報道発表資料

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2018年03月29日
  • 水・土壌

奄美大島及び宝島における油状物質の漂着に係る水質モニタリング結果について

 奄美大島、宝島等に油状の物が相次いで漂着したことを受け、平成30年3月4日から9日にかけて、奄美大島の6つの海岸及び宝島の3つの海岸において採取した海水の水質分析結果を取りまとめました。奄美大島は2回目、宝島は初めての調査となります。
 水質分析の結果、いずれの島においても石油との関係が強い項目や重金属などの有害物質について環境基準値等を超える項目はなく、油状の物による水質への影響はないと考えられます。

1.調査地点

(1)奄美大島

 奄美大島における今回の調査地点は、平成30年3月1日付け「奄美大島における油状物質の漂着に係る水質モニタリング結果について」において海水を採取した地点と同じであり、具体的には次のとおりです。

1.油状の物の漂着が確認された海岸に接した水面

5地点:(あさ)()海岸、大浜(おおはま)海岸、知名(ちな)()海岸、今里(いまざと)海岸及び(よう)海岸

※大浜海岸及び用海岸の調査地点は、国立公園内の海域公園地区。

2.油状の物の漂着が確認されなかった海岸に接した水面

1地点:阿木名(あぎな)海岸

※油状の物の漂着が確認されなかった奄美大島の南側の海岸を選定。

(2)宝島

3地点:前籠(まえごもり)海岸、大籠(おおごもり)海岸、せんごどまり

※いずれも油状の物の漂着が確認された海岸。

図1 水質モニタリングの調査地点(奄美大島)

図2 水質モニタリングの調査地点(宝島)

2.測定項目

(1)環境基準項目及び要監視項目

1.環境基準項目

・人の健康の保護に関する項目 (健康項目) : 25項目

カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、総水銀 等

・生活環境の保全に関する項目 (生活環境項目) : 3項目

n(ノルマル)-ヘキサン抽出物質(油分等)、COD(化学的酸素要求量)及びpH(水素イオン濃度)

2.要監視項目(※)

 トルエン、キシレン : 2項目

※ 公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきものとして、現在、公共用水域に関して32項目が設定されている。この中から、特に石油との関係が強い物質としてトルエン及びキシレンを測定項目として選定した。

(2)多環芳香族炭化水素(PAH)

ベンゾ[a]ピレン等 : 16項目

3.採水日

(1)奄美大島

平成30年3月8日(木) : 6地点

(2)宝島

平成30年3月4日(日) : 2地点(大籠海岸、せんごどまり)

平成30年3月9日(金) : 1地点(前籠海岸)

4.採水方法

海岸の汀線部の安全な場所から調査員が採水。

5.測定結果

○ 奄美大島では、油状の物の漂着が比較的多く認められた朝仁海岸と、奄美大島の南側に位置する油状の物の漂着が確認されなかった阿木名海岸では2.の測定項目のすべて(46項目)について、その他の4つの海岸では重金属、農薬等を除いた項目(16項目)について測定を行いました(測定結果は表1)。

○ 宝島では、油状の物の漂着が確認された3つの海岸において、2.の測定項目のすべて(46項目)について測定を行いました(測定結果は表2)。

○ 水質の分析の結果、両島のいずれの調査地点においても、石油との関係が強い項目(ベンゼン、n(ノルマル)-キサン抽出物質、トルエン、キシレン)や重金属などの有害物質(健康項目)について環境基準値等を超える項目はなく、また、環境基準値や指針値は設定されていませんが、同じく石油との関係が強い多環芳香族炭化水素(PAH)についても、すべての調査地点において定量下限値(0.0001mg/L)未満となり、油状の物による水質への影響はないと考えられます。

○ なお、一部の調査地点において、生活環境の保全に関する一般的な項目であるCOD(化学的酸素要求量)やpH(水素イオン濃度)について、A類型相当の環境基準値を超える測定値が得られましたが、波浪による底質の巻き上げによる影響が推測されるとともに、測定値はこの周辺海域における変動の範囲内であり、特段の問題はないと考えられます。※ 水質環境基準のうち生活環境項目については、水域の利用目的に応じた類型が設定されており、類型が指定されている水域については当該類型に対応する基準値が適用される。例えば、海域については、利用目的に応じてA類型、B類型、C類型の3つの類型が設けられており、CODの環境基準値も、それぞれ2mg/L、3mg/L、8mg/Lと異なっている。奄美大島周辺海域はA類型に指定されていることから、今回の調査結果についてはA類型の環境基準値と比較を行った。

6.今後の予定

 これまでの2回の調査の結果、油状の物の漂着による水質への影響はないと考えられますが、引き続き、漂着状況を注視してまいります。

表1 水質分析結果(奄美大島)

表2 水質分析結果(宝島)

連絡先
環境省水・大気環境局水環境課
直通 : 03-5521-8316
代表 : 03-3581-3351
課長 : 渡邊 康正 (内線6610)
課長補佐 : 出水 孝征 (内線6628)