報道発表資料

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2015年04月16日
  • 再生循環

自動車リサイクル法に関する全国一斉立入検査の結果について(お知らせ)

 環境省及び経済産業省では、自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号))の適正な執行を確保するため、都道府県等に依頼し、同法の登録・許可を受けた事業者が適正に再資源化等に必要な行為を行っているかどうかについて平成26年8月から12月にかけて全国一斉に立入検査を実施し、その結果を取りまとめました。
 その結果、全国で204事業者が何らかの法令違反又は不適正な取扱いを行っていることが確認されました。これら全てに対し、都道府県等から是正を求める指導等が行われました。
 今後も引き続き、使用済自動車の再資源化等が適正かつ円滑に実施されるよう、都道府県等を通じ、違反事例の把握と行政処分等による是正に努めてまいります。

1.背景

(1)自動車リサイクル法に基づく取組について

 自動車リサイクル法では、自動車製造業者(メーカー)を含む自動車のリサイクルに携わる関係者に適正な役割を担っていただくことによって、使用済自動車の積極的な再資源化等を行っています。法に関係する者のうち、以下の関連事業者は、都道府県等(都道府県又は保健所設置市をいう。以下同じ。)の登録・許可を受けなければならないこととされており、使用済自動車の引取り及び引渡し並びに再資源化等を適正かつ円滑に実施するために必要な行為を果たす必要があります。

・引取業者(都道府県等の登録制)

 自動車所有者から使用済自動車を引き取り、フロン類回収業者又は解体業者に引き渡します。<リサイクルルートに乗せる入口の役割>

・フロン類回収業者(都道府県等の登録制)

 フロン類を適正に回収し、回収したフロン類を自ら再利用する場合を除き、自動車製造業者等に引き渡します(自動車製造業者等にフロン類の回収費用を請求できます)。

・解体業者、破砕業者(都道府県等の許可制)

 使用済自動車のリサイクルを適正に行い、エアバッグ類、シュレッダーダストを自動車製造業者等に引き渡します(エアバッグ類については、取り外さずに自動車製造業者等から委託を受けて車上作動処理することもできます。また、自動車製造業者等に回収費用を請求できます)。

(2)全国一斉立入検査の実施について

 法に基づく義務を適切に履行していない不適正な関連事業者については、都道府県等が法に基づき、指導・勧告等を行っているところですが、依然として、フロン類又はエアバッグ類の回収が不十分な事業者などが存在しています。

 そこで、関連事業者が適切に義務を履行しているかを把握するため、環境省及び経済産業省では、一般社団法人自動車再資源化協力機構及び公益財団法人自動車リサイクル促進センターの協力を得つつ、都道府県等による解体業者への全国一斉立入検査を実施しました。

 実施に当たっては、(一社)自動車再資源化協力機構及び(公財)自動車リサイクル促進センターの協力を得つつ、国において法違反の蓋然性が高いと思われる解体業者の特徴など、一定の調査対象選定の考え方を示しました。その上で、各都道府県等が管内の状況を踏まえ、優先順位を持って対象業者を選定して立入検査を行い、法令違反がある場合には、指導・勧告等の行政措置等を実施しました。

 今般、その結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。

2.全国一斉立入検査の結果について

全国一斉立入検査の概要は、以下のとおりです。

  • ・期間:平成26年8月から12月まで
  • ・立入検査を行った自治体の数:118
  • ・立入検査の対象となった事業所数:1,131(都道府県等ごとの内訳は別紙のとおり。)
  • ・立入検査の結果、何らかの法令違反又は不適正な取扱いがあった事業所数:204

 多く見られた法令違反又は不適正な取扱いとその具体例は、以下のとおりです(括弧内は、関連条項)。

(1)使用済自動車、部品等の保管に関わるもの(37件)

  • ・回収された部品が適正に保管されていなかった(法第16条第2項)
  • ・使用済自動車又は解体自動車の保管場所の範囲が不明確だった(法第62条第1項)
  • ・使用済自動車、部品等の保管場所が許可申請時に提出された内容と異なっていた(法第63条第1項)
  • ・使用済自動車の保管場所で廃油が漏出していた(廃棄物処理法第7条第13項等)
  • ・使用済自動車の保管基準(高さ上限)を超えて保管していた(廃棄物処理法第14条第12項)

