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2016年11月24日
  • 自然環境

生物多様性条約第13回締約国会議、カルタヘナ議定書第8回締約国会合及び名古屋議定書第2回締約国会合(国連生物多様性会議 メキシコ・カンクン2016)の開催について

生物多様性条約第13回締約国会議、カルタヘナ議定書第8回締約国会合及び名古屋議定書第2回締約国会合(国連生物多様性会議 メキシコ・カンクン2016)が、12月4日(日)~17日(土)にカンクン(メキシコ)で開催されます。
COP13では「各種セクターへの生物多様性の保全及び持続可能な利用の組み込み」が主要なテーマとなり、とりわけ農林水産業及び観光業における主流化が焦点となります。
また、2日(金)~3日(土)には閣僚級会合(ハイレベルセグメント)が開催され、各国閣僚出席の下で事例の共有がなされるとともに、上記テーマに関する誓約から構成されるカンクン宣言の採択が行われる予定です。

1.経緯

 ○条約の正式名称は、「生物の多様性に関する条約」です。生物多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用および遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を実現することを目的として、1992年に採択されました。現在、194カ国、EUとパレスチナが締結しています。

 ○2010年10月に愛知県名古屋市で開催されたCOP10では、日本が議長国を務め、生物多様性に関する新たな世界目標である愛知目標の採択や、遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する名古屋議定書の合意など、歴史的な成果が得られました。

 ○カルタヘナ議定書(正式名称=生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書)は平成15年9月11日に発効しました。日本は同年11月に本議定書を締結し、翌年2月に日本について発効しました。

 ○名古屋議定書(正式名称=生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書)は平成26年10月12日に発効し、COP12と併せて名古屋議定書第1回締約国会議(COP-MOP1)が開催されました。
(参考)最近の締約国会議の開催状況
COP9  2008年 5月 ボン(ドイツ)
COP10  2010年10月 愛知県名古屋市
COP11  2012年10月 ハイデラバード(インド)
COP12  2014年10月 ピョンチャン(韓国)

2.会議概要

  今次会合は「とりわけ農林水産業及び観光業における各種セクターへの生物多様性の保全および持続可能な利用の組み込み」が主題となっています。開催場所はムーンパレスおよび複合施設(メキシコ・カンクン)です。

 (参考)生物多様性の主流化

  生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性が、国、地方自治体、事業者、NPO・NGO、国民などのさまざまな主体に広く認識され、それぞれの行動に反映されること。具体的には、それらの重要性について、セクター内およびセクター間の計画、事業、方針などへ組み込むこと、生物多様性の価値を国家勘定や報告制度に組み込むこと、国の意思決定に反映すること、ビジネスを含む関係者が持続可能な生産及び消費のための行動を行うことなどが盛り込まれています。

(1)生物多様性条約COP13
1) 会議名称
日本語:生物多様性条約第13回締約国会議
英語:The thirteenth meeting of the Conference of the Parties to the Convention on Biological Diversity

  2) 開催日程:平成28年12月4日(日)~17日(土)

  3) 主な議題
戦略計画2011-2020の実施と愛知目標の達成を強化するための更なる戦略的行動が決定される予定です。特に、農林水産業、観光業を含む関連セクターをまたぐ生物多様性の主流化及び統合などを通じた、各国の実施を強化するための戦略的行動について、検討することが見込まれます。

  具体的には、モニタリングの強化、認証スキームの活用、普及啓発のためのコミュニケーションの実施、生物多様性の価値の評価ツールの活用などが締約国などに求められています。主な議題は下記のものです。

 <戦略計画の進捗評価および実施のための強化>
・戦略計画2011-2020の実施および愛知目標の達成に向けた進捗状況の時点レビュー
・セクター内及びセクター間における生物多様性の主流化、統合に関する事項を含めた、戦略計画2011-2020の実施および愛知目標の達成を強化するための戦略的行動。
・資源動員と資金メカニズム
・その他実施事項: 能力養成の強化、実施を補助するための技術科学的協力およびその他イニシアティブ
・他条約および国際機関との協力

 <作業計画によるその他の事項>

 ・条約第8条(j)項(原住民の知識、工夫及び慣行)および関連条項・・・伝統的知識の還元のためのガイドライン、法律またはその他メカニズムの開発のためのガイドラインなど

