報道発表資料
1.背景・経緯
地盤沈下は、主として地下水の過剰な採取に伴う地下水位の低下により軟弱な粘土層が収縮して発生するもので、一旦発生すると元には戻らない不可逆的な現象であるとともに、即座にとめることが困難な現象です。
これまでの対策等によって広域の地盤沈下は沈静化の傾向にあるものの、終息には至っていない状況にあります。また、近年の多様な地下水需要の高まりにより、新たな地盤沈下の発現も懸念されるところです。地盤沈下の早期発見には、広域的な監視を継続することが不可欠であることから、国や地方公共団体は水準測量により地盤沈下監視を継続しています。しかしながら、水準測量には多くの費用や人員確保が必要となるため、継続が困難になっている状況もうかがえます。
環境省では、地盤沈下監視費用の削減や面的な管理が容易となることを目的として、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)および「だいち2号」(ALOS-2)による観測データを用いた地盤沈下観測手法の検討を行ってきた結果、新たな観測技術の一つとして、利用できる見込みが得られました。
このため、環境省では地盤沈下対策に取り組む地方公共団体の監視体制の維持・向上に役立てることを目的に、地球観測衛星による観測データを活用した地盤高観測に関する技術情報やこの観測技術を導入するまでの手順などを『地盤沈下観測等における衛星活用マニュアル』として取りまとめました。
2.マニュアルの構成
第1章 総説編
1-1 マニュアルの目的と位置付け
1-2 衛星データによる地盤沈下監視の仕組みと特徴
1-3 衛星データを併用することで考えられる活用方法
1-4 地盤沈下監視業務の流れ
第2章 解説編
2-1 目的の設定
2-2 調査範囲の設定
2-3 調査対象期間の設定
2-4 水準測量との組み合わせ
2-5 衛星データの選び方
2-6 仕様の確定
2-7 解析
2-8 成果
2-9 データ蓄積・管理
第3章 事例編
3-1 「だいち」(ALOS)による九十九里平野の地盤沈下監視
3-2 「だいち2号」(ALOS-2)による九十九里平野の地盤沈下監視
3-3 その他の衛星による九十九里平野の地盤沈下監視
3-4 その他の衛星データ活用のメリット
巻末資料
3.参考
・地盤沈下監視ガイドライン(平成17年6月29日通知)
(https://www.env.go.jp/water/chikasui_jiban.html)
本マニュアル策定に当たっては、地盤沈下に関する専門家を中心に、国土地理院、JAXAからも検討会委員としてご協力をいただきました。特に、国土地理院、JAXAでは、干渉SAR解析事例や人工衛星に関する基礎的情報等、非常に有益な情報が公開されておりますので、あわせてご参照いただければ幸いです。
・国土地理院 干渉SARホームページ
(http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/sar/)
・JAXA ALOS-2・ALOSホームページ
(http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/index_j.htm)
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室
代 表:03-3581-3351
直 通:03-5521-8308
室 長:渡邊 康正(内線6610)
室長補佐:伊藤 和彦(内線6605)
担 当:山口 正敏(内線7629)