報道発表資料

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2015年05月01日
  • 地球環境

第17回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM17)の結果について

 第17回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM17)が4月29~30日、中国・上海市にて開催されました。我が国からは望月義夫環境大臣が出席しました。

 会合では、三カ国の国内環境政策の進捗状況の紹介及びそれらに基づく意見交換を行うとともに、今後5年間(2015年-2019年)の「環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画」が採択されました。また、結果を取りまとめた共同コミュニケを採択しました。

 共同計画では、昨年のTEMM16において優先的に取り組んでいくとされた9分野(※)について、今後三カ国が共同で実施する施策やプロジェクトが盛り込まれ、それぞれの分野での活動を強化していくことが合意されました。特に、大気環境改善分野については、三カ国の政策対話の下、①対策に関する科学的な研究、②大気のモニタリング技術及び予測手法、に関する二つのワーキンググループを新たに設置することが決定され、地域の大気環境改善のため三カ国の協力を強化していくことになりました。また、水及び海洋環境改善分野について、海洋ごみに関するワークショップを開催し、データの共有、各国の政策や経験に関する情報を交換することが合意されました。

 また、日中及び日韓の二国間の環境大臣会談が開催され、環境協力の一層の推進に向けそれぞれ議論が行われました。特に、日中間の大気汚染協力については、日中の自治体間で協力を進める都市間連携協力事業について中国からの支持・期待が示され、また、日韓では気候変動について気候変動枠組条約第21回締約国会議での全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みの合意に向け、両国が協力していくことを確認しました。
なお、次回のTEMM18は、日本にて開催される予定です。

※優先9分野:
①大気環境改善、②生物多様性、③化学物質管理と環境に係る緊急時対応、④資源循環利用/3R/電気電子機器(E-waste)の越境移動、⑤気候変動対策、⑥水及び海洋環境保全、⑦環境教育、人々の意識向上及び企業の社会的責任(CSR)、⑧地方環境管理、⑨グリーン経済への移行

1. 日程

 平成27年4月29日(水)、30日(木)

2. 開催場所

 中国・上海市 華亭賓館(Huating Hotel & Towers)

3. 主な出席者

 日本: 望月 義夫 環境大臣

 中国: 陳 吉寧(チン・キツネイ)環境保護部部長 

 韓国: 尹 成奎(ユン・ソンギュ)環境部長官

4. 日中韓三カ国環境大臣会合の概要

 各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題及び環境協力に係る三カ国共同行動計画の進捗状況等について意見交換を行うとともに、今後5年間(2015年-2019年)の「環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画」(別添資料1-1~1-4)を採択した。また、共同コミュニケ(別添資料2-1及び2-2)を採択した。

それらの主な内容は以下の通り。

(1) 三カ国共同行動計画について

 これまでの共同行動計画(2010年-2014年)に基づく三カ国の環境協力の進展について評価するとともに、新たな共同行動計画(2015年-2019年)を採択し、三カ国が着実に実施していく旨を確認。

(2) 主要分野における協力について

 TEMMが北東アジア地域における環境協力を進展させる重要な役割を担っていることを認識し、こうした地域及び地球規模での環境協力に係る活動を強化するための取組への支援を確認。