 ・海洋および沿岸の生物多様性・・・生態学的または生物学的に重要な海域(Ecologically or Biologically Significant Marine Areas: EBSAs)、冷水域の海洋酸性化と生物多様性に係る特定の作業計画、海洋及び沿岸の生物多様性の人為的な水中騒音並びに海洋ゴミの影響に対する取り組み、海洋の空間計画および研修イニシアティブ

 ・侵略的外来種・・・貿易における外来種侵入リスクに対する取り組み、生物的防除の経験、決定を支援するツール

 ・その他科学技術的課題(合成生物学、花粉媒介者に関する生物多様性および生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services=IPBES)の評価結果および持続可能な野生生物の管理を含む)

 <条約の運営>

 ・条約の構造とプロセスの効率化(条約と議定書間の統合を含む)

 ・今後の地球規模生物多様性概況(Global Biodiversity Outlook=GBO)、生物多様性戦略計画及び愛知目標に関する指標の様式、並びに第6回国別報告のためのガイドライン

 <自然との共生に関する双方向対話>
12月13日(火)15:00~18:00に実施される「自然との共生に関する双方向対話」において、有識者数名から経験の共有がなされることとなっており、日本から総合地球環境学研究所 中静透教授が、自然との共生に関する取り組みについて科学的な観点から日本の経験を共有します。

(2)カルタヘナ議定書COP-MOP8

  1) 会議名称
日本語:生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書第8回締約国会合
英語:The eighth meeting of the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Cartagena Protocol on Biosafety

  2) 開催日程:平成28年12月4日(日)~17日(土)

  3) 主な議題
遺伝子組換え生物の使用による生物多様性への悪影響を防止することを目的とするカルタヘナ議定書の各国における履行状況や課題などについて検討し、今後の取り組みなどの合意形成を図るための会合であり、今回は、途上国などで遺伝子組換え生物による生物多様性へのリスク評価およびリスク管理を行う際に参考にするためのガイドラインのあり方や、2011年10月から2015年10月までの4年間の各国における議定書の履行状況などについて議論される予定です。

  主な議題としては以下のものがあります。
・リスク評価及びリスク管理(議定書第15条及び16条)
・意図的でない越境移動(同第17条)
・議定書の履行状況及び有効性のレビュー

(3)名古屋議定書COP-MOP2

  1) 会議名称
日本語:遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する名古屋議定書第2回締約国会合
英語:The second meeting of the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Nagoya Protocol on Access and Benefit-sharing

  2) 開催日程:平成28年12月4日(日)~17日(土)

  3) 主な議題
・専門家会合の結果を踏まえた遺伝資源の利用から生ずる利益の多国間利益配分メカニズム(議定書第10条)の必要性および態様についての議論
・ABS(遺伝資源へのアクセスと利益配分)情報交換センターの活用(同第14条)
・2018年のCOP-MOP3に予定されている名古屋議定書の有効性評価(同第31条)にむけた検討手続き
・愛知目標16達成状況評価、名古屋議定書条文の遵守委員会の手続き規則など(同第30条)

(4)閣僚級会合(ハイレベルセグメント)

  1) 開催日時:平成28年12月2日(金)~12月3日(土)

  2) 主要議題
「福利のための生物多様性の保全及び持続可能な利用の主流化」に関する誓約を含むカンクン宣言の採択が行われます。同宣言案には、法体系や政策などに生物多様性の保全、持続可能な利用に関する行動を組み込むことに加え、観光業、農林水産業による生物多様性への影響に対する配慮を、事業活動に内部化することなどが記載されています。
・観光業の場合の例) 観光に関する政策やモデルに生物多様性を統合すること
・農業の場合の例)  花粉媒介者の適切な管理と保全 など
また今回のハイレベルセグメントは、環境大臣のみならず生物多様性に関連するセクターの主務閣僚が集まり、対話と成功事例の共有を行う機会となります。

(5)ビジネスフォーラム

  1) 会議名称
日本語:ビジネスと生物多様性フォーラム2016
英語:2016 Business and Biodiversity Forum

  2) 開催日時:平成28年12月2日(金)~12月3日(土)

  3) 主要議題
民間セクターの視点から生物多様性保全に取り組むための新たな考え方の提示、生産プロセスへの生物多様性の主流化に関する経験などの意見交換、条約加盟国閣僚などとの意見交換、生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性を伝えるための誓約を奨励することを目的とする、ビジネス関係者による会合です。

