報道発表資料
1.検討の経緯
日本固有のネズミ類であるトゲネズミ類は、開発行為や外来生物等の影響によって絶滅のおそれが高まっており、生息環境の維持改善等の保全対策が重要となる一方で、生息域外保全の取組も必要と考えられています。
そこで、(公社)日本動物園水族館協会と環境省は、平成26年5月に締結した「生物多様性保全の推進に関する基本協定書」(以下、「協定書」という。)に基づき、飼育下繁殖技術等の科学的知見が不足している分類群としてトゲネズミ類を選定し、飼育・繁殖の技術開発を目指した科学的な知見の集積を当面の目的として生息域外保全に着手することとしました。
まず、トゲネズミ類3種(オキナワトゲネズミ(環境省レッドリスト2015絶滅危惧ⅠA類)、アマミトゲネズミ(同ⅠB類)、トクノシマトゲネズミ(同ⅠB類))のうち、アマミトゲネズミを対象とした飼育・繁殖の技術開発を先行的に実施します。
2.ファウンダーの確保について
(1)実施日時・場所
日時 平成29年1月8日~10日
場所 鹿児島県奄美大島(※アマミトゲネズミの生息環境への影響を考慮し、正確な場所の公表は控えさせていただきます。)
(2)捕獲の方法
捕獲はカゴわなによる生け捕りにて実施しました。アマミトゲネズミが捕獲された場合には、現地にてファウンダーに選定するか判断し、選定された個体を一時保管場所へ運搬し、一時飼育しました。なお、ファウンダーに選定しなかった個体は健康状態を確認した上で、現地にて放逐しました。
(3)捕獲の結果
実施期間中に捕獲された44個体のうち、20個体(オス・メス各10個体)をファウンダーとして選定し、各飼育園へ搬送しました。なお、捕獲個体のうち、3個体が捕獲作業中に死亡しており、その原因は衰弱死と推定されます。
3.飼育・繁殖の実施体制について
アマミトゲネズミの飼育・繁殖については、協定書に基づく取り組みとして位置付け、(公社)日本動物園水族館協会正会員所属園館により実施します。
平成28年度は、宮崎市フェニックス自然動物園で12個体(オス、メス各6個体)、埼玉県こども動物自然公園及び恩賜上野動物園でそれぞれ4個体(オス、メス各2個体)を受け入れました。
飼育・繁殖にあたっては、宮崎大学や岡山理科大学での過去のアマミトゲネズミの飼育・繁殖事例や国内外における他のネズミ類の飼育・繁殖事例から得られた知見を活用して長期的な飼育・繁殖の技術開発を目指します。また、各飼育園同士で定期的に情報共有を行い、必要に応じて大学等の研究機関からの協力を仰ぐなど、関係施設の間で緊密な協力体制を構築しながら進めることとしています。
4.問合せ先
○トゲネズミ類生息域外保全事業全般について
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 三宅、登美
TEL 03-5521-8353
○公益社団法人 日本動物園水族館協会の取組について
日本動物園水族館協会生物多様性委員会小型哺乳類事業調整者
伊東(狭山市立智光山公園こども動物園) TEL 04-2953-9779
○個体の状況について
・宮崎市フェニックス自然動物園 飼育課 竹田
TEL 0985-39-1306 FAX 0985-39-1300
・埼玉県こども動物自然公園 診療所 高木、天野
TEL 0493-35-1234 FAX 0493-35-0248
・恩賜上野動物園 教育普及課 金子、鈴木
TEL 03-3822-5811(直通) FAX 03-3821-2493
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室
(代表: 03-3581-3351)
(直通: 03-5521-8353)
室長: 番匠 克二 (6677)
室長補佐: 三宅 悠介 (6464)
専門員: 登美 雄太 (6672)