総合環境政策

地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアルに関する検討会(第4回) 議事要旨

日時

平成28年11月25日(金) 14:00~16:00

場所

TKP東京駅八重洲カンファレンスセンター ホール7C

参加者

(委員)
佐土原委員(座長)、小林委員(副座長)、伊香賀委員、榎原委員、風見委員、川中子委員、久保田委員、澤木委員、竹ケ原委員、谷口委員、藤野委員、松行委員、山本委員
(環境省)
総合環境政策局 環境計画課 松本課長、新原課長補佐
(事務局)
中外テクノス株式会社 岩崎
エム・アール・アイリサーチアソシエイツ株式会社 池田

議事要旨

(1)地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアルの概要等について(資料1~資料4)

 資料1~資料4を説明(資料2の1-4にて分割し、2つのパートの時間に分割)し、それぞれ事務局より説明した後、議論を行った。以下にその内容を記す。

① 地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアルの概要案(『第0章.はじめに』及び『第1章.区域施策編の素案の作成について』のうち『1-3.計画全体の目標』まで)
  • (谷口委員)よくできてきた。気になる点は大きく2点。1点は、結果を出すためには、経済界と金融をしっかり位置付けた方がよいこと。もう1点は、CO2を多く排出しており責任が大きい大都市と、それ以外の市町村を明確に分けるべきであること。具体的には次のとおり。資料2のスライド1の「民間団体」は、「経済団体、金融機関等の民間団体」に。資料2のスライド9の「各主体の考え方を把握することも重要」は、「各主体の環境に対する知見の程度及び考え方を把握することも重要」に。これは、環境に対する知見がないまま判断をしている例が全国に多々あるため。資料2のスライド9の「地域社会を構成する要素」については、「地域金融」を入れて欲しい。これは、地域の中で経済循環を回すことが大きなコベネフィットにつながるため。資料2のスライド11の「コスト削減」については、「域外流出資金削減」や「域内循環資金の増加」の方が適切ではないか。資料2のスライド22の「域外の効果」だが、大都市内の削減ポテンシャルは限られており、域外への削減に貢献することが役割と考える。(世界的にも同傾向であり、ミュンヘンが有名。)
  • (藤野委員)具体的な事例が入り、分かりやすくなった。資料2のスライド1の「都道府県は、特に広域的なルールづくりや市町村の支援」は、計画の策定・改定に際して複数自治体での共同の取組を推奨するとの趣旨でよろしいか。資料2のスライド8の地球温暖化対策を巡る動向については、もう少し踏み込んで書いてはどうか。例えば、2℃目標に加え1.5℃努力目標があり、そのためには、2050年に世界で温室効果ガス排出量を40~70%削減、2100年にはゼロからマイナスという、大きな目標の中にこの計画があるということを示して、意欲的な取組を促してはどうか。また、G7の富山環境大臣会合での都市の役割についての議論や、COP22でのノンステートアクターズ(企業、都市、非国家主体等)の取組が重要であるとの議論があり、自治体の取組が国際的に評価されうること等を紹介してはどうか。
  • (伊香賀委員)資料2のスライド32において、部門別目標設定について「部門別に設定することが考えられる。」と注釈されているが、家庭部門や業務その他部門の40%削減という国全体の目標があることを考えると、「考えられる。」という表現は生ぬるいのでは。少なくとも、大きく削減しないといけない部門だけは、できないならできないなりのことを自覚いただくことを強調して欲しい。また、CASBEE-都市の紹介があるが、住宅や建築物のCO2削減をCASBEE-建築やCASBEE-住宅では出すことができる。既に活用している自治体があるのでその旨も注釈して欲しい。資料2のスライド12の図について、家庭や住宅部門の温室効果ガス削減に関するキーワードが入っていない。例えば、住宅や建築物の省エネによって、温室効果ガスの削減にもなり、健康の増進にもなることを加えて欲しい。
  • (小林委員)思想もしっかりして分かりやすくなった。資料2のスライド1の3つの基本精神もよい。資料2のスライド11のコスト削減は、電気や燃料の減少で削減される行政コストの意味ではないか。であれば、「燃料のコスト」等具体的に記載した方がよい。コベネフィットで色々なメリットを記載いただくことはありがたいが、トレードオフもあると思う。そのため、トレードオフに向き合い、それを解決できるような政策をすることも重要。また、コベネフィットの定量的な目標もあってもよいのではないか。例えば、冬季の心臓発作の搬送件数等。現況推計全体にも関わるが、吸収量の取り扱い方についても記載するべき。谷口委員の大都市の役割にあったように、BAUのあたりから域外の削減量を取り扱って政策を打つのであれば、資料2のスライド27、30でも触れておいた方がよいのではないか。
  • (久保田委員)コベネフィットを大きく扱うことはよい。例えば、資料2のスライド12の「地域の課題解決や魅力向上の重要な手段となりうる。」等については、より積極的な表現をしてもよいのではないか。図において、建築物の省エネの話は、生活の質の向上(良好な居住環境)にも位置付けられる。また、公共交通については、小規模市町村も意識して、公共交通の充実だけでなく、公共交通の維持やモビリティーの向上を触れるべき。資料2のスライド19に、ステークホルダーの巻き込みと記載いただいたが、参加の質の確保が非常に重要である旨を記載いただきたい。資料2のスライド32の目標に、コベネフィットの評価目標として、エネルギー自給率やエネルギーコストの域外流出の削減額を例示してはどうか。
  • (山本委員)大都市の排出を多く削減することが重要であることは理解できたが、一方で小さな田舎では吸収源対策で貢献しているとの考え方もある。吸収源対策の位置付けを明確にしていただきたい。また、持続可能性の観点から、子供たちの啓発・参画は重要であると考えるため、その旨記載いただきたい。
