報道発表資料
本事業は、岩手県二戸郡一戸町において、総出力25,300kWの風力発電設備を設置するものである。環境大臣意見では、バードストライクに関する適切な事後調査及びその結果を踏まえた追加的な環境保全措置、観光天文台の観測環境を保全するための航空障害灯の設置における遮光板の設置等の措置を講ずることを求めている。
1.背景
環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kw以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。
本件は、岩手県の「高森高原風力発電事業(仮称)」に係る環境影響評価準備書について、この手続に沿って意見を提出するものである。
今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。
※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。
2.事業の概要
本事業は、岩手県二戸郡一戸町に、総出力25,300kW (2,300kW×11基)の風力発電設備を新設するものである。
対象事業実施区域は、標高約600mのなだらかな丘陵地で、牧草地や主に二次林で構成された森林が分布し、希少猛禽類等の生息が確認されている。また、本区域には一戸町観光天文台や町営放牧場等が含まれている。
3.環境大臣意見の概要
(1)総論
[1]事後調査及び環境監視を適切に実施し、その結果を踏まえ、追加的な環境保全措置を講ずること。
[2]追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
[3]調査結果について、環境影響を分析し、講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。
(2)各論
[1]鳥類について
バードストライクに関する環境監視及び事後調査において、重大な影響が認められた場合は、専門家等からの助言を踏まえて、追加的な環境保全措置を講ずること。また、衝突等による死亡・傷病個体の確認を高い頻度で適切に実施し、死亡・傷病個体が確認された場合は、関係機関との連絡・調整、死亡・傷病個体の搬送、関係機関による原因分析への協力を行うこと。
ノスリの繁殖等の把握に関する事後調査において、当該区域内の営巣木の使用が確認された場合は、専門家等からの助言を踏まえて、これらの繁殖活動に配慮すること。
[2]人と自然との触れ合いの活動の場について
本事業の実施に伴う一戸町観光天文台や町営放牧場等の利用への影響について、引き続き地元自治体等に対して適切に情報提供を行い、これら施設等の利用に対して配慮すること。
また、一戸町観光天文台における観測の影響を回避・低減するため、航空障害灯の設置にあたっては、施設管理者等の助言を踏まえて、遮光板の設置等の措置を講ずること。
4.その他
本件は、「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議中間報告」(平成24年11月27日、環境省・経済産業省)に基づき、審査期間の短縮に取り組むこととした案件である。
【参考】
○事業概要
・名称 高森高原風力発電事業(仮称)
・事業者 岩手県
・計画位置 岩手県二戸郡一戸町
・出力 25,300kW (2,300kW×11基)
○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
【方法書の手続】
・縦覧 平成25年3月18日~平成25年4月17日(住民意見26件)
・経済産業大臣勧告 平成25年8月8日
【準備書の手続】
・縦覧 平成27年2月6日~平成27年3月9日(住民意見3件)
・岩手県知事意見提出 平成27年6月17日
・環境大臣意見提出 平成27年6月18日
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:岸田 周(内6253)
電話:03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)