報道発表資料

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2017年06月02日
  • 総合政策

(仮称)能代山本広域風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

環境省は、2日、秋田県で計画されている「(仮称)能代山本広域風力発電事業計画段階環境配慮書」(能代山本広域風力事業組合)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
本事業は秋田県能代市、山本郡八峰町及び山本郡三種町において、最大で総出力約240,000kWの風力発電所を設置するものである。
環境大臣意見では、1)対象事業実施区域の設定に当たっては住居等及びその近傍を区域から除外する等、絞り込みを適切に行うこと、2)騒音等や風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること、3)周辺に生息する鳥類への影響を回避すること、4)重要な自然環境の改変による影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

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1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である能代山本広域風力事業組合に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 ・事業者   能代山本広域風力事業組合

 ・計画位置  秋田県能代市、山本郡八峰町及び山本郡三種町(事業実施想定区域面積 約9,200ha)

 ・出力    最大約240,000kW(3,000kW級×約80基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定

 事業実施想定区域及びその周辺には、多数の住居等が存在しているが、本配慮書手続の中では、事業実施想定区域を絞り込むに当たって除外することを想定している範囲が示されないこと等から、今後、適切な区域の絞り込みが行われるか現段階では判断できず、風力発電設備等の配置等によっては、重大な環境影響が懸念される。このため、対象事業実施区域の設定に当たっては、騒音及び風車の影に関して生活環境への重大な影響が避けられない住居等及びその近傍を対象事業実施区域から除外する等、区域の絞り込みを適切に行うこと。

(2)累積的な影響

 事業実施想定区域及びその周辺においては、複数の風力発電所が稼働中又は環境影響評価手続中であり、累積的な影響が懸念されるため、今後、他事業者との情報交換等に努め、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(3)事業計画の見直し

 [1]の(1)及び(2)並びに[2](1)、(2)及び(4)により、騒音等及び風車の影による生活環境への影響並びに鳥類に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し等を行うこと。

(4)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

[2]各論

(1)騒音等に係る環境影響

 事業実施想定区域及びその周辺には、多数の住居等が存在しており、工事中及び供用時における騒音による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居等から離隔すること等により、騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響

 事業実施想定区域及びその周辺には、多数の住居等が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居等から離隔すること等により、風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)水環境に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺には、複数の河川のほか、能代市上水道の取水地点等が存在していることから、本事業の実施により、工事中の土砂や濁水の流出に伴う水環境への影響が懸念される。このため、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、河川や沢筋等からの距離を確保するとともに、土砂や濁水の流出を最小限に抑えることで、水環境への影響を回避又は極力低減すること。

(4)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域周辺では、イヌワシ等の希少猛禽類の生息が確認されているほか、「八郎潟を含む秋田平野湖沼群」が存在し、ガン・カモ類等の渡り鳥の飛来地及び渡り経路となっていることなどから、風力発電設備への衝突事故、移動経路の阻害等による鳥類への重大な影響が懸念される。このため、専門家等からの助言を踏まえた鳥類に関する適切な調査、予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(5)植物及び生態系に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺には、自然環境保全基礎調査において特定植物群落及び植生自然度が高いとされた植生、保安林が存在しており、植物及び生態系への影響が懸念されることから、現地調査により特定植物群落及び自然度の高い植生が存在する区域を明らかにした上で、植物及び生態系への影響について予測及び評価を行うこと。また、これらの重要な自然環境のまとまりの分断を回避するとともに、改変を回避又は極力低減すること。


(参考)環境影響評価に係る手続

・平成29年4月18日  経済産業大臣から環境大臣に意見照会

・平成29年6月 2 日  環境大臣から経済産業大臣に意見提出

)

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
審査官  鈴木崇之(内6253)

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