報道発表資料

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2016年10月13日
  • 総合政策

(仮称)住田遠野風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、13日、岩手県で実施予定の「(仮称)住田遠野風力発電事業に係る環境影響準備書」(株式会社グリーンパワーインベストメント)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、岩手県遠野市及び気仙郡住田町において、最大で総出力99,750kWの風力発電所を設置する事業である。
 環境大臣意見では、以下の環境保全措置等を求めている。①工事用資材等の輸送に伴う騒音の低減に努めること。②イヌワシへの影響を回避するため、6号機については、事業実施前に飛翔状況調査及び植生調査を行い、餌場の利用阻害及びバードストライクの発生が回避できると専門家が判断する場合以外は設置の取りやめを含む抜本的な見直しを行うこと。③イヌワシのバードストライクが発生した場合に稼働停止すること等。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 本件は、岩手県の「(仮称)住田遠野風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

・事業者  株式会社グリーンパワーインベストメント
・計画位置 岩手県遠野市及び気仙郡住田町(敷地面積:約607ha)
・出力   総出力99,750kW(単機出力2,850kW級×35基)

3.環境大臣意見の概要

[1]総論
①事後調査及び環境監視を適切に実施し、追加的な環境保全措置を講ずること。
②追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
③事後調査及び環境監視等により環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

[2]各論

(1)騒音について
 騒音については、工事用資材等の輸送に伴いA及びBの地域類型における環境基準値を上回る騒音が発生することが予測されていることから、工事用資材等の通行ルート調整等の追加的な環境保全措置により騒音を一層低減するよう努めるとともに、工事実施期間中には、追加的な環境保全措置の効果について確認すること。

(2)鳥類等について
 対象事業実施区域及びその周辺は、イヌワシを含む重要な鳥類及びほ乳類の生息環境となっているほか、対象事業実施区域では、イヌワシ等の希少猛禽類の飛翔が確認されており、本事業によるこれら希少猛禽類等への重大な影響が懸念される。
 特にイヌワシについては、餌場の利用阻害及びバードストライクの発生が懸念される。
 以上より、本事業による希少猛禽類等への影響を回避又は低減する観点から、以下の措置を講ずること。
①風力発電設備の6号機については、事業実施前に飛翔状況調査及び植生調査を実施し、餌場の利用阻害及びバードストライクの発生が回避できると専門家が判断する場合以外は、設置の取りやめを含む抜本的な見直しを行うこと。
②バードストライクの発生の可能性を低減するために、ブレード塗装等鳥類からの視認性を高める措置を設備稼働前に講ずること。
③事後調査を適切に実施し、イヌワシに係るバードストライクが発生した場合には、専門家の助言を踏まえて、当該風力発電設備及び同様に衝突する可能性が高い風力発電設備を停止するとともに、原因を解決するための追加的な措置を行った上で稼働再開とすること。また、その他の重要な鳥類及びほ乳類も含め、バードストライク又はバットストライクが発生した場合の対応措置について、あらかじめ定めて実施すること。

(参考)環境影響評価に係る手続き

【配慮書の手続き】
・縦覧        平成26年10月7日~平成26年11月6日(住民意見0件
・環境大臣意見提出  平成26年11月28日

【方法書の手続き】
・縦覧        平成27年2月6日~平成27年3月9日(住民意見0件
・岩手県知事意見提出 平成27年6月30日
・経済産業大臣勧告  平成27年7月10日

【準備書の手続き】
・縦覧        平成28年5月27日~平成28年6月27日(住民意見27件
・岩手県知事意見提出 平成28年10月12日
・環境大臣意見提出  平成28年10月13日

 ※環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8237
室長  :大井通博(内6231)
室長補佐:伊藤史雄(内6233)
審査官 :吉澤泰輔(内6248)
担当  :桜庭恭司(内6239)

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