報道発表資料

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1997年05月12日

オーソンNo.3号油流出事故に関する緊急調査結果(大気環境関係)

環境庁は、オーソンNo.3号油流出事故に関し、漂着重油による大気環境への影響を調査するために、平成9年4月18日に長崎県対馬において、重油漂着地域の3地点及び漂着重油による影響を直接受けないと考えられる内陸部の対照地点1地点の計4地点において大気中の炭化水素の濃度測定を行った。
 その結果、重油漂着地域の大気中炭化水素濃度は、最大のものでも対照地点と比べて顕著な差は見られなかった。
 この結果より、オーソンNo.3号油流出事故による重油漂着地域の大気汚染は極めて軽微であり、一般環境において健康影響が問題となることはないものと考えられる。

1.調査目的
 タンカー オーソンNo.3号からの油流出事故に関し、流出重油が漂着した長崎県対馬において、重油中の炭化水素による大気汚染が懸念されたため、現地の大気の測定を行い、漂着重油による大気環境への影響を把握する。

2.調査方法
 調査は、平成9年4月18日に行った。サンプリング地点は、長崎県対馬の重油漂着地域の3地点及び重油による影響を直接受けないと考えられる島内内陸部の対照地点1地点の計4地点である。
 調査対象物質は、重油中に含有されることが知られている物質として直鎖脂肪族飽和炭化水素及び芳香族炭化水素を選定した。
 測定(サンプリング及び分析)方法は、以下のとおり。
・サンプリング方法 : 容器捕集法
・分析方法      : ガスクロマトグラフ/質量分析法

3.調査結果 
(1)直鎖脂肪族飽和炭化水素
 直鎖脂肪族飽和炭化水素のうち炭素数6から10までの5物質(n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン及びn-デカン)の測定を行った。その結果、n-ヘキサン、n-ノナン及びn-デカンが全地点で、またn-オクタンが1地点で検出された。n-ヘプタンはどの地点でも検出されなかった。
 検出されたもので最大の濃度を示したのは、対照地点の n-デカンで 1.2μg/m3 であり、重油漂着地域の各地点では、この濃度を越えるものは検出されなかった。また、測定した5物質の濃度の合計で最大のものは、浦港の 1.9μg/m3 であるが、対照地点の 1.5μg/m3 と同程度である。

(2)芳香族炭化水素
 ベンゼン、トルエン、キシレン類及びエチルベンゼンの測定を行った。その結果、これら4物質が全地点で検出された。
 ベンゼン濃度の最大値は、浦港の 1.7μg/m3 であるが、対照地点の 1.1μg/m3 と比べて大きな違いのあるものではない。また、これらの値は、ベンゼンの環境基準値 3μg/m3 を下回るものである。※
 測定した4物質の濃度の合計で最大のものは、浦港の 5.0μg/m3 であるが、対照地点の 4.7μg/m3 と同程度である。

※ ベンゼンの環境基準は、1年平均値として定められているため、今回の測定結果のみにより当該基準への適合を判定できないが、参考として測定結果を環境基準値と比較したものである。


4.調査結果の評価
 上記結果のとおり、オーソンNo.3号油流出事故に関し、4月18日現在、長崎県対馬の重油漂着地域における大気中の炭化水素濃度は、最大のものでも島内内陸部の対照地点と比べて顕著な差は見られなかった。
 このことから、漂着重油による大気汚染は、極めて軽微であると考えられ、一般環境において健康影響が問題となることはないものと考えられる。

連絡先
環境庁大気保全局大気規制課
課長 飯島  孝 (6530)
 担当 宮崎正信 (6537)