報道発表資料

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1999年08月02日

広野火力発電所他に係る環境庁長官意見の提出について

 本日、環境庁は、広野火力発電所5・6号機及び大間原子力発電所について、新アセス制度に基づく環境の保全の見地からの意見を通産省に提出した。本年6月12日より施行された環境影響評価法では、対象事業の環境影響評価について環境庁長官の意見を求めることが規定されているが、同法の施行後、環境庁長官が意見を提出するのはこれが初めて。

(1)

意見の内容
〈広野火力発電所5・6号機〉

  1. 燃料が石炭であることから、これまでは項目として取り上げられていなかった二酸化炭素についても予測・評価の対象とすること
  2. 削減対策として高効率ボイラーの採用や低公害車・太陽光発電の導入等の措置を講じること

など

〈大間原子力発電所〉

  1. 海域工事時の濁りの防止や温排水の影響抑制のための措置を講じること
  2. 貴重な動植物の生息・生育状況の事後調査などを実施すること

など

(2)

今後の手続等

  1. 事業者は、これらの意見を踏まえ、環境影響準備書を書き換えて環境影響評価書を作成する。
  2. 事業者は新アセス制度に基づいて、評価書に沿った形で、事業を実施することになる。

[1].環境影響評価法/電気事業法に基づく環境庁長官意見の提出
 今回の対象事業である広野火力発電所5・6号機及び大間原子力発電所は、通産省の省議アセスに基づき環境影響調査書が作成されており、環境影響評価法施行後、経過措置により同調査書が環境影響評価法に基づく準備書とみなされ、以後の手続が進められている。
 今般の環境庁長官意見を受け、通商産業大臣により準備書について勧告がなされる。事業者は、これらを踏まえて環境影響評価書を作成し、新アセス制度に基づき、評価書に記載されているところにより環境保全についての適正な配慮をして事業を実施することになる。

(注)環境影響評価法の対象事業の一つである発電所は、環境影響評価法の一般則に従い環境影響評価が行われるとともに、電気事業法において手続の各段階で国が関与する特例が設けられている。

[2].対象発電所の概要と環境庁長官意見の内容

(1)広野火力発電所5・6号機

 〔概要〕

事業者 東京電力(株) 最大出力 60万kw×2(120万kw)
計画位置 福島県双葉郡
広野町
発電方式 汽力
(ボイラー・タービン方式)
用  地 約14万m
(発電所全体で
約132万m2)
運転開始
発電方式
5号機:平成14年8月
6号機:平成17年7月
燃  料 石炭  約250万t/年

〔環境庁長官意見の内容〕
1.本計画により多量の二酸化炭素が排出されることに鑑み、環境影響評価の項目として二酸化炭素を追加し、排出量の把握とその評価を行うこと。
 また、二酸化炭素による影響をできるだけ回避又は低減するための措置として、事業者による総合的な取組や計画地における植栽を位置づけるとともに、5・6号機における超々臨界圧ボイラーの採用、既設機も含めた熱効率の維持・向上及び低公害車・太陽光発電設備の導入等の対策を講じること。
 以上の点について、環境影響評価書に記載すること。

2.計画地周辺における比較的良好な大気環境が今後とも維持されるよう大気環境負荷の低減に努める必要があることから、施設の適切な維持管理を行うとともに、予測の不確実性を補うため、地方公共団体と連携しつつ大気環境監視体制の充実を図ること。また、これらの措置について、環境影響評価書に記載すること。

3.計画地周辺海域は、本発電所の他に福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所からも温排水の影響を重複して受ける海域である。このため、事業者によりとりまとめられた、福島第一原子力発電所7・8号機増設を含む全施設が稼働した場合の温排水の拡散予測の結果及び評価の結果についても環境影響評価書に記載すること。


(2)大間原子力発電所
 〔概要〕

事業者 電源開発(株) 最大出力 138.3万kw
計画位置 青森県下北郡
大間町
発電方式 原子力
(改良型沸騰水型軽水炉)
用  地 約132万m2 運転開始 平成19年7月
燃  料 低濃縮ウラン及び
ウラン・プルトニウム
混合酸化物
(MOX燃料)
 約35t/年
  (改良型沸騰水型軽水炉)

〔環境庁長官意見の内容〕

 1.海域における工事時には、施工区域境界において海水の濁りの測定を行い、工事によ り付加される濁りが10mg/l以上となる場合には、汚濁拡散防止膜の設置等所要の対策を講 じること。また、これらの措置について、環境影響評価書に記載すること。

 2.温排水に伴う周辺海域への影響を極力抑制するため、排熱の有効利用等について検討 の上、講じる措置として環境影響評価書に記載すること。

 3.既存林の伐採面積を少なくし貴重植物の生育環境を保護することを目的として行う土 捨場、土砂仮置場の配置及び土捨場の形状の見直しについて、当該措置の具体的内容、検 討の経過及び措置に伴う影響の検証結果を整理した上で、環境影響評価書に記載すること 。

 4.計画地中央に位置する沢について、予測の不確実性を補うため、工事中及び供用後に おける貴重な動植物の生息・生育状況の事後調査を行うとともに、事業による影響が明ら かになった場合には、流水の確保等所要の対策を講じること。また、これらの措置につい て、環境影響評価書に記載すること。

連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課
室 長 :小林正明(内6231)
 審査官 :瀧口博明(内6236)