報道発表資料

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2015年12月25日
  • 総合政策

安比地熱発電所(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、25日、岩手県で計画されている「安比地熱発電所(仮称)設置計画計画段階環境配慮書」(安比地熱株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、岩手県八幡平市において、総出力15,000kW級の地熱発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、本事業の実施による既設温泉への影響を回避又は極力低減すること、オオシラビソ群落の改変を原則として回避すること、地形改変を最小にすること及び周辺植生への影響を回避又は極力低減すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の地熱発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。

 本件は、安比地熱株式会社の「安比地熱発電所(仮称)設置計画」に係る環境影響配慮書について、この手続に沿って意見を提出するものである。

 今後、経済産業大臣から事業者である安比地熱株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、岩手県八幡平市において、出力15,000kW級の地熱発電所を設置するものである。

 事業実施想定区域の周辺は、水源の涵養を目的とした保安林が存在し、事業実施想定区域及びその周辺には特定植物群落に指定されている森林が存在する。

 また、地熱発電所には、その事業特性や環境特性上、地熱流体の採取と熱水の還元による地熱貯留層や温泉といった地下資源への影響、冷却塔から排出される蒸気や硫化水素による植物への影響等、特有の環境影響も含めて懸念がある。

3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)対象事業実施区域の設定並びに地熱発電設備及び附帯設備(以下「地熱発電設備等」という。)の構造・配置又は位置・規模(以下「配置等」という。)の決定に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

(3)地熱発電事業の環境影響については十分に解明されていない点もあることから、最新の知見及び先行事例の知見を反映すること。

(4)施設供用後に、生産井又は還元井の機能低下による、補充井の掘削が想定されており、それに伴う追加的な環境影響が懸念される。そのため、生産井や還元井は、できる限り長く維持し、補充井の掘削等が最小限となるよう事業内容を検討すること。

[2]各論

(1)温泉について

 既設温泉の環境監視と併せて適切に調査・予測及び評価を行い、その結果、既設温泉への影響が懸念される場合には、必要に応じて環境保全措置を講じ、既設温泉への影響を回避又は極力低減すること。

(2)植物について

 事業実施想定区域及び周辺には特定植物群落に指定されているオオシラビソ群落等の自然度の高い植生が存在しており、これらの改変による影響、冷却塔から排出される蒸気による着氷被害及び冷却塔から排出される硫化水素による影響が懸念される。

 このため、植生に関する調査、予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、オオシラビソ群落の改変を原則として回避すること。さらに、それ以外の自然度の高い植生の改変を回避又は極力低減するため、地形改変が最小となるよう配慮すること。加えて、必要に応じて環境保全措置を講じ、周辺植生への影響を回避又は極力低減すること。

【参考】

○事業概要

・名称  安比地熱発電所(仮称)設置計画

・事業者  安比地熱株式会社

・計画位置  岩手県八幡平市(事業実施想定区域面積:約15万m2

・出力  15,000kW級

○環境影響評価に係る手続

・平成27年11月10日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年12月25日  環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:吉澤 泰輔(内6248)

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