報道発表資料

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2016年08月30日
  • 自然環境

東京電力福島第一原子力発電所周辺における野生動植物への放射線影響調査のとりまとめについて

環境省では、東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発という)の事故により放出された放射性物質による野生動植物への影響を把握するため、福島第一原発周辺で調査を実施しています。このたび、平成24年度から平成27年度までの調査結果をとりまとめ、ホームページに掲載しましたので、お知らせします。
 本調査では、福島第一原発周辺において、野生動植物の試料採取、放射能濃度の測定、被ばく線量率の評価、繁殖に係る調査(発芽試験、ツバメの繁殖状況調査)、定点カメラの撮影による環境変化の記録等を行いました。環境省のこれまでの調査の結果、野生動植物において、放射線との明確な因果関係を示す変化は確認されていません。
 放射性物質による野生動植物への長期的な影響を把握するため、今年度も調査を継続しており、今後も調査を実施する予定です。

1.経緯

 環境省では、福島第一原発の事故により放出された放射性物質による野生動植物への影響を把握するため、福島第一原発周辺において調査を実施しています。震災から5年が経過したことから、これまでの調査結果のとりまとめを行い、その結果を環境省ホームページに掲載しました。(https://www.env.go.jp/jishin/monitoring/results_r-wl.html

2.調査結果の概要

 環境省では、福島第一原子力発電所周辺において、野生動植物の試料採取及び外部形態の観察、放射能濃度の測定、被ばく線量率の評価、繁殖に係る調査(発芽試験、ツバメの繁殖状況調査)、定点カメラの撮影による環境変化の記録等を行いました。
 本調査では約80種の野生動植物から試料を採取し、調査を行ってきましたが、これまでのところ、野生動植物において、放射線との明確な因果関係を示す変化は確認されていません。
 外部形態の観察においては、平成26年度にモミの形態変化が確認されましたが、それ以外の動植物種には変化は確認されませんでした。なお、モミの形態変化については、現時点で放射線被ばくとの因果関係は明らかになっておらず、発生要因を特定するための調査を行っているところです。
 また、被ばく線量率の推定に基づく放射線影響の評価においては、一部の地域・動植物種で影響が生じる可能性を否定できないことが示されましたが、本評価は、より大きな影響が生じうる条件を設定して計算した保守的な推定となります。このため、今回の評価結果は実際にこのような影響が生じていることを示すものではなく、繁殖に係る調査として実施した種子の発芽率やツバメの産卵状況に関する調査においても、発芽率や産卵数に放射線との明確な因果関係を示す変化は確認されませんでした。
 放射性物質による野生生物への長期的な影響を把握するため、今年度も調査を継続しており、今後も調査を実施する予定です。

3.データの修正について

 今回、調査結果の取りまとめの過程で、過去に公表されたデータの一部に誤り(放射能濃度の補正の計算と表記について)があることが確認されましたので、必要な修正を行いました。また、数値の表記を統一し、最新の情報に基づいて、被ばく線量率(推定値)を再計算し、改めて142試料について放射線影響の再評価を行いました。そのうち4試料で評価が変わりました。
 そのため、環境省ホームページで公開していた平成24年度から平成26年度の調査結果と一部異なっているデータがありますので、お知らせするとともに、謹んでお詫び申し上げます。また、ホームページに掲載していた資料は、最新の情報に更新しております。
 今後、このようなことがないよう、多重確認を行うなど、公表資料のチェック方法を改善し、再発防止に努めてまいります。

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8343
課長  :奥田 直久 (内 6430)
課長補佐:岡野 隆宏 (内 6435)
係長  :櫻又 涼子 (内 6499)
係員  :尾﨑 由布子(内 6436)