報道発表資料

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1997年10月06日

数値目標に関する日本政府提案  途上国対応についての考え方

数値目標に関する日本政府提案

平成9年10月6日    


1.第3回締約国会議の議長国として、日本政府は、以下の(1)から(3)までの条件が受け入れられることを前提として、附属書[1]の各国が削減目標を決定するための基準削減率として5%を提案する(基準年は1990年、目標年は2008年~2012年)。

(1)この提案が対象とする温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン及び亜酸窒素を含む。

(2)この数値目標は、将来の技術革新、エネルギー事情、産業構造の変化等によって規定される、現状において予測不可能な不確定な部分を含む。従ってこの部分に関する順守条項は、一定の柔軟性をもつ。この柔軟性の規定を議定書あるいはその他の法的文書に明記する。

(3)各国の目標は、GDP当たりの排出量、1人当たりの排出量及び人口増加率により差異化される:
以下の条件にあてはまる国は、以下の差異化された削減率のいずれかを適用することが出来る:

(a)1990年のGDP当たりの排出量(A)が、1990年の附属書[1]国全体のGDP当たりの排出量(B)より低い国。

削減率(%)=5%×(A/B)

(b)1990年の1人当たりの排出量(C)が、1990年の附属書[1]国全体の1人当たりの排出量(D)より低い国。

削減率(%)=5%×(C/D)

(c)1990年から1995年までの人口増加率が同時期の附属書[1]国全体の人口増加率を上回る国については、そのより高い人口増加率が各国の目標を決定する際に考慮されなければならない。この削減率の具体的方式は、今後確立されることとする。

(4)(2)及び(3)の条件を勘案した後の総排出量は、1990年の総排出量を超えることはできない。

2.バンキング、ボローイング、排出権取引及び共同実施は一定の条件の下に採用されなければならない。

3.第2バジェット期の総排出量は、第1バジェット期の総排出量を超えることは出来ない。より精密化された差異化の方法が第2バジェット期に適用されなければならない。



途上国対応についての考え方

平成9年10月6日    


1.2010年に途上国の総排出量は先進国のそれを上回ると見られており、温暖化対策のために、中長期的には途上国も順次排出の抑制を強化していく必要がある。他方で途上国に新たな義務を課すことはベルリン・マンデートの枠外である。

2.京都会議では、

(1)現行条約上、途上国を含む全ての締約国が負う義務を具体化、明確化することにより、途上国の既存の義務(気候変動枠組条約第4条第1項の実施)の着実な推進を図る

(2)より進んだ途上国(中進国等)については自発的参加により、義務を求める

(3)将来的な途上国への数量目的設定(エボリューション)は、途上国も主張するようにベルリン・マンデートの枠外であると考えられるので、新たなマンデート等の形で今後の検討課題とすることを検討する

(4)途上国側が求める資金・技術移転の強化については、GEF(地球環境ファシリティー)、二国間援助等既存の枠組みの拡充により途上国の取り組みを支援することを考えている。

3.また、議定書交渉とともに、APECやその他の機会を利用して、途上国の自主的な取り組みを促進するよう努める。

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