報道発表資料
本事業は、新潟県糸魚川市において、既設の姫川第六発電所(水力発電所)に隣接して出力27,500kWの新姫川第六発電所(水力発電所)を新設するものである。
環境大臣意見では、(1)工事等による河川への濁水流出の影響が懸念されるため、法面の保護や濁水処理設備等による措置及び水質調査を適切に実施し、必要に応じて追加的な措置を講ずるとともに、取水地点下流の減水区間においては、河川維持流量を放流し、水質の保全及び魚類等の生息環境の保全を図ること、(2)クマタカ等の希少猛禽類に対する影響を回避・低減するため、生息、繁殖状況の調査を適切に実施し、重大な影響が認められた場合は、専門家等からの助言を踏まえ、適切な環境保全措置を講ずること、(3)掘削土の発生量の最小化及び有効利用により捨土量を極力低減するとともに、土捨場を設ける際には樹木伐採を最小限とし、土地の改変面積及び盛土高を極力低減し、盛土の安定性の確保、在来種による植生回復を図り、重要な動植物の生息地・生育地の改変を極力回避すること等を求めている。
1.背景
環境影響評価法及び電気事業法では、出力22,500kW以上30,000kW未満の水力発電所の設置又は変更の工事は第2種事業に該当し、本事業については、新潟県立自然公園内の計画であることから、第1種事業と同様に、環境大臣は事業者から提出された環境影響評価準備書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができる。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。
今後、事業者である黒部川電力株式会社には、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続きと環境保全の実施が求められる。
※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。
2.事業の概要
・事業者 黒部川電力株式会社
・事業位置 新潟県糸魚川市
・出力 27,500kW
3.環境大臣意見の概要
[1]総論
事業実施に当たっては、水環境、動植物及び生態系等に対する影響を回避又は低減するための環境保全措置を適切に講ずること。
[2]各論
(1)水環境に対する影響
本事業における工事等により、河川への濁水の流出が懸念されるため、切土及び盛土法面の保護並びに濁水処理設備等による適切な措置を講ずるとともに、水質調査については、環境監視計画に沿って適切に実施し、必要に応じて追加的な環境保全措置を講ずること。
また、取水地点下流の減水区間においては、河川維持流量を放流し、水質及び魚類等の生息環境の保全を図ること。
(2)鳥類に対する影響
対象事業実施区域及びその周辺では、クマタカ等の希少猛禽類の生息が確認されており、これらの希少猛禽類への重大な影響が懸念される。
このため、これらの希少猛禽類の生息、繁殖状況の変化に係る調査を環境監視計画に沿って適切に実施し、重大な影響が認められた場合は、専門家等からの助言を踏まえて、追加的な環境保全措置を講ずること。
(3)土地の改変に係る環境影響
本事業により発生する掘削土は、土捨場を設けて盛土を行うことから、土地の改変、河川への土砂又は濁水の流出等による動植物の生息・生育環境への影響が懸念される。
このため、工事等に伴う掘削土の発生量を最小化するとともに、有効利用により掘削土の捨土量を極力低減すること。また、土捨場を設ける際には、樹木の伐採を最小限にとどめ、土地の改変面積及び盛土高を極力低減するとともに、盛土の安定性を確保し、在来種による早期の植生回復を図ること。さらに、重要な動植物の生息地・生育地の改変を極力回避すること。
(参考)環境影響評価に係る手続
【方法書の手続】
・縦覧 平成26年12月1日~平成27年1月8日(住民意見0件※)
・新潟県知事意見提出 平成27年3月20日
・長野県知事意見提出 平成27年3月31日
・経済産業大臣勧告 平成27年5月27日
【準備書の手続】
・縦覧 平成29年2月15日~平成29年3月17日(住民意見0件※)
・新潟県知事意見提出 平成29年7月27日
・長野県知事意見提出 平成29年7月11日
・環境大臣意見提出 平成29年9月1日
※環境の保全の見地からの意見の件数
添付資料
- 連絡先
- 環境省大臣官房環境影響審査室
室長 大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
担当 谷本昌敏(内6253)