報道発表資料

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2016年04月26日
  • 自然環境

平成27年度エコツーリズムガイド等の国内実態調査結果について(お知らせ)

 環境省では、エコツーリズムの重要な担い手であるエコツアーガイドや地域コーディネーターの実態を把握するため、環境省が実施するエコツーリズム関連事業で関係のあった民間団体等に対し、アンケート調査を実施しました。
 その結果、ガイドは、「通年雇用が難しい」、「人材の高齢化」等の問題意識があり、「外国人観光客が増加している」との意見もあることから、若手人材の育成や外国人対応が可能なガイドの育成が求められていることが分かりました。

1.調査目的

 エコツーリズム推進法(平成19年法律第105号)に規定するエコツーリズム推進に必要不可欠な地域の自然観光資源等について案内を行うガイドや、エコツアー事業者、団体、行政機関等との調整を行う地域コーディネーターの実態を把握し、環境省が実施するエコツーリズム関連事業の効率的な実施に資する基礎資料とします。

2.調査の内容

・調査実施期間:平成28年2月16日(火)~平成28年3月4日(金)

・調査方法:郵送調査及びインターネット調査

・調査対象:250団体

(エコツーリズム推進法に規定するエコツーリズムに取り組む企業、一般及び公益社団法人、一般及び公益財団 法人、特定非営利活動法人並びに法人格を持たない任意団体(個人事業者含む)などで、環境省が実施するエコツーリズム関連事業で関係のあった民間団体等)

3.調査結果(概要)

(1)有効回答数

 149件(回収率59.6%)

(内訳(地方別)):北海道12、東北地方14、関東地方27、中部地方36、近畿地方16、中国地方4、四国地方5、九州地方24、沖縄11

(2)主な集計結果

①団体の法人格

 最も多い順に、任意団体(33%)、NPO法人(20%)、株式会社(13%)及び有限会社(7%)となった。

②ガイドや地域コーディネーターの有無及び人数

 エコツアーを実施するガイドが「いる」団体が全体の約8割でガイド数の合計は1,074名、地域コーディネーターが「いる」団体は約6割で数の合計は355名であった。また、1団体あたりの合計人数は、ガイド及び地域コーディネーターのどちらも「1~4名」、「5~9名」の順で多く、これらを合わせるとガイドは全体の6割以上、地域コーディネーターは全体の8割以上を占めた。エコツーリズムを担う団体としては、比較的小規模な団体が多いことが分かった。

③ガイドや地域コーディネーターの常勤・非常勤のスタッフ数

 常勤・非常勤の平均スタッフ数について、常勤と非常勤の割合はガイドで1:3、地域コーディネーターで1:1程度であった。

④常勤ガイド及び地域コーディネーターの性別・年代別

 常勤ガイドの性別・年代は男性40代、男性30代、男性50代、女性30代の順に多く、地域コーディネーターも男性40代、男性50代、男性30代、男性60代の順であった。課題として、ガイドの高齢化や若い人材の不足を挙げる団体が複数あった。

⑤ガイド人数の過不足認識(オンシーズン、オフシーズン)

 全体としては、「現状でも構わない」とする回答がオンシーズンで全体の4割以上、オフシーズンで全体の7割以上と最も多かったものの、オンシーズンでは特に、東北地方、中部地方、中国地方及び四国地方において、「人数不足のため早急にガイドを増やしたい」とする回答が多かった。自由記述において、「ガイドを増やしたいが予算がない」、「ガイドの高齢化や後継者がいない問題に直面し、エコツアーを休止する事業者が出てきている」といった切実な意見も出された。

⑥ガイドの知識やスキル等の問題意識

 「ガイドの知識やスキル等に対し、あまり不安を感じたことはない」とする回答と、「ガイドの知識やスキル等が十分でなく、人材養成が必要」とする回答が全体の約3割とほぼ同程度であった。自由記述において、「知識や技術にバラツキが見られるため、エコツアーの質を担保するためには一定レベルまで引き上げる必要がある」といった意見が複数あった。

⑦エコツアーガイドに求められるサポート力

 「エコツアー等への参加者がもう一度参加したくなるような魅力あるガイドが必要」とする回答が最も多く、北海道では8割以上を占めた。自由記述において、「エコツアーのプロモーション、マーケティング能力を備え、食えるプロガイドとしての活動が必要」、「独自の魅力を引き出せる企画力と広報力、世間のニーズを読む力が必要」といった意見があった。エコツアーガイドには、幅広い知識や技術が求められていることが分かった。

⑧ガイド等の「人材」についての課題等

 「生業としての給与の支払いが難しい」、「人材の確保が難しい」、「人材の高齢化・後継者不足」などの回答の割合が高い結果となった。自由記述において、「若い人材や長期活動できる人材が必要であり、そのためにも給与水準の向上や社会的な地位の向上も必要」、「外国人が多くなってきたので外国語に対応できる人材の確保が難しい」、「語学力のあるスタッフの育成と確保」などが課題として示された。

⑨その他自由記述(エコツーリズムの取組全般について)

 以下のような意見が寄せられた。

・当地はコーディネーターがいないため、魅力あるエコツアーがつくれなかったり斬新な誘客策が打てず、地域振興につなげられていない。

・地域内で活躍する人を掘り起こしたり、その掘り起こした人材をしっかり進めていけるような基盤やお金などを支援できる仕組みが必要。

・エコツーリズムガイド講習会を頻繁に開催してほしい。

・エコツーリズムの普及、定着を図るためには、エコツーリズム自体の認知度をもっと高める必要がある。

・ガイド業の世間の認識が低いため、ガイドの報酬が低い。そのため、ガイド業を希望する人材がいない。

4.今後の予定

 環境省においては、今回の調査結果を受け、エコツーリズムガイド等養成事業により、ガイドの能力向上を図るとともに、新たに養成が求められている外国人対応ガイドの養成についても検討を進める予定です。

 調査結果の詳細は、環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/nature/report//index.html

をご覧ください。

連絡先
環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8271)
室  長  田邉 仁 (内線6641)
室長補佐  中島 治美(内線6642)
専 門 官   寺田 英司(内線6643)