  • (榎原委員)非常に分かりやすくなった。例えば、ドイツでは温室効果ガス削減の計画を作る際に、地域への経済効果を試算することが当たり前になっている。コラムとして、立命館大学のラウパッハ先生の地域の付加価値効果の測定方法や域外流出金額を目標値にするやり方等を例示できないか。資料2のスライド24に記載の排出量の推計に伴う実績値の把握は非常に重要である。最近では、自治体でPPSを行っているところもあり、世帯ベースの生データを把握することができる。全ての自治体がPPSに参加できるわけではないが、エネルギー事業者との連携等で積極的に生データを取りに行く方策も踏み込んで記載してはどうか。
  • (松行委員)分かりやすい原案となっている。自治体の環境部局だけでできることは少なく、庁内連携の重要性を改めて感じた。そのためには、総合計画に位置付け、都市計画マスタープラン等とも整合をとることが重要。また、区域施策編を作るタイミングも総合計画と合わせるなど、戦略的に行う必要がある。資料2のスライド14の図では、区域施策編が中心になっているが、実際は総合計画に整合するように、区域施策編も関連計画も作られる。そのように書き方を変えると総合計画の重要性が強調されるのではないか。
  • (竹ケ原委員)分かりやすくまとまっている。資料2のスライド2にはコベネフィットの模索に重点を置くように推奨すると書いてあるが、実際に地方公共団体職員がどうやるのか。コベネフィットについて定性的に記述すればそれでよいのか、定量化して数値で示すのか。マニュアルを使う側の目線で考えるとゴールを示すべきではないか。実際は段階を追ってやっていくしかないので、コベネフィットをどう使っていくか道筋を示すモデルケースを例示してはどうか。また、総論の部分でも構わないので、IoTの概念など、今起こっているイノベーションを踏まえて自治体もグランドデザインを描くべきであることは記載いただきたい。
  • (瀬田委員:事前の御意見)資料2のスライド24に排出量の推計手法が示されているが、自治体が自ら行うモチベーションはどの程度あるのか。自治体自身が取り組めば、排出傾向や削減状況など施策の実績についても確認しやすいのではないか。
    • (事務局)地方公共団体の規模によるが、多くの地方公共団体が詳細な推計を試みている。施策の実績確認にもつながり、住民にもアピールすることができると考えている。
  • (佐土原座長)都道府県が市町村を支援する際にも活用できるように、マニュアルを工夫いただきたい。具体的には、特に小規模の市町村にとって、どの部分を重点的にやればよいのかが分かりやすくなっているとよい。
② 地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアルの概要等(『1-4. 温室効果ガス排出抑制等に関する対策・施策(目次)』から『2-6.Plan(改定)』まで)
  • (谷口委員)対策・施策のマニュアルでの扱いについて定義付けしていることは明確でよい。東京都では、法制度に係る施策について、最初は情報開示を求め、次の段階では、その開示情報に基づき社会的評価を与え(インセンティブが発生)、最終的に総量削減の規制につなげる流れで作ったことがある。資料2のスライド36の整理の仕方では、このような法制度の整備のような横串的な施策が抜け落ちてしまう。他にも横串の施策として、税や金融でいうとCBOがある。資料2のスライド37の茅ヶ崎市の施策分類を基に、例えばこの分類のところを、法制度、情報、税制、補助金等の項目で縦割りにして、行を重ねると施策立案のヒントが見えるのではないか。
  • (川中子委員)谷口委員と同様の意見だが、資料2のスライド39の表のように最初から部門ごとに区切られてしまうと、横串の施策が書けなくなる。例えば、環境教育、人材育成、普及啓発等は部門を超えて取り組む対策であるため、部門横断という行を加えていただきたい。
  • (榎原委員)資料4は非常に有効であり、このような情報の蓄積により日本の温暖化対策は進むと考える。可能であれば、実施施策の効果(例えば、いくら補助金を出して、どのような効果が生まれたか。)を示すと、予算感覚等も掴むことができる等、より参考になる。
  • (久保田委員)資料2のスライド36の図にも横断的施策という円が必要であり、そこには環境教育や進行管理等を列挙するべきである。また、都道府県と市町村の施策の役割分担や協働について重要な項目として触れていただきたい。計画策定時に意見交換することはあっても、進行管理の中で市町村から都道府県に意見を言うことは通常なく、コミュニケーション不足だと感じている。資料2のスライド42で、Plan、Do双方に関わることだが、計画目標とは別に施策についての評価指標を設定する必要性を記載いただきたい。毎年の公表においては、CO2削減量や計画目標の数値で出せない成果の可視化についても触れてはどうか。また、住民やステークホルダーの必要性及び地球温暖化防止活動推進センターの活用も触れていただきたい。資料2のスライド45のPlanの庁外体制の検討においては、コベネフィットも意識して、ステークホルダーを適切にリストアップすることの重要性も記載いただきたい。
  • (松行委員)資料2のスライド39、40のような指標を作ることは分かりやすい。ただし、対策・施策の進捗管理指標と、総量削減目標の関連性が分かりにくいのでマニュアルではしっかり説明いただきたい。また、指標によっては、計画による効果よりも人口減少による影響が大きい場合もある。はっきり切り分けることは難しいと思うが、その考え方についてもマニュアルに記載いただきたい。
  • (瀬田委員:事前の御意見)資料3について、地方公共団体の規模別のカテゴリーがあるが、事例によっては地方公共団体の規模に関わらず参考になるものもあるはずなので、整理の仕方に留意いただきたい。
  • (小林委員:追加の御意見)電力の排出係数を低いものにすることの重要性、並びに、そのために需要側及び自治体ができることをきっちりと位置付けていただきたい。
  • (佐土原座長)PDCAサイクルについて、事例集ではどのような事例を示すのか。
    • (事務局)対策・施策の事例だけでなく、PDCAプロセスの事例を示す予定。事例については、さらに収集・整理し、充実を図りたい。

