動、資源循環、適応など、幅広い環境分野の課題について議論を実施した。会合での中川環境大臣の主な発言は以下の通り。
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①・③: 気候変動については、環境と経済成長との好循環を実現する好機としてG7が世界の脱炭素化を牽引することが重要であり、我が国としても脱炭素化に向けた骨太な長期戦略を創り上げていく。
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②: 資源循環については、先進事例の共有を国内外で進めることが重要であり、我が国としては世界循環経済フォーラム(10月22日~23日、横浜)の機会等を活用してこれを積極的に推進する。
- ④: 適応については、科学的な知見に基づく適応策の立案・実施を推進しつつ、生態系を基盤とする適応に関するアプローチについて、自然生態系の多様な機能等を評価し、活用することが重要である。
各国からは、それぞれの議題につき、自国が抱える優先度の高い課題や、それらへの政策アプローチなどの紹介があったほか、これらの地球規模の環境課題に対処するために、G7が結束・連携し、民間企業や非政府組織等とよく連携しながら、引き続きリーダーシップを示していく必要があること等の発言があり、G7各国の認識の共有がなされた。
本会合の取りまとめとして、議長国のカナダは以下の議長総括を発出した。
<環境大臣会合(19日)の議長総括(概要・仮訳)>
G7各国の環境大臣は、9月19日、ハリファックスにおいて、健全な地球と持続可能な経済発展の関連について、気候変動に関する緊急行動の実施、持続可能なファイナンスの促進、資源効率経済の推進、気候変動の適応及び自然保護に焦点を当てて議論を行った。ジェンダー平等及び女性や若者が果たすリーダーシップの役割についても議論された。議論には、ジャマイカ、ケニア、マーシャル諸島、ナウル、ノルウェー、セーシェル及びベトナムの代表のほか、国際機関、産業界及び若者の代表も参加した。
(1)低炭素経済への長期的な経済移行
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多くの大臣は、持続可能、気候レジリエントで炭素中立的な未来に向けて、2030アジェンダの下の持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定を実施するために、野心的な行動を通じて世界的な取組を追求する重要性を強調。
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十分な水準での炭素汚染の価格付けや、グリーン・ファイナンス・タクソノミー(分類法)の開発、気候変動関連の財務リスクの開示などの市場ベースの政策が、健全な投資や各国の長期目標に向けた解決策を促進することも強調。
(2)循環経済と資源効率性
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G7大臣は、循環経済への移行は海洋ごみ問題に取り組む上でも重要であることを強調。この点において、設計段階から始まるプラスチックのライフサイクルに沿ったプラスチック廃棄物への取組を重要な課題として強調。
- G7大臣は、G7とG20、特にイノベーションについてのビジネスとの協働を含む資源効率性に関するG7アライアンスとG20資源効率性対話を通じた継続的な対話及びベストプラクティスの共有を奨励。富山物質循環フレームワーク及びボローニャ・ロードマップの継続的な実施に係るG7各国の進捗を歓迎。
(3)緊急行動と削減機会
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多くの大臣は、パリ協定が不可逆的であることを強く強調し、その完全かつ効果的な実施へのコミットメントを再確認し、パリ協定に合致するCOP24におけるパリ協定の作業計画の完了を支持。タラノア対話は、世界的な排出ギャップに対処するための全体としての取組を評価し、更新された各国の削減目標(NDC)の準備状況を知らせるための重要な機会として強調。
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G7大臣は、大気質が健康及び環境上の最も大きなリスクの1つであることを強調し、優良事例や教訓の共有等を通じて、大気質への取組を約束。
- また、多くの大臣は、大気汚染物質や短寿命気候汚染物質に焦点を絞った取組が、気候、人の健康、経済及び生態系に複合的な便益をもたらすことを強調。
(4)適応と自然保護
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多くの大臣は、生態系を基盤とするアプローチや自然に基づく解決策も、効果的な適応の選択肢として特定。
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一部の大臣は、世界適応ネットワークなどのプログラムを通じたものも含め、脆弱な地域社会における能力構築のさらなる支援の必要性を強調。
- 一部の大臣は、2019年のフランス議長下のG7が生物多様性に焦点を当てることを歓迎し、生物多様性条約下での今後の議論を通じた生物多様性の損失を反転させるための努力を強化することに同意。
4.環境・海洋・エネルギー大臣による共同海洋会合(20日)
中川大臣は、共同海洋会合のうち「プラスチック及び海洋ごみ」を議題とするセッションに参加し、G7の各国大臣等と海洋プラスチックごみ問題を中心に議論を実施した。会合での中川環境大臣の主な発言は以下の通り。
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海洋プラスチックごみ対策は喫緊の課題であり、途上国を含め世界全体で取り組む必要がある。
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我が国では、海洋プラスチック憲章の内容を取り込み、またそれを上回るよう、来年6月のG20までに「プラスチック資源循環戦略」を策定する。
- 来年のG20日本開催では、G7各国が結束し、G20の枠組みで実効性のある取組を議論する。
各国からは、①海洋プラスチックごみ対策に世界全体で取り組む必要があること、②各国はプラスチックの管理に関するイノベーションを促進する政策を講じる必要があること、③2019年の日本のG20議長下におけるリーダーシップに期待すること等の発言があり、G7各国の認識の共有がなされた。