(2)標準作業書に関わるもの(36件)

  • ・標準作業書に記載のない方法によって解体を行っていた(法第62条第1項)
  • ・標準作業書を常備していなかった(法第62条第1項)
  • ・標準作業書に必要な記載がされていなかった(法第62条第1項)
  • ・標準作業書を従事者に周知していなかった(法第62条第1項)
  • ・標準作業書が許可申請時に提出された内容と異なっていた(法第63条第1項)

(3)エアバッグ類の取扱いに関わるもの(30件)

  • ・自動車メーカーが定める引取基準に合致しない方法によって取外し・保管が行われていた(法第16条第3項)
  • ・エアバッグ類を自動車メーカーに引き渡していなかった(法第16条第3項)

(4)標識掲示義務に関わるもの(30件)

  • ・公衆の見やすい場所に標識を掲示していなかった(法第50条等)・標識の掲示内容が誤っていた(法第50条等)

(5)移動報告の遅延に関わるもの(24件)

  • ・法で定められた期限内に移動報告を実施していなかった(法第81条)

(6)移動報告の不履行・改ざんに関わるもの(20件)

  • ・移動報告を実施していなかった(法第81条)
  • ・解体していないにもかかわらず破砕まで完了した旨の移動報告を実施していた(法第81条)
  • ・移動報告を他の事業者に実施させていた(法第81条)
  • ・エアバッグ類及びフロン類が装備されているにもかかわらず装備されていないと報告していた(法第81条等)
  • ・実際に引き渡した事業者と異なる事業者に引き渡した旨の移動報告を実施していた(法第81条等)

(7)フロン類の取扱いに関わるもの(19件)

  • ・ボンベの使用期限が切れていた(高圧ガス保安法第48条第1項)
  • ・フロン類を再利用せず、自動車メーカーにも引き渡していなかった(法第13条第1項)

(8)油水分離装置に関するもの(12件)

  • ・油水分離装置が適正に管理されていなかった(清掃未実施など)(法第62条第1項)

(9)その他(18件)

  • ・法に基づく届出をしていなかった(法第46条第1項等)
  • ・事業所に囲いが設けられていなかった(法第62条第1項)
  • ・引取時に引取証明書を交付していなかった(法第80条)
  • ・自動車リサイクルシステムに登録していなかった(法第81条)

グラフ:多く見られた法令違反又は不適正な取扱いとその具体例 注)違反事由が複数ある場合は、それぞれカウントしている。「その他」では、上記の主な違反事由に該当しない違反がある事業者の数を集計している。

 また、以下のような特徴のある事業者において、法違反又は不適正な取扱いが顕著に見られました。

  • ・フロン類回収工程における1台当たり回収量が著しく低い者
  • ・遅延報告多発業者(※)
  • ・エアバッグ類の未回収率が高い事業者

※ 関連事業者が、法で定められた期限内に電子マニフェストを用いた移動報告を行わない場合、自治体に対して「遅延報告」として自動車リサイクルシステムから通知されることとなっており、「遅延報告多発業者」とは、頻繁に自治体に対して遅延報告が通知されている業者をいいます。

3.今後の対応

 今回の全国一斉立入検査の結果、前年度に引き続き、法に基づく義務の理解不足等から起こる法令違反又は不適正な取扱いが散見されました。一方、数は少ないものの、移動報告の改ざん等の悪質な違反も見られました。

今後とも、使用済自動車の再資源化等が適正かつ円滑に実施されるよう、一般社団法人自動車再資源化協力機構及び公益財団法人自動車リサイクル促進センターと連携しつつ、都道府県等を通じ、関連事業者の能力向上に向けた指導等を実施するとともに、違反事例の把握と行政処分等による是正に努めてまいります。

添付資料

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直通  :03-5501-3153
代表  :03-3581-3351
室長  :庄子 真憲(内線6831)
室長補佐:山口 裕司(内線6855)
担当  :佐藤 直己(内線6833)

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