報道発表資料
本事業は、熊本県大津町を起点とし、同県熊本市を終点とする約15~20kmの地域高規格道路中九州横断道路の一部区間を整備するものである。また、当該配慮書において、ルートの位置に関する複数案を設定している。
環境大臣意見では、現道改良案の採用可否の判断に当たり、住居等保全対象への騒音や排気ガスの影響を回避又は極力低減できるか慎重に検討すること、詳細なルート・構造の検討に当たり、重要な動植物の生息及び生育地の分断等を回避又は極力低減すること等を求めている。
1.背景
環境影響評価法では、4車線以上・10km以上の一般国道の設置・改良の工事を対象事業としており、環境大臣は、計画段階環境配慮書(※)について、国土交通大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
本件は、地域高規格道路中九州横断道路(熊本市~大津町)に係る計画段階環境配慮書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
今後、国土交通大臣から事業予定者である国土交通省九州地方整備局に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、国土交通省九州地方整備局は、意見の内容を検討したうえで詳細計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書の作成)に係る手続きを行うこととなる。
※計画段階環境配慮書:位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。
2.事業の概要
地域高規格道路中九州横断道路(熊本市~大津町)は、渋滞緩和による生活環境の改善等を目的に、熊本県大津町を起点とし、同県熊本市を終点とする約15~20kmの道路を整備する事業である。
本ルート帯及びその周辺の地域は、白川水系を有する熊本平野及び周辺台地部に位置し、主に、市街地や農用地として利用されている。
3.環境大臣意見の概要
(1)対象事業実施区域の設定
区域の設定に当たり、環境の保全上特に重要と考えられる以下について、事業の影響を回避又は極力低減すること。
1.市街地、集落
2.学校・病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設、住居
3.主要な河川、湧水地
4.鳥獣保護区、白川河畔林
5.重要な動植物の生息及び生育地
6.景観資源、眺望点、人と自然との触れ合いの活動の場、熊本県景観計画「熊本空港周辺景観形成地域」
(2)環境影響評価の項目の選定
上記の重要な保全対象が区域やその周囲に存在する場合は、これらを考慮して環境影響評価の項目を適切に選定すること。
(3)各論
1)騒音及び大気質
現道改良案は、北ルート及び南ルートと比較して、現道拡幅に伴う自動車交通騒音及び排気ガスの影響が大きくなるおそれがあることから、採用可否の判断に当たり、住居等保全対象への影響を回避又は極力低減できるか慎重に検討すること。また、北ルート又は南ルートを採用する場合においても、道路設置に伴う住居等保全対象への影響を回避又は極力低減すること。
2)水環境
本ルート帯周辺の地域は、湧水地が多数存在するほか、北ルート及び南ルートは、白川等主要な河川を通過する計画であることから、詳細なルート及び構造の検討に当たり、これらの改変を回避又は極力低減すること。
3)動植物及び生態系
本ルート帯及びその周辺の地域には、重要な動植物の生息及び生育地等が確認されているほか、南ルートには、ハヤブサ等希少な動植物の生息及び生育地である白川河畔林並びに鳥獣保護区が存在することから、詳細なルート及び構造の検討に当たり、これらの分断及び改変を回避又は極力低減すること。
4)景観及び人と自然との触れ合い活動の場
本ルート帯及びその周辺地域は、重要な眺望景観を有し、人と自然との触れ合いの活動の場が存在するほか、南ルートには、熊本県景観計画の景観形成地域が存在することから、詳細なルート及び構造の検討に当たり、これらの改変を回避又は極力低減するとともに、本地域の景観との調和を図り、人と自然との触れ合い活動の場の機能を低下させないよう配慮すること。
【参考】
○事業概要 |
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
代 表:03-3581-3351
直 通:03-5521-8237
室 長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官 :岸田 周 (内6253)