報道発表資料

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2014年12月19日
  • 総合政策

相馬港天然ガス発電所(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、19日、福島県相馬郡新地町で計画されている「相馬港天然ガス発電所(仮称)設置計画 計画段階環境配慮書」(石油資源開発株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、石油資源開発株式会社が福島県の相馬港において、総出力約120万kWの天然ガス火力発電所を新設するものである。
 環境大臣意見では、経済産業省に対して、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組の構築に向けて、電力業界に取組を促すとともに、経済産業省自ら、枠組構築に向けた検討の進捗を把握し、内容を確認し、実効性ある取組を確保すること。併せて、環境負荷の低減に向けて、最新鋭の発電設備の活用を促すよう求めた。
 また、事業者に対し、関係者と協力し、最新鋭の天然ガス発電設備の稼働による二酸化炭素排出削減に取り組むこと、枠組構築への取組及び「利用可能な最良の技術(BAT)の参考表」(B)の発電技術についても採用の可能性を検討すること等を求めた。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、経済産業大臣から事業者である石油資源開発株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、石油資源開発株式会社が福島県相馬郡新地町において建設中のLNG(液化天然ガス)受入基地に隣接して、天然ガスを燃料とするコンバインドサイクル発電方式(総出力約120万kW)の「相馬港天然ガス発電所(仮称)」を新たに建設するものである。本事業で発電した電力の供給先は現時点で未定である。

3.環境大臣意見の概要

(1)前文

 経済産業省に対して、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む自主的枠組(以下「枠組」という。)の構築を電力業界に促すよう求めるとともに、枠組の構築に向けた検討の進捗を把握し、内容を確認し、二酸化炭素排出削減の実効性のある取組を確保すること、併せて、環境負荷の低減に向けて、最新鋭の発電設備の活用を促していくこと。

(2)総論

  1.  [1]本事業に伴う環境影響を回避・低減するため、必要に応じて専門家等の助言を受けた上で、調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行うこと。
  2.  [2]地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民関与についても十全を期すこと。

(3)各論

 [1]大気環境

 本発電設備の稼働に伴う大気質の環境影響の回避・低減が図られるよう、短期高濃度条件等の影響についても考慮し、適切な環境保全措置を検討すること。

 [2]水環境

 既存の温排水との重畳も踏まえた上で、温排水の影響の調査、予測、評価及び環境保全措置の検討を行うこと。
 また、取放水設備の工事の実施に伴う水環境に係る影響の調査、予測、評価及び環境保全措置の検討を行うこと。 

 [3]温室効果ガス

  1.  1)局長級取りまとめの「利用可能な最良の技術(BAT)の参考表」に掲載されている(B)の発電技術についても採用の可能性を検討した上で、(A)以上の発電技術を採用すること。 
  2.  2)枠組の構築に向けて発電事業者として可能な限り取り組み、当該枠組が構築された後は、小売段階が調達する電力を通じて発電段階での二酸化炭素排出削減に取り組むこと。
  3.  3)本発電設備の熱効率の適切な維持管理を通じて、着実に二酸化炭素排出量を削減すること。
  4.  4)「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」を目指すとの国の長期目標との整合性を確保するため、二酸化炭素分離・回収・貯留等に関する検討結果や技術開発状況も踏まえ、今後の二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行うこと。
  5.  5)本事業を含め、事業者における長期的な二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行い、事業者として適切な範囲で必要な措置を講ずること。

 [4]その他

 本事業により経年火力発電設備の稼働が減少されれば、環境保全上の優位性をもたらすことが期待されることから、関係者と協力し、最新鋭の天然ガス火力発電設備の導入及び稼働による二酸化炭素排出削減に向けて着実に取り組むこと。

【参考】

○事業概要

  •  ・名称    相馬港天然ガス発電所(仮称)設置計画
  •  ・事業者   石油資源開発株式会社
  •  ・計画位置  福島県相馬郡新地町
  •  ・燃料    天然ガス
  •  ・発電方式  ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)
  •  ・出力    約120万kW

○環境影響評価に係る手続

  • ・平成26年11月4日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会
  • ・平成26年12月19日 環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長  :神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官 :大山 孝 (内6253)

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