報道発表資料

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2017年03月03日
  • 総合政策

(仮称)新岩屋ウィンドパーク事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、3日、青森県で計画されている「(仮称)新岩屋ウィンドパーク事業計画段階環境配慮書」(エコ・パワー株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、青森県下北郡東通村に設置済みの「岩屋風力発電所」及び「岩屋ウィンドパーク」において、風力発電設備の建替及び新設を行うことにより、最大で総出力69,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備の配置等を検討するに当たって、騒音等や風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること、鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等に反映すること、土砂流出の可能性の高い箇所の改変を回避し、自然環境への影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者であるエコ・パワー株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

・事業者   エコ・パワー株式会社
・計画位置  青森県下北郡東通村岩屋(事業実施想定区域面積:約275ha)
・出力  最大69,000kW(2,000~3,450kW級×最大27基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定等

 風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、既設風力発電設備等の設置による環境影響を検証した上で、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。
 また、風力発電設備の建替については、既存の道路等を利用すること等により、新設する場合と比べ環境影響を低減することが可能な場合には、その利用等を考慮した検討を行うこと。

(2)累積的な影響

 事業実施想定区域の周辺においては、他事業者による風力発電所が稼働中及び環境影響評価手続中であり、累積的な影響が懸念されるため、今後、他事業者との情報交換等に努め、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(3)事業計画の見直し

 [1](2)並びに[2](1)、(2)及び(3)により、騒音等及び風車の影による生活環境への影響並びに鳥類に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し等を行うこと。

(4)工事計画の検討

 本事業の工事計画の検討に当たり、事業実施想定区域の既設風力発電設備の撤去が本事業における一連の工事と見なせる場合は、撤去も含め検討すること。

(5)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。
 また、風力発電設備の建替においては、現況の課題も踏まえた上で、本事業の実施による環境影響の回避・低減のための環境保全措置を検討すること。

[2]各論

(1)騒音等に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には、複数の住居が存在しており、工事中及び供用時における騒音による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居から離隔すること等により、騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には、複数の住居が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺は、渡り鳥の主要な渡り経路になっている可能性があるほか、希少猛禽類の生息が確認されており、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等による鳥類の生息及び渡りへの重大な影響が懸念されることから、専門家等からの助言を踏まえた適切な調査及び予測を行い、影響を評価し反映すること。特に、渡り鳥については、適切な調査方法により調査を実施し、渡りの経路及び餌場への移動経路を明らかにした上で、影響を予測及び評価し、その結果を踏まえ、主な経路を避けるとともに、必要に応じて環境保全措置を講ずることにより、鳥類への影響を回避又は極力低減すること。

(4)土地の改変に伴う自然環境に対する影響

 事業実施想定区域には、土砂災害特別警戒区域等が存在していることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、専門家等からの指導・助言を踏まえ、土砂や濁水の流出等による動植物の生息・生育環境や河川・沢筋等の自然環境への影響に対する調査、予測及び評価を行い、土砂流出の可能性の高い箇所の改変を回避し、自然環境への影響を回避又は極力低減すること。

(参考)環境影響評価に係る手続き
・平成29年1月17日   経済産業大臣から環境大臣に対し意見照会
・平成29年3月3日  環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局
環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博 (内6231)
室長補佐 伊藤史雄 (内6233)
審査官  鈴木崇之 (内6253)
担当   知名光太郎(内6209)

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