報道発表資料

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2015年01月30日
  • 総合政策

風力発電所のリプレースにおける環境影響評価手法の合理化に関する検討報告書の公表について(お知らせ)

 環境省は、老朽化した風力発電設備を新しい設備に更新する事業(以下「リプレース」といいます。)に係る環境影響評価手法の合理化に関して、専門家による検討結果を取りまとめた、「風力発電所のリプレースにおける環境影響評価手法の合理化に関する検討報告書」を公表します。
 今後、環境省では本報告書について自治体や事業者などに広く周知を図ります。

1.背景・経緯

 風力発電所の環境影響評価手続においては、既存発電設備の老朽化に伴い風力発電所を新しい設備に更新する場合(以下「リプレース」といいます。)、新たに風力発電所を設置する場合と同様の手続が必要です。
 しかしながら、風力発電所のリプレースは、技術の進展に伴い、設備利用率の向上が見込まれるとともに、既存の風力発電所は風力の良い地域に立地していることが多く、再生可能エネルギーの供給力の維持又は増大に寄与すると考えられます。
 また、リプレースを行う既存の風力発電所は、既に送電線や道路が整備された地域に立地しており、リプレースの行われ方によっては環境負荷の低減を図ることができる可能性があります。
 このため、事業者が環境影響評価の項目及び手法を検討する際に、参考となる考え方をあらかじめ整理しておくことは、再生可能エネルギーの導入促進の観点からも重要です。
 これらを受けて、環境省では専門家委員会を設置し、陸上風力発電所のリプレースにおける環境影響評価手法に関し、環境影響評価項目として選定しないこと、又は、調査・予測手法の簡略化(以下「合理化」という。)の基本的な考え方について検討を行い、「風力発電所のリプレースにおける環境影響評価手法の合理化に関する検討報告書」を取りまとめました。

2.報告書の概要

 本報告書は下記の(1)~(7)で構成されています。

(1)検討の目的

 風力発電所のリプレースは、再生エネルギーの供給力の維持又は増大に寄与すると考えられるとともに、造成等の施行による環境影響が限定的となる場合が想定されます。このため、環境影響評価法の運用の範囲内で、リプレースにおける環境影響評価手法の合理化の基本的な考え方について検討を行いました。

(2)リプレースの現状と計画等

 現状で風力発電所のリプレースを行った事例は存在しないものの、風力発電所のリプレースが予定される風力発電所の特徴を整理しました。また、風力発電事業者へのヒアリングを行い、既存の風力発電所のリプレース計画の特徴を整理しました。

(3)検討の基本的考え方

 本検討では、環境影響評価法に基づく対象事業となる風力発電所におけるリプレースのうち、既存の風力発電所の区域内で行われる土地改変等による環境影響が限定的で、かつ、リプレースの行われ方によって環境負荷の低減が図れる可能性があるリプレースを検討の対象としました。

(4)モデルケースの設定及び環境影響の検討

 風力発電所の供用時の影響については、基数の増減、配置の変更の有無等の条件が異なる風力発電所のリプレースのモデルケースを設定し、ケースごとに環境影響の程度を検討し、その結果を記載しています。
 また、工事中の影響については、基礎掘削工事以外の造成等の施行の有無により、影響の程度を検討、その結果を記載しています。

(5)合理化検討する環境影響評価項目の選定

 (4)の検討結果を踏まえ、環境影響評価手法の合理化を検討する項目を選定しました。

(6)環境影響評価項目の合理化条件及び合理化手法の検討

 環境影響評価項目の合理化条件及び合理化手法を検討し、下記のとおり整理しました。

  • 「地形・地質」、「飛翔性以外の動物」、「植物」については、既存設備と同配置、又は区域内の造成地へ配置し新たな地形改変がない場合に、専門家からの指導・助言を踏まえ、予測・評価の対象から削除を可能とします。
  • 「飛翔性動物」、「生態系」、「人と自然との触れ合い活動の場」、「騒音、超低周波音」、「風車の影」については、既存データの活用等により、現地調査や予測手法の簡略化を可能とします。

(7)留意事項及び今後の課題

 既存の風力発電所やその周辺において、環境の現状の把握に努めるとともに、自主的に環境監視等を実施し、継続的に情報を得ることで、リプレースの際の基礎情報として用いることが可能とです。
 本報告書では基本的な考え方を整理しましたが、引き続き、事業者がリプレースを行った際の環境影響の変化について知見を集積していくことや個々の事業や地域特性に応じた新たな手法を検討、採用していくことなどが必要です。

3.今後の予定

 環境省では、本報告書について自治体や事業者などに広く周知を図っていくとともに、風力発電所のリプレースに関する事例収集等の集積にも努めてまいります。
 なお、本報告書については、環境影響評価支援ネットワークにてPDFファイルを掲載します。
<参考:環境影響評価情報支援ネットワークのアドレス>
 https://www.env.go.jp/policy/assess/

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長  :神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官 :田中 友之(内6236)
電話  :03-3581-3351(代表)、03-5521-8237(直通)