本会合の取りまとめとして、議長国のカナダは以下の議長総括を発出した。また、G7各国は、海洋プラスチックごみ問題への対処のために、プラスチックの管理に関する革新的かつ拡張可能な技術又は社会の解決策を促進するための今後の取組をまとめた「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」を採択した。
<共同海洋会合(20日)の議長総括(概要・仮訳、関係部分抜粋)>
G7各国の環境・海洋・エネルギー大臣は、9月20日、ハリファックスにおいて、健全な海洋及びレジリエントな沿岸コミュニティというテーマのもと議論を行った。議論には、ジャマイカ、ケニア、マーシャル諸島、ナウル、ノルウェー、セーシェル及びベトナムの代表のほか、国際機関、産業界及び若者の代表も参加した。
プラスチック及び海洋ごみ
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G7大臣は、海洋プラスチックごみ問題が喫緊の課題であり、対策を講ずることの重要性を強調。多くの大臣がプラスチックごみの海洋への蓄積が増えていることに言及。
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G7大臣は、富山物質循環フレームワーク、資源効率化のためのG7ボローニャ・ロードマップ及び海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画を含む海洋ごみ及びプラスチックについての現在までの進捗を歓迎し、これらのコミットメントの迅速な実施を継続することにコミット。G7大臣は、資源効率性のためのG7アライアンスに、プラスチックのライフサイクルの優先分野における対策とパートナーシップを探求するよう要求。
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G7大臣は、プラスチックの管理に係るライフサイクル・アプローチを早急に講ずる必要性に同意し、国内外の取組を進めていることを強調。この点において、プラスチック憲章を実施する意志を示唆した何人かの大臣が同憲章に言及。G7大臣は、海洋プラスチックごみ問題についてG20での更なる取組を歓迎。別の代表団は、すべてのG7国が同憲章を承認した訳でないことに言及。
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G7大臣は、研究とイノベーションは、優先度の高い主要分野であり、プラスチック使用及び管理に関する革新的な技術又は社会のイノベーションを含む拡張可能な解決策を促進するため「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」を開始することに合意。
- G7大臣は、プラスチック廃棄物の削減のためには、あらゆるレベルでの政府、産業界、市民社会、女性、子ども及び若者を含む、全ての人による行動が必須であることを強調。
- G7大臣は、特にリサイクルのための能力構築及び廃棄物管理のインフラに重点を置いて、海洋環境へのプラスチック廃棄物の流出を防止するためのリーダーシップを取っている開発途上国への支援を継続し、強化することを強調。
5.二国間会談
(1)米ウィーラー環境保護庁(EPA)長官代行
米国環境保護庁のウィーラー長官代行と会談を行い、パリ協定脱退表明が残念であることを伝え、日米が連携して気候変動対策に取り組むことを再確認した。また、海洋プラスチックごみ問題に対する対策の方向性について、積極的に意見交換を行った。さらに、大気汚染防止対策など、二国間の協力分野における今後の連携等について意見交換を行った。
(2)その他
仏ポワルソン環境連帯移行省副大臣、独シュルツェ環境・自然保護・建設・原子炉安全大臣、伊コスタ環境・国土・海洋保全大臣、加マッケナ環境・気候変動大臣、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)エスピノーサ事務局長と個別に会談を実施し、G20日本開催に向けた今後の取組等について意見交換を行い、連携を確認した。
6.その他
本会合のサイドイベントである「持続可能なファイナンスに関する円卓会議」(18日)に中川大臣が出席し、我が国において本年7月に提言を取りまとめたESG金融懇談会の動きなど、グリーン・ファイナンスに関する取組を紹介し、今後も積極的に取り組んでいきたい旨発言を行った。
また、中川大臣は、同じくサイドイベントである「G7インスピレーションエキスポ」(20日)に参加し、海洋プラスチックごみ問題に関する我が国の取組や考えを世界に発信した。
これらのイベントには、我が国から以下の専門家を推薦・派遣し、議論等に貢献いただいた。
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国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問 末吉竹二郎氏(18日)
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公益財団法人笹川平和財団研究員 塩入同氏(20日)
【成果文書】
①海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ(英語本文)
➁環境大臣会合(19日)の議長総括(英語本文)
PDF版: https://g7.gc.ca/wp-content/uploads/2018/09/ChairsSummary_Env_19092018.pdf
③共同海洋会合(20日)の議長総括(英語本文)
PDF版: https://g7.gc.ca/wp-content/uploads/2018/09/ChairsSummary_Joint_20092018.pdf
※資料①~③の全文仮訳については確定次第、追って掲載させていただきます。
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局国際連携課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8243
課長 福島 健彦(内線:6760)
企画官 伊藤 史雄(内線:7771)
課長補佐 福井 陽一(内線:6747)
係長 加藤 大祐(内線:6753)
担当 佐藤有紀江(内線:7791)