報道発表資料

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2016年09月12日
  • 総合政策

一般国道20号に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見について

 環境省は、12日、「一般国道20号(長野県諏訪市~下諏訪町間)に係る計画段階環境配慮書」に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出した。
 本事業は、国土交通省関東地方整備局が、長野県諏訪市から諏訪郡下諏訪町に至る延長約11kmの道路を設置又は拡幅整備するものである。
 環境大臣意見では、本事業により、湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼とされる諏訪湖等、公共用水域への更なる環境負荷が生じるおそれがあるため、土地改変量を抑制する位置・構造を採用する等、土地改変等に伴う水の濁り等の発生・流入による影響を回避・極力低減すること、トンネル掘削に伴う温泉源泉等の減衰・枯渇の影響について、温泉源泉の改変の極力回避、地下水環境に影響を及ぼすおそれの小さい位置・構造を採用する等、回避・極力低減すること等を求めた。

1.背景

 環境影響評価法は、4車線以上・7.5km以上の一般国道の設置・改良の工事を対象事業としており、環境大臣は、計画段階環境配慮書※について、国土交通大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 本件は、この手続に沿って意見を提出するものである。
 今後、国土交通大臣から事業予定者である国土交通省関東地方整備局に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業予定者は、意見の内容を検討したうえで詳細計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書の作成)に係る手続を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

・名称     一般国道20号(長野県諏訪市~下諏訪町間)
・事業予定者  国土交通省関東地方整備局
・事業予定地  長野県諏訪市、諏訪郡下諏訪町
・事業規模   約11km

 なお、本配慮書では、事象実施想定区域の設定において、【案】バイパス案(以下「バイパス案」という。)、【比較案1】現道拡幅(以下「現道拡幅案」という。)及び【比較案2】現都市計画ルート(以下「都市計画案」という。)の複数案が設定されている。

3.環境大臣意見の概要

【1】総論
(1)対象事業実施区域の設定に当たり、市街地・集落、重要な動植物の生息・生育地等、環境配慮が必要な対象に対する影響を回避・極力低減すること。

(2)今後、適切に予測した将来交通量や社会状況等を踏まえ、本事業の内容を精査し、環境に十分配慮した内容とすること。

(3)対象事業実施区域又はその周辺に上記(1)の対象が存在する場合は、当該対象への環境影響を十分考慮し、環境影響評価項目を適切に選定すること。

(4)今後、本事業の対象道路への連絡道路が計画され、それにより追加的な影響が生じるおそれがある場合は、連絡道路の存在・供用を前提とした調査、予測・評価を行うこと。

【2】各論
(1)大気環境
 市街地・集落の分断及び住居・環境保全の配慮が特に必要な施設に影響を及ぼす改変の極力回避、円滑な交通流を確保できる位置・構造の採用等により、生活環境への影響を回避・極力低減すること。特に、現道拡幅案は、自動車の走行に伴う騒音等の増加により沿道の地域への更なる環境負荷が生じるおそれがあるため、詳細な拡幅位置・道路構造の検討に当たり、道路騒音の環境基準の達成状況を悪化させないための措置を検討すること。

(2)水・土壌環境
① 諏訪湖は湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼とされているところ、浮遊物質量(SS)等に係る水質の環境基準は非達成である中、本事業は諏訪湖に流入する河川・沢を通過するため、特に、主に丘陵地を通過するバイパス案及び都市計画案は、土地改変に伴う濁水等の発生により公共用水域への更なる環境負荷が生じるおそれがあるため、土地の改変量及び森林の改変面積を抑制する位置・構造の採用等により、その影響を回避・極力低減すること。

② トンネル構造を採用する場合は、トンネル掘削等に伴う地下水の坑内への流出等による温泉源泉等の減水、枯渇等の影響が生じるおそれがあるため、温泉源泉の改変の極力回避、地下水環境に影響を及ぼすおそれの小さい位置・構造の採用等により、その影響を回避・極力低減すること。

③ 諏訪湖南東側は軟弱地盤が分布し、道路構造物の設置に伴う地盤沈下による影響が生じるおそれがあるため、地盤沈下が生じるおそれの小さい位置・構造の採用等により、その影響を回避・極力低減すること。

(3)上記(1)、(2)の他に、動植物・生態系、景観・人と自然との触れ合いの活動の場、建設発生土・廃棄物に関しても、環境への影響を回避・極力低減するための措置を求めている。

(参考)環境影響評価に係る手続

・平成28年7月29日  国土交通大臣から環境大臣への意見照会

・平成28年9月12日  環境大臣から国土交通大臣への意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8237
室長  :大井通博 (内6231)
室長補佐:伊藤史雄 (内6233)
審査官 :岸田周  (内6253)
担当  :桜庭恭司 (内6239)

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