報道発表資料

この記事を印刷
2016年07月01日
  • 再生循環

「平成28年度低炭素型3R技術・システム実証事業」の公募結果について

 環境省では、循環型社会と低炭素社会の統合的実現に向けて、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の進展とCO2排出削減が期待できる「低炭素型3R技術・システム」の有効性を検証することを目的とした実証事業の公募を行い、この度、「平成28年度低炭素型3R技術・システム実証事業」について、有識者で構成される評価検討会において申請者からヒアリングを行い、採択事業を決定しました。

1.「平成28年度低炭素型3R技術・システム実証事業」の公募概要

 リサイクルより優先順位の高い2R(リデュース・リユース)の取組や、レアメタル等の有用金属の回収及び水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進は、廃棄物の減量に資するだけでなく、天然資源の消費を抑制するものですが、現時点では十分に行われているとは言えません。また、これらの取組はCO排出削減やコストダウンにも資する可能性がある一方で、その実現可能性や削減効果については十分な検証がなされていません。加えて、地球温暖化問題等を背景に、製品の軽量化等により性能が著しく向上し、又は新素材・技術等が用いられるなど、リサイクルを取り巻く環境は一層複雑化しています。

 そうした中で、事業性が高く、かつ、実効性のある取組を進めるためには、関連事業者の連携や集約化によるスケールメリットを働かせることが重要と考えられます。

 このため、環境省では、循環型社会と低炭素社会の統合的実現のため、CO排出削減が期待できる「低炭素型3R技術・システム」の普及拡大に向けて有効性を検証することを目的とした実証事業を行うこととし、平成28年2月22日(月)から3月31日(木)までの間に対象事業の公募を行いました。

2.選定結果

 本事業の公募に対し、14件の応募があり、事業における環境改善効果の評価方法、実現した場合の環境改善効果の見込み、連携の妥当性等の観点から、有識者で構成される評価検討会により申請者からヒアリングを行い、厳正なる審査を行った結果、「平成28年度低炭素型3R技術・システム実証事業」として以下の8件について選定しました。

申請者名

申請事業名

事業の概要

パナソニック

株式会社

太陽電池リサイクルにおけるガラス再生と高効率解体工程の実証 (※)

使用済み太陽電池の解体に、パルス破砕システムを適用することで、システムの省エネ化と封止樹脂の資源化に向けたプロセスを構築。また、太陽電池で重量比率が高いガラスのリサイクル技術の調査・検証を実施。

太平洋セメント

株式会社

低温加熱脆化技術による省エネ型高度選別マテリアルリサイクルシステムの開発 (※)

300℃程度の低温加熱脆化処理により、シュレッダーダスト(ASR)等からの有用金属の回収、脱塩並びに次世代素材(CFRP)処理を容易とし、脆化物を石炭代替燃料として活用する技術・プロセスを構築する。

豊田通商株式会社

HVユニットをリユーズした小型風力発電システムを構築する仕組み作り

ハイブリッドカー(HV車)のHVユニットを活用し、付加価値の大きい国内需要先(小型風力発電システム)を創出することで、マテリアルリサイクル直結の従来システムよりも高資源効率の3Rシステムを実現、同時に小型風力発電を通じ低炭素型社会の実現に貢献する。

いその株式会社

使用済自動車由来PP部品の効率的な再生材生産プロセスの検証 (※)

使用済バンパー及び内装部品のマテリアルリサイクル構築に向け、部品回収、運搬、破砕・洗浄、再生樹脂製造という各工程の効率化を検証し、再生材生産プロセス全体での低炭素化、再生樹脂の低コスト化を目指す。

株式会社

オリエンタル

コンサルタンツ

電池診断技術の適用によるE Vリチウムイオン電池のライフサイクル最大化を目指したカスケードリユースモデル実証事業 

電気自動車の普及に伴い今後増加する一次利用を終えた車載用リチウムイオン電池を対象に、電池性能の最大活用によるCO排出削減に向け、電池診断技術の適用を通じ、電池のカスケードリユースモデルの実証事業を行う。

株式会社サイム

ASRプラスチックの材料リサイクル深化技術の実証 (※)

使用済み自動車から発生するASRの中のプラスチックを、再利用での使いこなしまで考慮して、複数の品質セグメントで回収する高効率の低炭素型マテリアルリサイクル技術の実証を行う。

株式会社

矢野経済研究所

自動車リサイクルの全体最適化を念頭においた解体プロセスの高度化実証事業 (※)

使用済自動車の解体実証から、経済性に優れ、自動車の環境配慮設計につながる解体プロセスの高度化を図り、ASRの発生抑制とともに資源循環促進及び素材生産時省エネに資する自動車リサイクルの全体最適化を目指す

リサイクルテック

・ジャパン株式会社

使用済太陽電池モジュールの新たなリサイクル、リユースシステムの構築実証事業 (※)

使用済太陽電池モジュールの用途別リユースパッケージの検討、およびガラスの水平リサイクルを含めたリサイクル用途の開発、実用化を目指し、低炭素型のリユース・リサイクルの全国システムを構築する。

(注釈) 

・(※)がついているものは、平成27年度に採択され実証を行った事業の類似・継続的な案件。

・ASRとは、自動車破砕残さのことであり、Automobile Shredder Residue の略称。

・CFRPとは、炭素繊維強化プラスチックのことであり、Carbon Fiber Reinforced

Plasticsの略称。

<平成28年度低炭素型3R技術・システム実証事業評価検討会 委員名簿>

 大和田 秀二   早稲田大学創造理工学部環境資源工学科 教授

 小野田 弘士   早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科 准教授

 中村  崇    東北大学多元物質科学研究所 教授

 松藤  敏彦   北海道大学大学院工学研究院 教授

 村上  進亮   東京大学大学院工学系研究科 准教授

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直  通 03-5501-3153
代  表 03-3581-3351
室  長 田中 良典(内線6831)
室長補佐 泉  知行(内線6855)
担  当 光山 拓実(内線6833)