報道発表資料

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2016年10月27日
  • 総合政策

(仮称)中紀ウィンドファーム事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、27日、和歌山県で実施予定の「(仮称)中紀ウィンドファーム事業」(エコ・パワー株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、和歌山県有田郡有田川町・広川町及び日高郡日高川町において、最大出力54,600kWの風力発電所を設置する事業である。
 環境大臣意見では、①工事計画の見直しにより、切土高、盛土高を減じ、残土の発生を最小限に押さえること、②事後調査及び環境監視等を適切に実施し、必要に応じて、追加的な環境保全措置を講ずること、③対象事業実施区域及びその周辺では希少猛禽類の生息及び繁殖が確認されているため、供用後の事後調査及び環境監視を実施すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を述べることができるとされている。
 本件は、和歌山県の「(仮称)中紀ウィンドファーム事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続きが求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

・事業者   エコ・パワー株式会社
・計画位置 和歌山県有田郡有田川町、広川町及び和歌山県日高郡日高川町に接する白馬山脈稜線
・出力   最大54,600kW(定格出力2,100kW☓26基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

 (1)工事計画の見直しについて

 本事業の工事計画は、風力発電設備等の設置により非常に多くの土地の改変が行われ、発生する大量の残土の処理のために高大な土捨場を設置し、更に多くの土地の改変が行われることとなっている。
 このようなことから、水環境、動植物の生息・生育環境、生態系への重大な影響が懸念される。
 このため、以下の事項を念頭に、風力発電設備等の建設手法、道路計画等を見直すとともに、改変区域等の大幅な変更がある場合には、調査、予測及び評価を再度実施し、必要な環境保全措置を講ずること。

①切土高、盛土高を減じ、土地の改変面積の最小化を図ること。
②残土の発生を最小限に押さえること。
③やむを得ず残土が生ずる場合には、まず、既存の残土処理施設で適切に処理することを検討し、新たに土捨場を設けて残土を処理する場合には、盛土の安定性を確保できる場所、工法を選択すること。
④沈砂池等の配置及び流末処理等の濁水対策を十分に検討し、適切に講ずること。
⑤希少な動植物の生息地・生育地の改変を極力回避すること。
⑥①から⑤の措置を講じてもなお、大規模な土工量が発生する風力発電設備等については、これらの設置の取りやめや配置等の見直しを行うこと。

 (2)事後調査について

 上記の措置を講ずることを前提として、事業実施に当たっては、以下の取組を行うこと。
①事後調査及び環境保全措置に位置づけられている環境監視等を適切に実施し、必要に応じて、追加的な環境保全措置を講ずること。
②上記の追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、措置の内容が十全なものとなるよう客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
③本事業による環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

[2]各論

 (1)鳥類に対する影響 

 対象事業実施区域及びその周辺では、希少猛禽類の生息及び繁殖が確認されているため、供用後の事後調査及び環境監視を実施すること。
 また、バードストライクに関する事後調査において、希少猛禽類等重要な鳥類の衝突等重大な影響が認められた場合は、鳥類からの視認性を高める措置、稼働制限等を含めた追加的な環境保全措置を講ずること。
 併せて、稼働後においてバードストライクが発生した場合の対応措置について、事故の確認・報告、連絡体制、原因の解明、防止措置、死骸・傷病個体への対処等を定めて実施すること。

(2)騒音等に係る環境影響 

 対象事業実施区域周辺には住居等が存在しているため、騒音等の影響を考慮した風力発電設備の採用等の環境保全措置を講ずること。
 また、適切に事後調査を実施し、その結果、生活環境への影響が十分低減できないと判断された場合には、追加的な環境保全措置を講ずること。

(参考)環境影響評価に係る手続き

【方法書の手続き】

・縦覧           平成25年3月28日~平成25年4月30日(住民意見4件
・和歌山県知事意見提出 平成25年7月25日
・経済産業大臣勧告   平成25年8月8日

【準備書の手続き】

・縦覧           平成28年5月10日~平成28年6月9日(住民意見14件
・和歌山県知事意見提出 平成28年10月26日
・環境大臣意見提出   平成28年10月27日

                           ※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局
環境影響審査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8237
室長  :大井通博(内6231)
室長補佐:伊藤史雄(内6233)
審査官 :日下 崇 (内6248)

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