報道発表資料

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1997年06月26日

国連環境開発特別総会第3日目の状況

1. 国連環境開発特別総会第3日目(6月25日火曜日)の概要

 25日午後、分野別課題に関する全体会合が開催された。地球温暖化問題について、各国から意見の陳述が行われたが、どの国も従来の主張を繰り返すのに留まり、最終的には、明日開催される非公式首脳会合での方向付けを待つこととなった。
我が国からは、デンバーサミットを踏まえ、現在我が国より提案している案文を修正する用意がある旨発言し、これに対し、議長や米国、カナダより、関心が示された。

(参考)我が国が現在提案している案文
 COP3は、ベルリンマンデート及びCOP2閣僚宣言を再確認し、モントリオール議定書によってコントロールされないGHGの人為的な排出源からの排出及び吸収源による除去に関し、2005年、2010年、2020年といった特定のタイムフレームにおける、数量化された法的拘束力のある排出抑制及び相当の削減目的に合意し、政策措置を精緻化することを、先進国社会に対して求めるべきである。

2. 25日までの石井環境庁長官と各国環境大臣らとの二国間会談の概要は以下のとおり。

(1) 英国のプレスコット副首相兼環境大臣
 ブレア首相自身が環境問題に強い関心を持っていることが紹介されるとともに、来年のEU議長国としても地球温暖化防止京都会議で、意味のある合意が得られるよう積極的に貢献していきたい旨発言があった。

(2) フランスのボイネット環境大臣
 EUの立場と同じく、定量化された法的拘束力のある目標を得ることを重要視しており、
京都会議で意味のある削減目標が得られるようにする必要がある旨発言があった。

(3) 米国のクラウセン国務次官補
 法的拘束力がある削減目標、途上国の関与、柔軟性のある対策の三本柱について、京都会議での合意に向け、精力的調整が必要の旨発言があった。
上記大臣らに対し、石井環境庁長官からは、京都会議の重要性、ホスト国としての我が国の責任、デンバーサミットでの結論等に触れつつ、今後の交渉における各国の協力を要請した。

(4) 中国の解(カイ)国家環境保護局長、韓国の姜(カン)環境大臣との三国間会談
 環境問題に関する三国間の密接な協力が重要であるという認識で一致し、今後事務レベルの検討を踏まえ、大臣レベルでの会合で意見交換、協力を進めていくこととなった。

3. 初日(23日)の各国ステートメントにおける地球温暖化関係部分

 国連環境特別総会の初日(23日)には、我が国の橋本総理がステートメントを行ったほか、ムスタファ・トルバ「国連持続可能な委員会第5回会合」議長、英、仏、独、蘭等がステートメントを行っている。これらのステートメントのうち、地球温暖化に関連する部分は、概略以下の通りである。

ムスタファ・トルバ「国連持続可能な委員会第5回会合」議長

 持続可能な開発委員会が達成すべき最も政治的に困難な4つの課題の一つは、本年12月の地球温暖化防止京都会議に向けたメッセージである。その中には、温室効果ガスの排出削減に関してとり得る行動についての国連総会の見解が含まれることになろう(他の3つの課題とは、持続可能な開発の促進に向けた国際的な約束、森林問題及び航空機燃料への課税問題である。)。

英国のブレアー首相

 演説の3分の1近くを温暖化問題に割き、EUがCO2の排出量を2010年までに15%削減するよう提案していること、英国自身は2010年までに20%削減するとの公約をしていることを紹介。また、この目標の達成のためには、より効率的な交通体系の整備、省エネルギーの推進、再生可能エネルギー利用の飛躍的向上の必要性を強調するとともに、生活様式の変革が必要と指摘。特に、交通体系の改善の必要性を強調するとともに、将来は地球サミットもテレコミュニケーションを通じて行い得る可能性を指摘。途上国の積極的な取組を引き出すためには先進国が率先して努力すべきであり、大量排出者である国々が早く削減目標に係る提案をすべきと要請するとともに、途上国との協力強化の必要性を指摘。

フランスのシラク大統領

 本年12月の京都会議で地球温暖化対策の目的と進め方について合意する必要がある。フランス及びEUは既に提案を行っている。

ドイツのコール首相

 気候変動問題を始めとする地球環境問題への対応に失敗した場合には、自然資源に対しかつてないほどの問題(conflicts over natural resources)を生ずる。しかし、希望を生み出すような進展もある。例えばソーラー・エネルギーの一層の活用やその他のエネルギーのより効率的な利用により、積極的に気候を保護する等、自然とうまくつきあう方法を学びつつある。
 国連総会は、京都で温室効果ガスを著しく削減することを国際合意するよう要請すべきである。工業国は、2010年に主要な温室効果ガスを15%削減するとのEUのポジションを採択すべきである。

(EUを代表して)オランダのウィム・コック首相

 先進工業国は、温室効果ガスの排出を削減する上で世界をリードすべき。京都で、法的拘束力のある目標を採択すべきである。EUは、2010年に温室効果ガスを1990年レベルから15%削減することに合意した。調整されたものを含めた義務的な、又は推奨される政策・措置がこの目標達成を保障すべきである。
 50年後には、世界は10倍のエコ効率(eco-efficiency)を達成する必要があるとの研究もある。自然資源とエネルギーの利用効率改善を伴わない経済開発は徐々にではあるが不可避的にいきづまる。EUは、20-30年以内にエコ効率を4倍に増やすためのフィジビリティ・スタディを提案している。
 国連事務総長に対し、50-100年というタイムフレームにおける長期の持続可能性に関する戦略を提示するよう求める。そのような研究は、国連総会においてハイレベルの検討を行うための基礎となろう。3年以内に、我々は新たな時代に入ることになろう。

ロシアのチェルノミルディン議長

 国連気候変動枠組条約に基づく議定書でベルリンマンデートに従って、法的拘束力を持つような形で、かつ、共通だが差異のある責任に基づき、2000年以降の温室効果ガスの削減を図ることに賛成。京都で、温室効果ガスの排出増大を止め削減することのできる意味のある手段に合意し、地球の気候を安定化するとの長期的目標を推進することを期待する。

オーストラリアのヒル環境大臣

 現実的で公平で実施可能な目標であることが必要。オーストラリアは、30の主要な企業が参加する産業界との協力プログラムであるグリーン・チャレンジを推進している。これにより、何も対策をとらなかった場合と比べて2000年には排出量を14%削減する。また、十億ドルからなる自然遺産基金も、植生の喪失を回復する目的で持ちいられている。オーストラリアは、国際合意は、公平なものであって初めて効果的と考える。差異化目標が必要であり、一律目標は不公平な負担を強いることになる。同様に、法的拘束力のある目標は、その内容が明確化されない限り、合意するには時期尚早である。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課長:岡澤和好(6731)
 担当:新田 晃(6755)
温暖化国際対策推進室
 室長:鈴木克徳(6741)
 担当:奥山祐矢(6739)