 ① 大気環境改善

・PM2.5をはじめとする大気汚染が引き起こす人の健康及び環境へのリスクについての懸念を共有

 し、地域の大気汚染の更なる改善の必要性、及び大気汚染問題に迅速かつ効果的に取り組む必要性

 を強調。地域の大気汚染の防止、管理のための共同の取組を一層強化することで一致し、モニタリ

 ングや研究面での技術協力を奨励。

・大気汚染に関する三カ国政策対話を通じた協力の進展を歓迎。政策対話の下に、①対策に関する科

 学的な研究、②大気のモニタリング技術及び予測手法、に関する2つのワーキンググループが新た

 に設置されることを承認。

・北東アジア地域で持続可能な開発を実現するために、TEMMがより積極的に大気環境管理に関する

 協力を推進する役割を担うことを期待。政策対話での議論を通じて、地域の大気環境改善のための

 優れた取組を共有することで合意。次回政策対話は2016年2月に日本で開催されることが決定。

・地域の主要課題である黄砂について、共同研究の進展を評価。

 関連するデータの交換、発生源対策が黄砂の発生抑制に及ぼす効果の適切な評価等に関する重要性

 について言及。

 ② 生物多様性

・ 生物多様性条約の3つの目的に向け、それらを達成するための取組を推進していくことを確認。

生物多様性に関する政策対話の実施を歓迎。

・生物多様性条約COP12における成果を歓迎。COP13の成功に向けて協力していくことに合意。

名古屋議定書の実施に向けた準備のための情報交換の重要性に言及し、遺伝資源へのアクセスと

 その利益配分(ABS)に関する協力の強化に合意した。

 ③ 化学物質管理と環境に係る緊急時対応

化学物質に関する政策ダイアローグの実施を歓迎するとともに、この分野における化学物質の継続

 的協力を奨励。

環境に係る事故のリスク評価に関する三カ国の研究機関において実施される調査研究の結果を含

 む、経験及び技術の共有に合意。

 ④ 資源循環利用、3R、電気電子機器廃棄物の越境移動

循環型社会・循環経済・3Rセミナーの実施を評価。電気電子機器廃棄物(E-waste)の越境移動

 に関して合同のセミナーを開催しつつ、活動を継続することに合意。

・E-wasteの違法な越境移動に関し、情報交換により、電気電子廃棄物の越境移動を管理する協力等

 に合意。

 ⑤ 気候変動対応

・温室効果ガスの大幅な削減が求められていることを認識。このための協力への確約を再確認。

・気候変動に対する適応の重要性を認識。政策と経験についての情報、知識及び優良な経験の共有を

 通じて、適応の取組に関する協力を強化することに合意。

・COP21における全ての国が参加する枠組の採択に向け、三カ国が建設的に取り組むことに合意。

 ⑥ 水及び海洋環境の保全

・水環境と海洋環境の保全に関する協力の重要性について確認。

海洋ごみの問題に関して、合同ワークショップを開催し、各国沿岸地域の状況把握と海洋ごみの内

 容を把握するための活動を促進する協力に合意。

 ⑦ 環境教育、人々の意識向上及び企業の社会的責任

・環境教育、環境意識の向上及び公衆の参加の促進が、環境保全の促進に不可欠であることを認識。

 「日中韓環境教育ネットワーク(TEEN)」のワークショップの成果、三カ国合同研修、持続可能

 な教育(ESD)に関する世界会議が成功裏に開催されたことを歓迎。

・環境教育についての交流と協力に関する三カ国協力が15周年を迎えることを祝福。三カ国の子供

 のための環境教育読本の成果を歓迎し、進展と継続的活用に合意。

 ⑧ 地方環境管理

・地方における環境の改善の重要性について認識。

・地方の環境質を改善する重要性を認識し、地方環境管理に関する三カ国政策対話の開催に合意。

 ⑨ グリーン経済への移行

・グリーン経済への移行に向け、環境産業及び技術の分野での協力が重要な役割を果たすことを再確

 認。三カ国環境ビジネス円卓会議の将来の役割への強い期待を表明。

環境/グリーン産業及びグリーン・サプライチェーンに関する情報共有及び協力を更に強化するこ

 とを決定。


(3) 次回の開催

 次回のTEMM18は、日本で開催されることを決定。

(4) その他

 日中韓の環境協力に係る功労者の表彰が行われ、日本からは立教大学社会学部・大学院異文化コミュニケーション研究科教授阿部治氏が受賞した。このほか、サイドイベントとして開催されたユースフォーラムでは「自然との関係の樹立」、三カ国環境ビジネス円卓会議では「環境技術・産業に関する交流・協力の強化、地域のグリーン経済の推進・発展」をそれぞれテーマに、活発な議論が行われた。

5. 二国間会談の主な概要(4月29日)

 TEMM17に併せて、日中及び日韓の二国間の環境大臣会談がそれぞれ開催された。


(1) 日中環境大臣会談

・ 望月環境大臣から、大気汚染、海洋ごみ、水俣条約・化学物質管理について取り上げ、各分野におけ

 る環境協力の推進について議論を行った。

・ 特に、大気汚染については、我が国としても高い関心を持っており、日中の自治体間で協

 力を進める都市間連携協力事業について、中国からの支持・期待が示され、我が国の有する経験や技術

 を活かして、共同研究の実施など、あらゆる層での協力をより一層を深めていくことで一致した。

 ※TEMMへの中国の環境保護部長の出席及び日中の二国間の環境大臣会談の開催は、

  それぞれTEMM14以来であり3年ぶり。

(2) 日韓環境大臣会談

・望月環境大臣から、大気汚染、海洋ごみ、気候変動及び水俣条約について取り上げ、各分野における

 環境協力の推進について議論を行った。

・大気汚染については、両国の間で、PM2.5の測定技術や予測、データ共有等についての情報交換が進展

 していることを確認し、TEMMでの合意に基づく活動も含め、継続的に両国の協力を推進していくこと

 で一致した。

・気候変動については、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第21回締約国会議(COP21)での全ての

 国が参加する公平かつ実効的な枠組みの合意に向け、両国が協力していくことを確認するとともに、約

 束草案の検討状況や、韓国が開始させた排出権取引制度の状況に関する情報交換を行った。

【参考】日中韓三カ国環境大臣会合

 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM: Tripartite Environment Ministers Meeting)は、北東アジアの中核である日本・中国・韓国の三カ国の環境大臣が一堂に会し、本地域及び地球規模の環境問題に関する対話を行い、協力関係を強化することを目的に、1999年(平成11年)から毎年各国持ち回りで開催しているもの。これまでのコミュニケ等については、以下のウェブサイトで閲覧可。

・ TEMM公式ウェブサイト https://www.tcs-asia.org/en/cooperation/overview.php?topics=15

・ 日本語解説サイト https://www.env.go.jp/earth/coop/temm/introduction_j.html

添付資料:

・ 別添資料1-1 共同行動計画(英語)

・ 別添資料1-2 共同行動計画(仮訳)

・ 別添資料1-3 共同行動計画 別添リスト(英語)

・ 別添資料1-4 共同行動計画 別添リスト(仮訳)

・ 別添資料2-1 共同コミュニケ(英語)

・ 別添資料2-2 共同コミュニケ(仮訳)

添付資料

連絡先
環境省地球環境局国際連携課国際協力室
(代表)03-3581-3351
(直通)03-5521-8248
室 長:木野 修宏 (6765)
補 佐:平岡 明子 (6764)
係 長:土戸 周  (6761)

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