報道発表資料

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2015年08月14日
  • 総合政策

淋代風力発電所の設置に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、14日、青森県で計画されている「淋代風力発電所の設置に係る計画段階環境配慮書」(東北風力発電株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、青森県上北郡東北町字淋代において、最大で総出力28,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備を住居から離隔すること等により騒音等や風車の影による影響を回避、低減すること、鳥類に関する調査、予測及び評価を行い、風力発電設備等の配置等の検討に反映すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である東北風力発電株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、青森県上北郡東北町字淋代に、最大で総出力28,000kWの風力発電所を設置するものである。事業実施想定区域の周辺には、多数の住居が存在している。また、事業実施想定区域及びその周囲において、オオタカ、ハイタカ及びハチクマ等の希少な猛禽類の生息が確認されているほか、小川原湖湖沼群と陸奥湾の間を往来するガン、カモ及びハクチョウ類等の飛翔コースとなっている可能性がある。

3.環境大臣意見の概要

(1)総論

1)対象事業実施区域の風力発電設備及び取付道路等の付帯設備の構造・配置又は位置・規模の検討に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

2)事業実施想定区域の周辺においては、他事業者による複数の風力発電所が設置済み又は今後設置予定であることから、累積的な環境影響について予測及び評価を行った上で、風力発電設備等の配置等を検討すること。

3)環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

4)本事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「環境アセスメント調査早期実施実証事業」に該当することから、前倒し調査の結果や専門家等からの助言を配慮書以降の検討に反映させること。

(2)各論

1)騒音等の影響

 事業実施想定区域の周辺には、多数の住居が存在していることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、騒音等による影響を回避、低減すること。離隔できず重大な環境影響を回避、低減できないと判断した場合には、風力発電設備の基数削減等の適切な措置を講ずること。

2)風車の影の影響

 事業実施想定区域の周辺には、多数の住居が存在していることから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、風車の影による影響を回避、低減すること。離隔できず重大な環境影響を回避、低減できないと判断した場合には、風力発電設備の基数削減等の適切な措置を講ずること。

3)水環境に対する影響

 事業実施想定区域内に淋代浄水場が位置しており、また当該区域周辺の住居では浅井戸が使用されていることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、淋代浄水場等から距離を確保するとともに、工事実施時の土工量を抑制し、かつ、土砂や濁水の流出等を最小限に抑えること等により、水環境への影響を回避、低減すること。

4)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺においては、オオタカ、ハイタカ及びハチクマ等の希少猛禽類の生息が確認されているほか、ガン、カモ及びハクチョウ類等の飛翔コースとなっている可能性があり、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、環境影響を評価し、反映すること。

5)水生生物に対する影響

 事業実施想定区域には河川源流部又は沢等が含まれることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、沢筋等から距離を確保するとともに、工事実施時の土工量を抑制し、かつ、土砂や濁水の流出等を最小限に抑えること等により、重要な水生生物への影響を回避、低減すること。

6)植物、生態系に対する影響

 事業実施想定区域には自然林(ヤナギ低木群落)、河辺・湿原・沼沢地植生(ヨシクラス)、特定植物群落(甲地アカマツ林)、保安林及び沢等の重要な自然環境が存在していることから、既存道路や無立木地等を活用することにより、これらの重要な自然環境を回避すること。

【参考】

○事業概要

・名称 : 淋代風力発電事業

・事業者 : 東北風力発電株式会社

・計画位置 : 青森県上北郡東北町字淋代(事業実施想定区域面積:約7.4km2

・出力 : 最大28,000kW(2,000~2,800kW級 発電設備10~14基程度)

○環境影響評価に係る手続

・平成27年6月29日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年8月14日  環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:生田 雄一(内6239)
電話:03-3581-3351(代表)、03-5521-8237(直通)

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