報道発表資料
1.背景
水道施設(おもに導・送・配水施設)で、標高の高い場所から配水池等へ水を流す場合などには、その圧力差がエネルギーとして利用されずに失われています。
これらのエネルギーを有効活用する小水力発電を導入することにより、二酸化炭素の排出量が削減されるとともに水道事業におけるエネルギーコストの低減による経営の効率化につながるものと考えられます。しかしながら、現在、小水力発電を導入している水道施設は全体の2.7%と低い状況にあります。
また、環境省では、平成25年度から3カ年の委託事業として、従来の小水力発電と比較し、より低コストで高効率、コンパクト化を主眼においた「管路用マイクロ水力発電システム」を開発し、富山県南砺市と福島県相馬市で、実証実験を経て実用化に至っています。
今後、小水力発電の導入が大幅に拡大することが期待されるため、全国における導入ポテンシャルを算定し、水道事業者などが小水力発電の導入検討を行うにあたって参考となる事項について調査を実施することになりました。
2.調査の概要
(1)調査概要
上水道に関する全施設を対象としたアンケート調査(一次調査)を実施し、その結果を基に導入可能性の高い施設について二次調査を実施しました。
■ アンケート調査(一次調査)
・調査対象 国および都道府県認可の全水道事業体
・調査事業者数 1,888事業者
・集計事業者数 1,536事業者
・調査内容 保有施設に関する調査と意向調査を行う。
■ 二次調査
・調査対象 一次調査の調査結果を基に、小水力発電の導入ポテンシャルを算定し、算定の結果、ポテンシャルが20kW以上となる施設を保有する水道事業体
・調査事業者数 371事業者
・集計事業者数 275事業者
・調査内容 施設情報等の収集、実流量・水位に基づく発電出力の算定、想定発電電力量の算定、導入効果の試算、施設カルテの作成
(2)調査結果
発電ポテンシャルを有する導入候補地として抽出した全国563カ所について詳細調査を実施した結果、発電出力の総量は約19,000kWであり、発電出力が20kW以上の地点は全国で274地点であることを確認しました。
表-1 水道施設への小水力発電 導入ポテンシャル調査
(二次調査結果集計(ブロック別))
ブロック | 二次調査 対象地点数 |
①のうち、協力が得られた地点数(②) |
②のうち20kW以上の地点数(③) | ②の地点の発電出力合(kW)(④) | ④の発電出力に 対する発電電力量(kWh/年)(⑤) |
⑤に対応する CO2削減量(t-CO2/年) |
北海道 | 81 | 62 | 24 | 2,418 | 19,854,614 | 13,561 |
東北 | 89 | 56 | 25 | 1,922 | 16,565,210 | 9,459 |
関東 | 145 | 83 | 65 | 4,891 | 42,244,937 | 21,334 |
中部 | 140 | 103 | 39 | 2,438 | 20,804,441 | 11,209 |
近畿 | 143 | 69 | 38 | 2,353 | 19,785,401 | 10,506 |
中四国 | 151 | 99 | 40 | 2,455 | 20,796,810 | 14,480 |
九州 | 146 | 91 | 43 | 2,266 | 18,427,165 | 11,840 |
全国 | 895 | 563 | 274 | 18,742 | 158,478,578 | 92,389 |
※ブロック
北海道 北海道
東北 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
中部 新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中四国 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
添付資料
- 水道施設への小水力発電の導入ポテンシャル調査 調査内容と調査結果の概要について [PDF 254 KB]
- 水道施設における小水力発電の普及・拡大に向けた取組(概要版) [PDF 202 KB]
- 上水道システムにおける省CO2促進モデル事業(厚生労働省連携事業) [PDF 212 KB]
- 連絡先
- 環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
直通 03-5521-8355
代表 03-3581-3351
室長 :福島 健彦 (内線6771)
室長補佐:高橋 和紀 (内線6759)
係長 :嶋田 章 (内線6729)
担当 :秦 健太郎(内線7720)