報道発表資料

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2017年02月10日
  • 総合政策

(仮称)田野畑風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、10日、岩手県で計画されている「(仮称)田野畑風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」(日本風力開発株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、岩手県下閉伊郡田野畑村、岩泉町及び普代村において、最大で総出力90,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備等の配置等を検討するに当たり、1)騒音等や風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること、2)鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、イヌワシ等の希少猛禽類の行動圏に関する情報を明らかにした上で、その結果を踏まえ、風力発電設備等の配置等を検討すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である日本風力開発株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 ・事業者   日本風力開発株式会社

 ・計画位置  岩手県下閉伊郡田野畑村、岩泉町及び普代村(事業実施想定区域面積 約4,369 ha)

 ・出力    最大90,000kW(2,000~3,600 kW級×最大25基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定

 風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)事業計画の見直し

 [2]各論の(1)、(2)及び(5)により、騒音等及び風車の影による生活環境への影響並びに鳥類に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し等を行うこと。

(3)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

[2]各論

(1)騒音等に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、工事中及び供用時における騒音による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備等を住居から離隔すること等により、騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響

 事業実施想定区域の近隣には複数の住居が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)土地の改変に伴う自然環境に対する影響

 事業実施想定区域には砂防指定地等が存在しており、土地の改変に慎重を要する地域であることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、専門家等からの指導・助言を踏まえること。また、土砂や濁水の流出等による自然環境への影響に関する調査、予測及び評価を行い、これらの結果を踏まえ、土砂流出の可能性の高い箇所の改変を回避するとともに、土地の改変量を最小限に抑えること等により、自然環境への影響を回避又は極力低減すること。

(4)水環境に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺には、複数の河川源流部及び沢筋等のほか、簡易水道の取水地点等が存在しており、本事業の実施により、工事中の土砂や濁水の流出に伴う水環境への影響が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、河川や沢筋等からの距離の確保に努めるとともに、土砂や濁水の流出等を最小限に抑えることで、水環境への影響を回避又は極力低減すること。

(5)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域の周辺には国指定天然記念物であるイヌワシ繁殖地やイヌワシ等の希少鳥獣の保護を目的に指定された鳥獣保護区が存在しており、これらの希少猛禽類の生息が確認されていることから、専門家等からの助言を踏まえた調査、予測及び評価を行い、イヌワシ等の希少猛禽類の行動圏に関する情報を明らかにするとともに、その結果を踏まえ、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(6)植物及び生態系に対する影響

 事業実施想定区域には保安林及び緑地環境保全地域が存在し、豊かな自然環境のまとまりの場となっていることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、専門家等からの助言を踏まえて調査、予測及び評価を行い、これらの重要な自然環境の改変を回避又は極力低減すること。

(7)景観に対する影響

 事業実施想定区域の近隣には三陸復興国立公園が存在しており、本事業の実施により、当該国立公園内の眺望点からの眺望景観への影響が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、客観的な予測及び評価を行い、眺望景観への影響を回避又は極力低減すること。また、事業計画の具体化並びに調査、予測及び評価に当たっては、三陸復興国立公園の管理者及び関係自治体等の意見を踏まえること。


(参考)環境影響評価に係る手続き

・平成29年1月 4 日   経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成29年2月10日   環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
審査官  日下崇 (内6248)

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