報道発表資料
環境庁は、宇都宮都市計画真岡インターチェンジ周辺土地区画整理事業の環境影響評価書について、環境影響評価法第22条第2項の規定に基づき、建設大臣より環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成11年8月13日付けで、同大臣に対し、大気保全対策、水質保全対策及びオオタカの保全対策等に関する環境庁長官意見を提出した。
【環境庁長官意見】
当該土地区画整理事業は、宇都宮テクノポリス開発計画において、本地区内を通過する北関東自動車道の沿線開発を推進する拠点地区に位置付けられ、その主な土地利用が産業・業務用地であることや、近接する地域において希少種であるオオタカの営巣が確認されていることを勘案し、本事業の環境影響評価書について下記の意見を述べるものである。
本意見に基づき、事業者への指導を徹底していただきたい。
記
1.大気環境関係
(1) | 真岡市の浮遊粒子状物質濃度が環境基準の上限値に近い水準にあることから、大気環境の「浮遊粒子状物質」について環境影響評価項目として設定し、調査、予測及び評価を行い、適切な保全対策を図ること。 |
(2) |
事業区域周辺においては、現在、浮遊粒子状物質濃度が大気環境基準の上限値に近い水準で推移しており、かつ、周辺の多くの地点で、道路交通騒音に係る環境基準が未達成である。また、将来、事業区域内を複数の幹線道路が通過する計画となっており、それに伴う環境負荷の増大が予想されることから、以下の大気、騒音対策が講じられるよう適切な措置を講じること。 また、その措置の内容について具体的に評価書に記載すること。
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2.水環境関係
(1) | 本事業の主な土地利用が産業・業務用地であることから、排水の処理は重要であり、供用時の水質汚濁に関し、その負荷量を見積もりつつ、立地企業等において適切な保全対策が講じられるよう措置を講ずること。 |
(2) | 本事業においては、事業面積が広く工事期間が長期に及び、また、事業現場が河川に近接していること等に鑑み、「工事中の雨水排水の濁り」についても環境影響評価項目として設定し、調査、予測及び評価を行い適切な保全対策を図ること。 |
(3) | 「工事中の雨水排水の濁り」について、適切に事後監視を行うこと。 |
(4) | 上記(1)~(3)について、評価書に記載すること。 |
3.自然保護関係
(1) |
事業地区に隣接する地域においてオオタカの営巣が確認され、行動圏の一部が当該地区に重なっていることから、事業の実施に当たっては、以下に掲げる対策を講じ、その生息環境の保全に配慮すること。 また、これらの措置の具体的な内容について評価書に記載すること。
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(2) | オオタカの営巣等生息に影響が生じないよう工事工程等に十分な配慮を行う旨を、環境保全対策にも追記すること。 |
(3) | 評価書に記載されていない、別途に実施したオオタカに関する調査の概要(調査主体、調査期間、調査内容等)について、密猟等のおそれのない範囲で、評価書に追記すること。 |
(4) | 貴重種の移植に当たっては、調査・検討を事前に十分行い、保全のための対策や移植後のモニタリング調査についても確実に行い、生息状況の悪化があった場合は、適切な対策を講じること。 また、これらの措置の内容について具体的に評価書に記載するとともに、モニタリング調査の結果について、その公表の方法を評価書に記載すること。 |
4.環境負荷関係
本事業の主な土地利用が産業・業務用地であることから、廃棄物の処理は重要であり、供用時の廃棄物に関し、その廃棄物量を見積もりつつ、立地企業等において適切な保全対策が講じられるよう措置を講じること。 また、これらについて評価書に記載すること。
5.その他
下記の事項について、評価書を追加、修正すべきである。
- 準備書に対する都道府県知事の意見及びそれについての事業者(都市計画決定権者)の見解を追記すること(法第21条第2項第3号、4号)
- 環境影響評価結果について、調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果を環境影響評価項目ごとに取りまとめること(法第14条第1項第7号イ)
- 環境影響評価結果について、対象事業に係る環境影響の総合的な評価を追記すること(法第14条第1項第7号ニ)
- 委託先の氏名及び住所を追記すること(法第14条第1項第8号)
添付資料
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境影響審査室
室 長 :小林 正明(6231)
審査官 :澤山 秀尚(6232)