報道発表資料

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2017年03月13日
  • 自然環境

生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)第5回総会結果

 生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES※)第5回総会が、3月7日(火)から10日(金)までの間、ボン(ドイツ)にて開催されました。
 今会合では、生物多様性の持続可能な利用に関するアセスメントの枠組みやその他アセスメントの実施などについて議論されるとともに、2019年から始まる第2期作業計画の検討が開始しました。

※IPBES(Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)


 生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価(アセスメント)し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織です。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもあります。
 IPBES作業計画2014-2018に基づき、2017年に公表された花粉媒介についてのアセスメントなどの他、侵略的外来種や生物多様性の持続可能な利用を含む計18の成果物の完成を目指し作業が進められており、2019年には地球規模の生物多様性および生態系サービスに関するアセスメントの公表が予定されています。
 IPBESの成果物(アセスメントレポートなど)は世界中の科学者・専門家らによって作成され、総会(IPBES加盟国政府により構成)による承認の後、公表されます。2017年2月6日現在、IPBESには126カ国が参加しており、事務局はボンに置かれています。

1.会議の概要

○ 会議名称
[日本語] 生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)第5回総会
[英語] Plenary of the Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services Fifth Session
○ 開催期間 平成29年3月7日(火)~10日(金)
○ 場所   ボン(ドイツ)
○ 参加者  IPBESに参加している各国政府、国連環境計画など関連する国際機関など

2.主な成果

(1)野生種の持続可能な利用に関するテーマ別アセスメントのスコーピング

 アセスメントの内容や方法論についてまとめられたスコーピング文書が承認されました。物質的または非物質的な利用の状況と傾向を評価するとともに、将来シナリオを検討し、持続可能な利用により野生種を保全するための課題や機会、対策を特定するアセスメントの枠組みが承認されました。

(2)自然とその便益に関する多様な価値観の概念化、侵略的外来種および野生種の持続可能な利用に関する各アセスメントの実施

 十分に利用可能な資源(予算・人員)がある場合には、次回総会(IPBES-6)において自然とその便益に関する多様な価値観の概念化に関する方法論的アセスメントおよび侵略的外来種ならびに野生種の持続可能な利用に関するテーマ別アセスメントの実施に向けて検討することになりました。

(3)IPBES作業計画2014-2018の履行、予算および第2期作業計画の策定プロセス

 IPBES作業計画2014-2018の履行状況が報告され、各政府・機関に対して、とりわけ専門家の推薦や各アセスメント案のレビューなどへの積極的な参画が奨励されました。
 2017年予算については、前回の総会で承認された予算8,796,330米ドルが見直され、8,732,772米ドル(2017年修正予算)とすることが採択されました。
 また次の10年間を視野に入れた第2期作業計画策定の開始および策定手順が承認されました。

(4)知識の基盤

 「生態系サービス」という概念は「自然がもたらすもの(Nature's contributions to people; NCP)(仮訳)」という概念に移行しつつあり、この新しい概念を現在および今後IPBESで行われる各アセスメントに用いていくことが明記されました。

*IPBESの概念枠組みでは、これまで生態系サービスまたは自然からの贈り物等と呼ばれる要素をまとめて、Natures Benefits to Peopleと称していました。今般、生態系サービスの概念の発展を踏まえるとともに、Benefit という言葉では、自然が人々にもたらす正の面のみ強調され、負の面を含まないとの誤解を与えるおそれがあるため、より中立的な言葉であるContributionに変え、新たにNCPと称することになりました。

 なお、本会合の報告会を、3月22日(水)に開催します。詳細は下記をご覧下さい。

https://www.env.go.jp/press/103695.html

【本会合の公式ウェブサイト】

http://www.ipbes.net/plenary/ipbes-5

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8275
室長   中尾文子(内 6480)
室長補佐 田端朗子(内 6484)
室長補佐 大澤隆文(内 6485)