報道発表資料

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2017年06月16日
  • 総合政策

(仮称)安岡沖洋上風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、16日、山口県で実施予定の「(仮称)安岡沖洋上風力発電事業環境影響評価準備書」(前田建設工業株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、山口県下関市安岡沖において、最大で総出力60,000kWの洋上風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、1)地元自治体の意見を十分勘案し、住民等の関係者に丁寧かつ十分な説明を行うこと、2)環境影響評価及び環境保全措置、並びに事後調査及び環境監視等を更に具体化する際には、最新の知見を用いて検討し、適切に実施すること、3)本事業による環境影響並びに環境保全措置の内容及び効果を公表すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書※について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を述べることができるとされている。
 本件は、山口県の「(仮称)安岡沖洋上風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続きが求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

(1)事業者  前田建設工業株式会社
(2)計画位置 山口県下関市安岡沖(対象事業実施区域面積 約576ha)
(3)出力   最大60,000kW(4,000kW×最大15基)

3.環境大臣意見

〔1〕総論

   本事業を今後検討し、進めるに当たっては、以下の取組を行うこと。

1)地元自治体の意見を十分勘案し、これまでの環境影響評価の結果及びそれを踏まえた環境保全措置、並びに今後実施する事後調査及び環境監視等の内容について、住民等の関係者に丁寧かつ十分な説明を行うこと。

2)本事業は国内での先行事例が少ない洋上風力発電事業であり、その環境影響に係る調査、予測及び評価の手法等については、今後とも開発・改良が進められることを踏まえ、環境影響評価及びそれを踏まえた環境保全措置、並びに事後調査及び環境監視等を必要に応じて更に具体化する際には、最新の知見を用いて検討し、適切に実施すること。この過程においては、専門家等の助言を踏まえて、客観的かつ科学的に検討するとともに、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公表し、透明性及び客観性を確保すること。

3)本事業による環境影響並びに環境保全措置の内容及び効果については、その分析結果と併せて取りまとめ、公表すること。

〔2〕各論

 (1)騒音等に係る環境影響

1)騒音発生源となる機器類のパワーレベルの低減等を含め騒音等の低減に係る環境保全措置を検討し、有効な措置を実施すること。また、それらの検討結果等を住民及び地元自治体等に丁寧に説明すること。

2)本事業者が最寄りの住居付近で既に実施し、今後も継続するとしている騒音等の計測を風力発電設備の稼働後も継続し、公表すること。

3)継続的な計測の結果により、騒音に係る環境影響が十分に低減されていないと判断される場合には、専門家等からの助言を踏まえ原因を究明しつつ、追加的な環境保全措置を検討し、有効な措置を実施すること。また、それらの検討結果等を住民及び地元自治体等に丁寧に説明すること。

 (2)景観に対する影響

 色彩の周辺環境との調和等の環境保全措置に加えて、関係機関との協議を行った上で、風力発電設備の配置等を含めた環境保全措置を検討し、有効な措置を実施すること。また、それらの検討結果等を住民及び地元自治体等に丁寧に説明すること。

 (3)海生生物への影響

 風力発電設備の稼働による藻場等の海生生物への影響については、専門家等の助言を踏まえ必要に応じて事後調査を実施し、重大な影響が懸念される場合には、追加的な環境保全措置を検討し、有効な措置を実施すること。また、それらの検討結果等を住民及び地元自治体等に丁寧に説明すること。



(参考)環境影響評価に係る手続き

【方法書の手続き】
・縦覧         平成25年3月15日~ 平成25年4月15日(住民意見124件
・山口県知事意見提出  平成25年8月20日
・経済産業大臣勧告   勧告なし

【準備書の手続き】
・縦覧         平成28年11月2日~平成28年12月2日(住民意見2,430件
・山口県知事意見提出  平成29年6月8日
・環境大臣意見提出   平成29年6月16日

                          ※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局
環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
審査官  生田雄一(内6239)

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