報道発表資料

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2016年01月25日
  • 総合政策

(仮称)潟上海岸における風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、25日、秋田県で実施予定の「(仮称)潟上海岸における風力発電事業」(株式会社A-WIND ENERGY)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は秋田県潟上市において、最大で総出力44,650kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備の稼働に伴う騒音等及び風車の影による重大な影響が懸念されることから、風力発電設備の配置及び機種等を再検討し、それらを踏まえた調査、予測及び評価を再度実施すること、事後調査により影響が十分に低減できていないと判断された場合には、稼働を調整又は停止する等の追加的な環境保全措置を講ずること、また、多数の渡り鳥等が対象事業実施区域を通過していることから、バードストライクを低減する措置及び影響が十分に低減できていない場合の追加的な環境保全措置を講ずること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。

 本件は、秋田県の「(仮称)潟上海岸における風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。

 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

 本事業は、秋田県潟上市に、最大で総出力44,650kW(2,350kW級×最大19基)の風力発電設備を新設するものである。

 対象事業実施区域の周辺には、多数の住居や学校等の配慮が特に必要な施設が存在している。また、対象事業実施区域内ではオオタカ等の猛禽類の生息及び営巣が確認されているほか、「八郎潟調整池」から飛来する多数の渡り鳥が対象事業実施区域を通過している。

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

 事業実施に当たっては、以下の取組を行うこと。

1)事後調査及び環境監視について、実施する項目等を検討し、評価書に記載した上で、適切に実施すること。なお、周辺では、他事業者による風力発電所が環境影響評価手続き中であることから、他事業者と情報を共有し、合同で調査すること等により、累積的な影響を把握すること。

2)追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家の助言等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。

3)調査の結果について、環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

[2]各論

(1)騒音等の影響

 対象事業実施区域の近隣には、多数の住居、学校及び病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設が存在しており、風力発電設備の稼働に伴う騒音による重大な影響が懸念されることから、風力発電設備の配置及び機種等について再検討し、それらを踏まえた調査、予測及び評価を再度実施し、その結果に応じて必要な環境保全措置を講ずることにより、騒音の影響を極力低減すること。

 また、事後調査の結果、影響が十分に低減できていないと判断された場合には、稼働を調整又は停止する等の追加的な環境保全措置を講ずること。

(2)風車の影の影響

 対象事業実施区域の近隣には、多数の住居等が存在しており、風力発電設備の稼働に伴う風車の影による重大な影響が懸念されることから、事後調査を実施し、影響が十分に低減できていないと判断された場合には、影響が大きい天候、季節、時間帯の稼働を停止する等の追加的な環境保全措置を講ずること。

(3)鳥類に対する影響

 対象事業実施区域内ではオオタカ等の猛禽類の生息及び営巣が確認されているほか、集団渡来地である「八郎潟調整池」から飛来する多数のガン類及びハクチョウ類が対象事業実施区域を通過していることから、重要な鳥類に対する重大な影響が懸念される。

 特に渡り鳥については、ブレード回転領域の高度を通過していることが明らかとなっていることから、移動経路の遮断や衝突事故等による重大な影響が懸念される。

 このため、ブレード塗装等の鳥類からの視認性を高める措置を設備稼働前に講ずること。

 また、バードストライクが確認される等、影響が十分に低減できていないと判断された場合には、鳥類との衝突のおそれがある季節・時間帯の稼働停止等を含めた追加的な環境保全措置を講ずること。

 併せて、バードストライクが発生した場合の対応措置について、事故の確認・報告、連絡体制、原因の解明、防止措置、死骸・傷病個体への対処等を定めて実施すること。

【参考】

○事業概要

・名称 (仮称)潟上海岸における風力発電事業

・事業者 株式会社A-WIND ENERGY

・計画位置 秋田県潟上市

・出力 最大44,650kW(2,350kW級×最大19基)

○環境影響評価に係る手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)

【方法書の手続】

・縦覧 平成26年11月27日~平成26年12月26日(住民意見5件

・経済産業大臣勧告 平成27年5月1日

【準備書の手続】

・縦覧 平成27年9月30日~平成27年10月29日(住民意見5件

・秋田県知事意見提出 平成28年1月22日

・環境大臣意見提出 平成28年1月25日

※:環境の保全の見地からの意見の件数。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:日下 崇(内6248)

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