報道発表資料

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2015年02月20日
  • 総合政策

神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、20日、兵庫県神戸市で計画されている「神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画 計画段階環境配慮書」(株式会社神戸製鋼所)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、株式会社神戸製鋼所が神戸製鉄所構内において、石炭を燃料とする総出力約130万kWの火力発電所を新設するものであり、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」(以下「局長級取りまとめ」という。)に基づき二酸化炭素排出削減に取り組む必要があるとともに、様々な環境負荷に対して万全の措置を講ずることが必要である。
 このため、事業者に対し、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組(以下「枠組」という。)の構築に向けた取組内容及び枠組が構築されるまでの間の措置の具体化された内容を環境影響評価準備書※(以下「準備書」という。)に記載すること、「利用可能な最良の技術(BAT)の参考表」(B)の発電技術についても採用の可能性を検討すること、大気環境への十分な配慮を行うこと等を求めた。
 また、経済産業省に対して、枠組の構築に向けて、電力業界に議論の開始を促すとともに、枠組構築に向けた検討の進捗を把握し、内容を確認し、二酸化炭素排出削減の実効性ある取組を確保すること、また、枠組が構築されるまでの間においては、事業者に対し、天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について海外での削減に係る取組を行うなどの環境保全措置を講ずることを確認するよう求めた。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。

 今後、経済産業大臣から事業者である株式会社神戸製鋼所に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測、評価及び環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

 本事業は、株式会社神戸製鋼所が、兵庫県神戸市の神戸製鉄所構内において、石炭を燃料とする総出力約130万kWの火力発電所を新設するものである。本事業で発電した電力は、関西電力株式会社による平成26年度火力電源入札において落札された電力として、関西電力に供給される。

3.環境大臣意見の概要

(1)前文

 本事業が国の二酸化炭素排出削減の目標・計画と整合性が確保されているものと整理するためには、局長級取りまとめを踏まえ、確実に二酸化炭素排出削減に取り組む必要がある。このため、準備書において、これらの措置に係る取組の状況を確認する。

 本事業の今後の検討に当たっては、周辺環境への影響を最小限に抑えることが必要である。この際、水銀や微小粒子状物質(PM2.5)についても今後の動向を踏まえ、所要の検討を行うことが適当である。

 経済産業省においては、枠組の構築に向けて、電力業界に議論の開始を促すとともに、枠組構築に向けた検討の進捗を把握し、内容を確認し、二酸化炭素排出削減の実効性ある取組を確保すること、本事業の入札実施者である関西電力に対して枠組の構築に向けて主体的に取り組むよう促すこと、また、枠組が構築されるまでの間においては、事業者に対し、天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について海外での削減に係る取組を行うなどの環境保全措置を講ずることを確認すること。

(2)総論

  1. (ⅰ)本事業に伴う環境影響を回避・低減するため、必要に応じて専門家等の助言を受けた上で、調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行うこと。
  2. (ⅱ)地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民等の関係者の関与についても十全を期すこと。

(3)各論

(ⅰ)大気環境

 事業実施想定区域の周辺は、大気環境の改善が必要な地域であることから、十分な配慮を行うこと。

  1. 1)本発電所を含め神戸製鉄所内施設全体の硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ばいじんの年間排出量については、神戸市との環境保全協定値を上回らないよう施設の適切な維持管理を図ること。
  2. 2)本発電所の稼働に伴う大気質への環境影響が回避・低減されるよう、方法書以降の予測、評価等において、適切な予測範囲を設定するとともに、短期高濃度条件等の影響について考慮し、適切な環境保全措置の検討を行うこと。

(ⅱ)水環境

 取放水設備の設置工事に伴う水環境に係る環境影響について、必要な調査、予測及び評価を行い、海域環境への影響低減が図られるよう適切な環境保全措置の検討を行うこと。

(ⅲ)温排水

 既存の温排水との重畳も踏まえた上で、温排水の影響の調査を行い、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行うこと。

(ⅳ)温室効果ガス

 局長級取りまとめを踏まえ、本事業が国の二酸化炭素排出削減の目標・計画との整合性が確保されたものと整理するために、以下の取組を講ずること。

  1. 1)局長級取りまとめの「利用可能な最良の技術(BAT)の参考表」に掲載されている(B)の発電技術についても採用の可能性を検討した上で、(A)以上の発電技術を採用すること。
  2. 2)枠組の構築に向けて発電事業者として可能な限り取り組むとともに、その取組内容について準備書に記載すること。また、当該枠組が構築された後は、発電段階での低炭素化が確保されるよう、確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと。
  3. 3)枠組が構築されるまでの間においては、天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について海外での削減に係る取組を行うなどの環境保全措置を満たすとともに具体化された内容があれば可能な範囲で準備書に記載すること。
  4. 4)「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」を目指すとの国の長期目標との整合性を確保するため、本発電所について、二酸化炭素分離回収設備に関する所要の検討を行うこと。
  5. 5)本事業を含め、事業者における長期的な二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行い、事業者として適切な範囲で必要な措置を講ずること。

【参考】

○事業概要

・名称  :神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画

・事業者 :株式会社神戸製鋼所

・計画位置:兵庫県神戸市

・燃料  :石炭

・発電方式:汽力

・出力  :130万kW(65万kW×2)

○環境影響評価に係る手続

・平成27年1月6日 経済産業大臣から環境大臣への意見照会

・平成27年2月20日 環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長  :神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官 :大山 孝(内6253)

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