報道発表資料

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2018年07月17日
  • 水・土壌

東日本大震災に係る海洋環境モニタリング調査 平成29年度調査結果について

 環境省は、東日本大震災を受け、平成23年度から毎年度、被災地における海洋環境モニタリング調査を実施しています。本調査は、震災に伴い流出した化学物質及び廃棄物並びに福島第一原子力発電所から漏出した放射性物質に起因して海洋環境中で汚染が生じる可能性のある項目について、その現状及び経年変化を把握することを目的としています。
 今般、東日本大震災に係る海洋環境モニタリング調査検討会での検討結果を踏まえ、平成29年度の調査結果について、以下のとおり取りまとめました。

1. モニタリング調査(別紙1の1.1、別紙2の4.1参照)

 堆積物中の化学物質及び放射性物質の経年変化の把握を主たる目的として、宮城県及び福島県の4測線において「モニタリング調査」を実施しました(調査期間:平成29年10月27日~11月1日)。

 環境基準又は暫定除去基準が設定されている項目(ポリ塩化ビフェニル(PCB)及びダイオキシン類)は、いずれも基準値等より1桁以上低い値でした。

 多環芳香族炭化水素(PAH)の濃度は、過年度調査結果と比較して概ね同程度でした。

 臭素系難燃剤の濃度は、いずれの測点においても過年度の調査結果の範囲内でした。

 有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)のうちPFOSの濃度は、いずれの調査測点においても過年度調査結果の範囲内でした。PFOAについては、一部の測点において、過年度調査より高い値が検出されましたが、類似調査と比較すると、当該結果は類似調査結果の範囲内でした。

 放射性物質の検出範囲は、セシウム134で検出限界値未満~26 Bq/kg(dry)、セシウム137で1.2~210 Bq/kg(dry)でした。平成23年度の調査開始以降、セシウム134及びセシウム137は、多くの測点において経年的に濃度が減少する傾向が見られました。

2. 履歴確認調査(別紙1の1.2、別紙2の4.2参照)

 震災以降の化学物質による汚染の履歴を確認することを目的として、宮城県の1測点において「履歴確認調査」を実施しました(調査実施日:平成29年10月31日)。

 平成29年度に採取した堆積物は、いずれの層においても水分含有率が概ね同程度であったことから、少なくとも表層から16 cmまでの層において撹拌が起きた可能性があり、経年的な傾向を検討することは難しいと判断されました。

3. 重点調査項目の調査(別紙1の1.3、別紙2の4.3参照)

 平成23年度第3次調査以降、高濃度のPAHが検出されている海域のうち、岩手県及び宮城県の6測点において、堆積物中のPAHの分布の経年変化の把握を目的とした「重点調査項目の調査」を実施しました(調査期間:平成29年11月4日~5日)。

 放射性物質の検出範囲は、セシウム134で検出限界値未満~43 Bq/kg(dry)、セシウム137で0.27~350 Bq/kg(dry)でした。

 堆積物中のPAHについては、一部の測点において相対的に高い濃度が検出されましたが、過年度調査と比較すると、すべての測点で過年度調査結果と同程度又は低い値でした。

4.まとめ

 今回の調査結果では、環境基準又は暫定除去基準が設定されている項目(PCB、ダイオキシン類)は、いずれも基準値より1桁以上低い値でした。

 その他の化学物質等のうち、臭素系難燃剤については、過年度調査結果の範囲内又はそれと同程度でした。有機フッ素化合物のうちPFOAについては、一部の測点において過年度調査より高い値が検出されましたが、類似調査と比較すると、当該結果は類似調査結果の範囲内でした。PAHについては、一部の測点において、相対的に高い値が検出されましたが、過年度調査と比較すると、すべての測点で過年度調査結果と同程度又は低い値でした。

 放射性物質については、過年度調査結果の範囲内又はそれと同程度であり、平成23年度の調査開始以降、多くの測点において経年的に濃度が減少する傾向が見られました。

 環境省ではこれらの結果も踏まえ、今後も継続してモニタリングを実施する予定です。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局水環境課海洋環境室
直通 03-5521-9023
代表 03-3581-3351
室長   中里靖(内線6630)
室長補佐 福井和樹(内線6634)
主査   塚崎和佳子(内線6636)

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