  2日間にわたり、「生物多様性の主流化:ビジネスのための機会」というテーマの下、自然資本会計、気候変動と生物多様性、財務的解決方法、ABS、サプライチェーン、パートナーシップといったセクター横断的なテーマや、農林漁業、ツーリズムといった個別セクターごとのテーマを扱うセッションにおいて議論を行います。

(6)自治体会議

  1) 会議名称
日本語:第5回都市と地方政府の世界生物多様性サミット
英語:5th Global Biodiversity Summit of Cities and Subnational Governments

  2) 開催日時:平成28年12月9日(金)~12月11日(日)

  3) 主要議題
「自然が最も重要な地域での生物多様性の主流化」とのテーマの下、生物多様性の保全や生態系の効率的な管理における都市や地方政府の世界的な貢献を強化することを目的とする会議です。都市と地方政府の生物多様性の活動についての縦断的統合や横断的連携の機会の提供が見込まれます。

3.サイドイベント、その他会合などについて

(1)サイドイベント

 ○「国連生物多様性の10年の日」(UNDB-DAY)
「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」(委員長:榊原定征 一般社団法人 日本経済団体連合会 会長)と生物多様性条約事務局は、生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)のサイドイベントの一つであるCEPAフェアで、12月5日を、「国連生物多様性の10年の日」として、UNDBの推進による愛知目標達成のための行動を国際的に呼びかけるイベントを実施します。

 1) 開催日時:平成28年12月5日(月)10:00~19:00

 2) 会場:生物多様性条約第13回締約国会議 CEPAフェア会場
CEPA ... 広報(Communication)、教育(Education)、普及啓発(Public Awareness)

 3) 主催:環境省、UNDB-J及び生物多様性条約事務局

 4) 概要:日本の提案により国連総会で決議された国連生物多様性の10年(UNDB)の、推進のためのイベント。世界的にも先駆的な取組みであるUNDB-Jの事例の紹介などを通じ、UNDBの推進と活用を通じた生物多様性の主流化を進めるにあたっての課題などについて議論する。

 5) プログラム概要:

 ・日本、ドイツにおけるUNDBを推進するための国内委員会と愛知県による、取り組み紹介およびパネルディスカッション

 ・農林水産業および各セクター(ユース、市民、企業)による日本と海外の取り組み事例発表

 ・愛知目標の達成に貢献するリーダーの決意表明

 ○その他のCOP13期間中の環境省関連のサイドイベントについては、別添を参照下さい。

(2)展示ブース
COP13期間中、展示ホールで開催される「生物多様性の主流化 博覧会」で、環境省と農林水産省の共同で日本の生物多様性の主流化に関する取り組みを紹介する展示ブースを設置予定。

(3)福利のための生物多様性主流化に向けた市民社会とユースの連合
会議期間前の11月28日(月)~30日(水)には、市民社会及びユースの会合が開催されます。

 【本会合の公式ウェブサイト】
・生物多様性条約事務局運営サイト: https://www.cbd.int/cop2016/
・主催国メキシコ運営サイト:http://cop13.mx/en/

 【対象者別ページ】
・一般向け:https://www.cbd.int/cop2016/public/
・メディア向け:https://www.cbd.int/cop2016/media/

 【SNS】
・Twitter
 -生物多様性条約事務局ページ: https://twitter.com/cbdnews
 -メキシコ運営COP13ページ:https://twitter.com/COP13mx

  ・Facebook
 -国連生物多様性の10年ページ: http://facebook.com/unbiodiversity
 -メキシコ運営COP13ページ:https://www.facebook.com/COP13MX

  ・Instagram
 -国連生物多様性の10年ページ: https://www.instagram.com/unbiodiversity/
 -メキシコ運営COP13ページ:https://www.instagram.com/COP13MX/

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課
生物多様性地球戦略企画室
直通 03-5521-8275
代表 03-3581-3351
室長  :中尾 文子 (内 6480)
室長補佐:大澤 隆文 (内 6485)
主査  :林  優里 (内 6482)

生物多様性施策推進室
室長  :西山 理行 (内 6661)
室長補佐:鈴木 宏一郎(内6662)
室長補佐:中山 直樹 (内 6668)
係長  :中原 一成 (内 6666)

外来生物対策室
野生生物課外来生物対策室
室長  :曽宮 和夫 (内6680)
室長補佐:立田 理一郎(内6681)
係長  :平山 宗幸 (内6683)

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