報道発表資料
エコビジネスとは、環境への負荷の低減に資する商品、サービスを提供したり、様々な社会経済活動を環境保全型のものに変革させる上で役立つ技術やシステム等を提供するようなビジネスを中心とする幅広い概念である。
我が国の経済を環境保全型のものに転換していくためには、エコビジネスの振興が不可欠であり、地域密着型のエコビジネスが地場産業として成功していくことが必要である。このような観点に立ち、1 省資源に関するエコビジネス、2 エネルギー対策に関するエコビジネス等について各地の先進的な事例を取り上げ、各エコビジネスの現状と課題を調査した。
このような地域密着型のエコビジネスは他の地域においても発展する可能性を持っており、これらの情報を元に各地域の潜在的なエコビジネスが発展することが期待される。一方、製品需要の確保、ビジネスの採算性、エコビジネスの発展を阻害するような諸規制やシステムの存在、行政や消費者との連携不足などの課題が明らかになった。
今後環境庁としては、本調査の結果を踏まえ、エコビジネス発展の阻害要因となっている既存の諸規制の見直しや、エコビジネス発展に資する制度の構築等に重点をおいてさらに調査研究を進めていく。
1.内容
(1)環境保全型企業と地域性
{1} | 環境保全型企業の定義・概念 いわゆる「エコビジネス」(環境関連産業)に関する確立された定義・分類は存在しない。環境庁では、エコビジネスを、(A)環境負荷を低減させる装置、(B)環境への負荷の少ない製品、(C)環境保全に資するサービス、(D)社会基盤の整備等、の4分野に分類している。 |
{2} | 地域における環境保全型企業振興の意義 地域密着型のエコビジネスが全国各地において発展することにより、我が国の経済が環境保全型のものに転換していくための梃子の一つとなることが期待される。 |
(2)地域におけるエコビジネスの現状
{1} | 省資源に関するエコビジネス ・産業廃棄物関連 → 焼酎かすのリサイクル、サトウキビの搾りかす (バガス)のリサイクル ・一般廃棄物関連 → オフィス古紙リサイクル、生ごみリサイクル |
{2} | エネルギー対策に関わるエコビジネス ・新エネルギー関連 → ごみ発電、風力発電 |
{3} | その他のエコビジネス→ 天然素材を原料とする環境保全型商品開発 屋上緑化 |
(3)地域における環境保全型企業振興における課題
{1} リサイクルによる再生品の地域内需要の喚起
物質循環型の経済社会を形成するためには、地域内で発生した廃棄物を原料として再生品を再び地域の市場に戻し、リサイクルの輪を完結させることが必要である。しかし現状では、廃棄物の収集は比較的順調であるものの、それらを原材料とした再生品に対する地域内の需要がないために、輸送コスト上昇が再生品価格の上昇を招くなどの問題が生じている。
今後は再生品の高品質化やコスト削減、地域住民へのPR、地元流通業者との連携等により地域内需要を開拓していくことが必要であると考えられる。
{2} 新エネルギー供給(発電)事業における規制の地域特性に応じた見直し等
例えば、電気事業法により規定される、「一般供給電力(系統電力)全体の10%以上を外部からの購入電力で占めてはならない」というガイドラインにより、自由な売買電による電力供給が困難になっている。今後はこのような規制の見直しにより、地域特性を活用した新エネルギーの積極的な利用を促進していくことが必要である。
{3} 新技術の商品化の際の規制の見直し(中小企業、ベンチャー企業の事務的負担の軽減)
例えば天然素材の有効活用による環境保全型商品を製造するなど、新技術を商品化する際には、販売許可を得るまでに事務手続きやコストがかかり、これが中小企業の負担となりエコビジネス振興のマイナス要因となっていると考えられる。今後は諸手続の簡素化等の方策を検討する必要がある。
{4} 地域事情に応じたきめ細かな情報提供
全国各地の起業家が地元の地域特性を活かしたエコビジネスを展開させるためには、地域特性に応じた様々なエコビジネスの展開方法や需要についての情報を、事業者に提供していくことが必要である。
- 連絡先
- 環境庁企画調整局企画調整課調査企画室
室長:柴垣 泰介(6250)
補佐:廣木 雅史(6251)
担当:関 健司(6254)