報道発表資料

平成30年4月2日
大気環境
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アジア太平洋クリーン・エア・パートナーシップ(APCAP)第2回合同フォーラムの結果について

平成30年3月21日(水)~22日(木)にタイ・バンコクにおいて、アジア太平洋クリーン・エア・パートナーシップ(APCAP)の活動の一環として、第2回APCAP合同フォーラムが開催され、多くの国、都市、専門家、事業者等の間で、現在行われている様々な活動や課題等を共有し、アジア太平洋地域の大気汚染の解決に向けた議論を行い、大気環境改善に向けた具体的な活動等を確認しました。
アジア太平洋地域ではPM2.5等の大気汚染が喫緊の課題とされているところ、APCAPはアジア太平洋地域全体を包含する大気汚染に関する唯一のプラットフォームであり、今般のフォーラムにおいて各国政府閣僚級を含む34カ国311名の関係者間で大気環境改善に向けた具体的な活動等を確認したことで、今後のアジア太平洋地域における大気汚染対策が推進されることが期待されます。

1.経緯

アジア太平洋地域においては、急激な経済成長に伴い、PM2.5等の大気汚染が喫緊の課題とされており、我が国への越境大気汚染が顕在化しています。平成26年当時、アジアにおいては、大気に関する知見の集積等を総合的に行う国家間の枠組みがなかったため、日本国環境省は国連環境計画(UNEP)と協力してアジア太平洋クリーン・エア・パートナーシップ(APCAP)を立ち上げ、その活動を支援しています。

APCAPでは、関係者が一同に会する合同フォーラムを開催して、情報共有、関係者間での対話、大気汚染に関する地域的枠組の効果的な連携等を促進するとともに、科学パネルを設置して、科学的知見の充実、科学に基づく解決策をまとめた報告書(2018年に発表予定)の作成等を行っています。

今般、平成29年12月4日~6日の第3回国連環境総会(UNEA3)において採択された「地球規模の大気質改善のための大気汚染の防止及び低減に関する決議」を踏まえ、アジア太平洋地域の大気汚染の解決策に向けた議論を行うため、第2回APCAP合同フォーラムが開催されました。 

2.会合の概要

○ 日程  平成30年3月21日(水)~22日(木)

○ 場所  タイ・バンコク

○ 参加者 34カ国政府、都市、事業者、地域的枠組、研究者、NGO等の代表者 計311名

      (日本国環境省からは、地球環境審議官及び大気環境課主査が参加)

会合プログラム、パネリスト等は以下のウェブサイトから閲覧可能です。

http://cleanairweek.org/apcap/

3.結果の概要

(1)オープニング

UNEPのソールハイム事務局長、タイ天然資源環境省のスラサック大臣等から、フォーラムの開会に当たっての声明が述べられました。

声明では、アジア太平洋地域ではPM2.5等の大気汚染が喫緊の課題であること、地域が連携して対策を進める必要があること、今般のフォーラムは大変重要な機会になることなどが強調されました。

また、日本国環境省の地球環境審議官から、基調講演として、我が国ではこれまで大気汚染防止法等に基づき様々な対策を講じてきたことで、経済発展と同時に過去の甚大な大気汚染を克服してきたこと、アジア太平洋地域の現在の大気汚染も同様に克服可能と考えられること、我が国は大気汚染に関する国際協力を進めており、アジア太平洋地域における大気汚染対策の推進を技術的に支援してきたこと、各国はAPCAPの活動に積極的に参加していくことが望まれることなどについて述べました。

(2)パネルディスカッション(実践的な解決策)

APCAP科学パネルにおいて作成中の「科学に基づく解決策をまとめた報告書」(平成30年に発表予定)の作成メンバー、国際NGOであるクリーン・エア・アジア(CAA)、ユニセフ(UNICEF)及び各産業(農業、レンガ、ディーゼル、廃棄物等)の代表者計8名がパネリストとして登壇し、それぞれが実施している早期に多様な便益をもたらす実践的な大気汚染の解決策について議論が行われました。

具体的には、野焼きを減少させるために農家に対して財政的・技術的支援や啓蒙を行うこと、ディーゼル車を減らすために鉄道や歩道等を整備することなどが有効的な解決策として確認されました。

(3)政府間対話(国の政策展望)

我が国を含む11カ国の閣僚級代表者計11名の間で政府間対話が行われ、達成目標及び目標達成のための計画・政策、現在直面している課題、地域的枠組の必要性、政策が優れた効果に結びつくようにするための方策等について議論が行われました。

