報道発表資料
我が国は、平成25年10月に開催された水銀に関する水俣条約外交会議の開会式典において提唱した「MOYAIイニシアティブ」の下に「MINAS('水銀マイナス'プログラム)」を立ち上げ、途上国の取組を後押ししていくこととしています。
水銀廃棄物については、水俣条約上、環境上適正な方法で管理されることが求められています。環境省は、UNEP世界水銀パートナーシップにおいて、廃棄物管理分野のリードを務めており、その責務から、UNEP IETCと連携して、アジア地域を対象とした水銀廃棄物の環境上適正な管理に関するプロジェクトを実施することとしています。
本ワークショップは、同プロジェクトの第一歩として、水俣条約の早期発効及び途上国における能力向上を主な目的に開催したものです。本ワークショップにおいて、水銀廃棄物に関する各国の状況が共有され、本ワークショップ後の成果取りまとめにおいて、アジア地域における水銀廃棄物の環境上適正な管理の実現に向けて今後必要な取組が確認されました。
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日程:平成27年12月16日(水)~17日(木)
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場所:大阪
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主催者:日本国環境省及びUNEP IETC
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参加者:
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参加者総数39人。
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アジア地域8カ国(カンボジア、インドネシア、日本、マレーシア、パキスタン、フィリピン、タイ、ベトナム)の担当官が参加。我が国からは環境省廃棄物・リサイクル対策部から担当官が参加。
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バーゼル条約事務局、アジア工科大学院、専門家、廃棄物処理業者等が参加。
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議事概要:
(1)開会
主催者である日本国環境省及びUNEP IETCから開会の挨拶を行いました。
(2)水銀廃棄物に関する各国の状況の共有
水銀廃棄物に関する現行の規制、処理状況、課題、今後の取組等について、各国より報告されました。
水銀廃棄物について、各国それぞれに含有量等に応じて有害廃棄物としての規制が行われていることが確認されました。水銀使用廃製品について、フィリピンにおける廃蛍光管の回収の取組等が紹介されましたが、多くは他の廃棄物と混ざって処理されていることが課題として確認されました。水銀汚染物について、我が国を除く多くの国では、零細及び小規模の金の採掘(ASGM)が行われており、ASGMに起因する水銀に汚染された汚泥等の処理が課題であることが確認されました。
(3)水銀廃棄物の環境上適正な管理について
水俣条約において締約国に求められる水銀廃棄物の環境上適正な管理の基本的な考え方、実践例等について、UNEP IETC、バーゼル条約事務局及び専門家から報告されました。
我が国が更新作業をリードし、平成27年5月のバーゼル条約第12回締約国会議で採択された、バーゼル条約の下で策定されている水銀廃棄物の環境上適正な管理に関するガイドラインの内容が紹介されました。また、水銀を使用しないASGM事例、国内において新たな環境規制を導入する際に考慮すべき事項等が紹介されました。
(4)アジア地域における水銀廃棄物の環境上適正な管理の実現に向けて
アジア地域において水銀廃棄物を環境上適正に管理するために必要な取組について、少人数グループにてブレーンストーミングが行われ、その結果が全体会合にて報告されました。
水銀廃棄物の管理方策の検討のためには、水銀廃棄物の発生状況の把握が必要であることが確認されましたが、日本を除く全ての国では、水銀廃棄物の発生状況が正確に把握されておらず、把握のために必要な調査を自国だけで行うことは予算の制約等により困難であることが確認されました。また、水銀廃棄物については、有害廃棄物としての一般的な規制に加え、水銀の物性及びライフサイクルに鑑みた特別な規制が必要であることが確認されました。
(5)閉会
主催者であるUNEP IETCから閉会の挨拶を行いました。今後、本ワークショップの成果を取りまとめた上、日本国環境省及びUNEP IETCが中心となり、各国と連携して、アジア地域において水銀廃棄物を環境上適正に管理するために必要な取組を実践していくことが確認されました。
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ワークショップ後の成果取りまとめ
本ワークショップの後に、UNEP IETCにおいて成果が取りまとめられ、今後の取組として、水銀廃棄物の発生状況の把握、発生状況に応じた処理方策の検討、関連規制の強化、政府担当者の能力形成、廃棄物処理施設における設備導入、市民の意識啓発等が必要であることが確認されました。
- 連絡先
- 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課
代表:03-3581-3351
直通:03-5501-3157
課 長:角倉 一郎(内線 6871)
補 佐:服部麻友子(内線 7872)
担 当:渡辺 聡(内線 6885)