報道発表資料
このことから、コンテナ内を燻蒸消毒するとともに、現在、確認地点において、捕獲トラップ等を設置し、ヒアリの侵入がないか緊急調査を開始しました。
ヒアリは、南米原産で体長は2.5~6mm程度、体色は主に赤茶色の有毒のアリです。世界では北米や中国、フィリピン、台湾等にも外来生物として侵入・定着しており、世界各地で大きな問題となっています。これまで、日本では侵入は確認されていませんでした。
1.経緯
当該ヒアリは、中国広東省広州市の南沙港から出航した貨物船内のコンテナ(1個)の内部で発見されました。
5/15 中国広東省広州市の南沙港を出港。
5/20 兵庫県神戸市神戸港に到着、陸揚げ。5/25まで保管される。
5/26 兵庫県尼崎市において、コンテナから積み荷を取り出す際にアリのコロニーが発見される。通関業者から近畿地方環境事務所に報告。近畿地方環境事務所から通関業者に対し、アリのサンプルの送付と、コンテナの燻蒸消毒を依頼。
5/29 近畿地方環境事務所にサンプルが到着。専門機関に対し種の同定を依頼。兵庫県へ情報提供。
6/1 輸入業者が、神戸市にコンテナを移動させ、燻蒸消毒を開始(燻蒸剤は燐化アルミニウム)。
6/5 燻蒸消毒を終了。輸入業者がアリが全て死滅していることを確認。
6/9 専門機関により、サンプルがヒアリであることを確認。
2.今回の確認された種について
確認されたヒアリは、既に同種が定着している中国広東省広州市から輸送されたコンテナの内部で発見され、また、現段階では他の貨物やコンテナが一時保管された場所の周辺からの発見情報はないため、積み出す際にすでにコンテナ内部に付着していた可能性が高いと考えられます。このため、現時点では、ヒアリが日本の当該地域周辺に定着し繁殖している可能性は低いと考えられます。
3.今後の対応
当該コンテナで確認された個体は、初期対応の結果、全て薬剤の燻蒸により消毒処分されました。しかし、今回、ヒアリの付着していた貨物が日本に到着してから消毒されるまでの間に、周辺地域に侵入してしまった可能性も否定できません。
このため、現在、コンテナが一時的に留め置かれた地点(兵庫県神戸市2カ所、尼崎市1カ所)の周辺において、殺虫剤を設置するとともに、捕獲トラップを設置し、ヒアリが侵入していないことを確認するための緊急調査を開始しました。
なお、輸入業者等(※)に対しては、以下を指導しています。
・今回使用した船舶や保管場所、倉庫、その他運搬車両等の関係者に当該生物の混入があったことを周知し、他に混入の恐れがないか確認を依頼すること
・今後同様なルートで製品を輸入する際に、当該アリその他の特定外来生物の付着・混入がないよう、現地の工場・保管場所・コンテナ置き場・積み出し港等の状況を把握し、対策を採ること
・環境省が行う緊急調査に協力すること
(※)輸入業者のほか、運送業者、通関業者、港湾荷役業者。
4.情報提供のお願い
ヒアリは、攻撃性が強く、刺された場合、体質によってはアナフィラキシー・ショックを起こす可能性があるなど人体にとって危険な生物です。世界各地に定着がみられることから、一旦定着すれば根絶することは困難となるため、侵入監視により、早期発見、早期駆除により定着前に根絶を図ることが極めて重要です。
神戸港に限らず、海外からの貨物や旅客が到着する港や空港においては同様にヒアリ侵入のリスクがあります。
地方自治体や駆除業者の方々につきましては、ヒアリと思われる個体が発見された場合には、管轄区域の環境省地方環境事務所にご連絡ください。
連絡先URL:https://www.env.go.jp/region/index.html
ストップ・ザ・ヒアリ(ヒアリの特徴・生態・駆除方法・刺されたときの対処方法等の参考):https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf
※ヒアリは強い毒を持つため、生きた個体を素手で触らないようにしてください。
(ヒアリの写真)全体は赤茶色で腹部が黒っぽい赤色
ヒアリを発見した場所及びコンテナの燻蒸作業を実施した場所
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局
野生生物課外来生物対策室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8344
室長 曽宮 和夫
室長補佐 八元 綾
担当 若松 佳紀
近畿地方環境事務所 野生生物課
代表 06-4792-0700
直通 06-4792-0706
課長 鑪 雅哉
課長補佐 深田 富士雄