具体的には、途上国では技術スタッフや専門家が不足しているため先進国からの技術的支援が必要であること、事業者や国民の大気汚染に対する意識の向上も図っていく必要があること、重要な部門(特に輸送部門)に焦点を当てた対策(モーダルシフト等)が短期的に必要であること、アジア太平洋地域において大気環境改善に向けたコミットメントや活動促進が必要とされている現状においてAPCAPが情報共有や対話の場として大変重要な役割を果たしていることなどが確認されました。

我が国からは、大気汚染の問題はコベネフィット・アプローチを通じて気候変動の問題と同時に解決していくことが効果的であること、情報的手法、自主的取組手法、規制的手法等の様々な手法をポリシーミックスの考え方の下に適切に組み合わせることで相乗的な効果を発揮すること、モニタリングや事業者への指導等に当たり重要な役割を果たす都市の担当者の能力向上が重要であることなどを述べました。

(4)パネルディスカッション(都市における対策の促進)

富山市、大阪市を含む7都市の代表者等計11名がパネリストとして登壇し、都市の果たすべき役割や課題等について議論が行われました。

具体的には、都市における対策は国やSDGs(持続可能な開発目標)等の国際的な戦略と連携したものであるべきこと、地元の市民、産業、研究機関等との連携が重要であること、都市間の連携協力が効果的であること、法律等の履行に加えてインフラの整備や補助金等のインセンティブの付与が必要であることなどが確認されました。

(5)パネルディスカッション(財政、技術及び規制的枠組の刷新)

  アジア開発銀行、国際労働機関、超小型電気自動車を取り扱う日本の企業である株式会社FOMMを含む6企業の代表者等計9名がパネリストとして登壇し、財政、技術及び規制的枠組の刷新について議論が行われました。

  具体的には、財政的支援を受けた太陽光等の再生可能エネルギーの導入事例、少人数かつ少ない工程で組み立てられる超小型電気自動車の有用性、レンタル自転車の普及による自動車の走行減及びそれに伴う大気質の改善効果等について紹介されたほか、地元の銀行の環境投資が不十分な地域における国際銀行の果たすべき役割、クリーンな産業へと転換する場合の仕事消失に対する手当の必要性等が確認されました。

(6)パネルディスカッション(消費者や市民の活動の促進)

UNEP親善大使、世界保健機関(WHO)、短寿命気候汚染物質(SLCP)削減のための気候と大気浄化の国際パートナーシップ(CCAC)の代表者等計9名がパネリストとして登壇し、消費者や市民の活動を促すために必要な活動について議論が行われました。

  具体的には、大気汚染に対する都市・個人等の活動を促すことを目的としてWHOとCCACが主導する啓蒙キャンペーンであるBreatheLifeキャンペーン等が紹介されたほか、若者を含む市民の意識向上の必要性等が確認されました。

(7)パネルディスカッション(大気汚染に対する地域的枠組の連携)

東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)、世界気象機関(WMO)、CAA、アジアコベネフィットパートナーシップ(ACP)等の大気汚染に関する地域的枠組の代表者計10名がパネリストとして登壇し、各地域的枠組における活動について情報共有するとともに、地域的枠組の連携について議論が行われました。

具体的には、半球・全球規模での大気汚染の影響評価が行われている現状においては、アジア太平洋地域内の地域的枠組みの連携に加え、欧州の越境大気汚染条約(CLRTAP)等との連携も必要であること、国際NGOや市民団体も国の政策検討に当たり重要な役割を果たせることなどが確認されました。

(8)まとめ

本フォーラムにおいて紹介又は確認された事項は、キーメッセージとして取りまとめられ、近日中にUNEPのホームページ等で公表される予定です。

4.今後の対応

大気環境の改善はアジア太平洋地域における共通の課題であり、我が国としては引き続きUNEPと連携しながら、本フォーラムを通じた情報交換を推進し、各国・各地域的取組における大気環境改善に向けた取組を支援していきます。また、APCAPをアジア太平洋地域の大気環境改善に向けた効率の良い活動を促進するために必要なプラットフォームとして、各国に対してAPCAPへの積極的な参加を促していくとともに、その活動の充実・強化を図ります。

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通 03-5521-9021
代表 03-3581-3351
課長 髙澤 哲也(6530)
主査 渡辺 聡 (6547)

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