報道発表資料

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2017年07月28日
  • 地球環境

「地域適応コンソーシアム事業」の開始について

 環境省は、今年度より3カ年の計画で、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として、「地域適応コンソーシアム事業」を実施します。各地域のニーズに沿った気候変動影響に関する情報の収集・整理を行うとともに、地方公共団体、大学、研究機関など、地域の関係者との連携体制を構築し、具体的な適応策の検討を進めていきます。

1.概要

 気候変動の影響は、地域の気候、地形、社会経済状況などによって異なります。また、気候変動の影響への適応は、地域の生活基盤を守ることや、地域振興にもつながることから、その地域に合った適応の取組を進めていくことが重要です。

 気候変動の影響への適応計画(平成27年11月27日閣議決定。)では、基本戦略の一つとして「地域での適応の推進」が掲げられており、地方公共団体における気候変動影響評価の実施や適応計画の策定及び実施を促進する必要性が示されています。

 このため、環境省は、今年度より3カ年の計画で、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として、「地域適応コンソーシアム事業」を実施します。これにより、各地域のニーズに沿った気候変動影響に関する情報の収集・整理を行うとともに、地方公共団体、大学、研究機関など、地域の関係者との連携体制を構築し、具体的な適応策の検討を進めていきます。

2.地域適応コンソーシアム事業の具体的内容

 地域適応コンソーシアム事業は、全国事業と6地域における地域事業により構成されます。それぞれの事業の概要は、以下のとおりです。

 

 (1)全国事業

  ・事業の共通方針の作成

   (気候変動影響予測を行う気候シナリオの整備等)

  ・農林水産業・国立公園の生態系サービス等の気候変動影響の全国的調査

  ・全国運営委員会の開催・運営

 (2)地域事業

  ・地域における気候変動影響に関する調査

   (気候変動影響に関する情報収集・気候変動影響予測計算等)

  ・地域での普及啓発事業

  ・地域協議会の開催・運営

 

 このうち、地域における気候変動影響に関する調査の内容については、各都道府県・政令市から地域のニー                             ズを募集し、外部有識者による調査計画・調査担当事業者の審査・選定を経て、以下のとおり決定しました。な    お、調査内容については、次年度以降、地域協議会における検討の結果等により、変更する可能性があります。

 ① 北海道・東北地域

   (北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の区域)

気温上昇や気象災害によるリンゴへの影響調査 農業
海水温の上昇等によるホタテガイ及びワカメ等の内湾養殖業への影響調査 水産業
海水温の上昇等によるシロザケ等の漁獲量への影響調査 水産業
気候の変化や極端な気象現象による観光業への影響調査 産業・経済活動

 ② 関東地域

   (茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、静岡県の区域)

夏期の高温・少雨による茶栽培への影響調査

農業

降水量の増加と社会経済状況の変化を考慮した都市圏の内水氾濫リスク評価

自然災害

気候変動による印旛沼とその流域への影響と流域管理方法の検討

自然災害、水環境

気候変動による節足動物媒介感染症リスクの評価

健康

熱中症リスクの評価手法の整理・構築

健康

 ③ 中部地域

   (富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県の区域)

気候変動による水産業及び生物生息基盤(藻場、アマモ場)への影響調査

水産業

降雪量と融雪時期の変化が水資源管理及び地下水資源の利用に与える影響調査

水環境・水資源

気候変動による三方五湖の淡水生態系等に与える影響調査

自然生態系

 ④ 近畿地域

   (滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の区域)

降水量等の変化による丹波黒大豆への影響調査

農業

海水温の上昇等によるイカナゴの資源量への影響調査

水産業

海面上昇等による塩水遡上の河川への影響調査

水環境・水資源

気候変動による高層湿原の植生への影響調査

自然生態系

熱ストレス増大による都市生活への影響調査

国民生活・都市生活

 ⑤ 中国・四国地域

   (鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県の区域)

暖冬によるナシ栽培への影響調査

農業

気温上昇が家畜の繁殖率や成長に与える影響調査

農業

海水温上昇等による瀬戸内海の水産生物や養殖への影響調査

水産業

気候変動による宍道湖・中海の水質等への影響調査

水環境・水資源

生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)適応策の検討

自然生態系、自然災害、農業

気候変動による高山植生及び希少植物への影響調査

自然生態系

 

 ⑥ 九州・沖縄地域

   (福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の区域)

気候変動による有明海・八代海における漁業及び沿岸生態系への影響調査

水産業

気候変動による水害リスクの評価

自然災害・沿岸域

熱中症発生要因の分析と熱中症予防行動の検討

健康

連絡先
環境省地球環境局総務課気候変動適応室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8247
室長   木村 正伸  (内 6730)
室長補佐 小沼 信之  (内 6731)
室長補佐 秋山 奈々子 (内 7762)
係長   河野 郷史  (内 7717)