(2)これまでの議論全体に関するご意見

 これまでの検討会でのテーマを含めた全体について、以下の議論を行った。

  • (藤野委員)検討会が終わるので、今後追加で出た事例等の取扱いに関するルールを定めてはどうか。また、マニュアル公表後のフォローアップ体制(新人職員へのフォロー、未策定自治体へのフォロー、環境省からの補助金等の情報提供、サポート人材の育成等)を今後検討いただきたい。今回コベネフィットの話が出てきたが、策定義務のない自治体はベネフィットがあるから計画を作る。温暖化対策のみの計画でなく、観光計画と組み合わせる等、自治体が一番大事だと思う計画と温暖化対策の計画を組み合わせてもらえるよう環境省としてサポートしてはどうか。
    • (事務局)検討会の議論を踏まえて事務局にて検討を進めて行くが、必要に応じて委員に個別相談させていただきたい。マニュアルの素案については、委員に一読いただき、意見が分かれる点などあれば、座長、副座長とも相談し、まとめたい。
  • (谷口委員)PDCAの事例は肝になると考えているが、まだまだ情報収集が不足している。どこでもやっている事例より、幅広く調査し先進的な事例も紹介した方がよい。プロセスの中で失敗事例は参考になるため、記載を検討いただきたい。また、マニュアルのみでなく、実行計画のアドバイザー制度や相談窓口が必要だと考える。行政としては、先駆的な事業や実証フィールドに場所を貸すなど、保有する公共資産を使ってやれることがあるので、上手く入れていただきたい。
  • (小林委員)条例は自治体しかできない施策なので、事例集でもカバーいただきたい。また、自治体を超えた連携事例をもっと集めていただきたい。また、自治体が計画を作ろうとすると、財政部局や他部局が拘束されることを嫌い、骨抜きになるパターンがよくある。作文だけでなく、実行できる計画とするためには、お金が必要。環境省は補助金を使いやすい形、たとえば、温室効果ガスの削減量をコミットすることで、やり方はあまり縛らない形にしたり、区域施策編に記載されていることを補助金の要件にする等で区域施策編に経済的なインセンティブを与えたり、工夫していただきたい。
  • (榎原委員)自治体は、コンサルに計画策定の支援を発注する際にも芯のところは手放さず、コンサルと議論することが重要。色々なシミュレーションを議論することで自分のものにできるかが決まり、施策立案にもつながる。その意味で、マニュアルはディスカッション用のツールとして有効である。
  • (川中子委員)地方公共団体実行計画区域施策編の策定義務のない市町村に対してどのようにアプローチするか話をしていきたい。その理由としては2点ある。世界の気候変動対策の枠組みが京都議定書からパリ協定に移り、先進国だけでなく、全ての国が参加することになった趣旨を、国内においても踏まえるべきである点。都道府県の代表として申し上げれば、都道府県は市町村に対して策定を働きかける責務を持っているためである。マニュアルができた後、いかに都道府県がそれを活用し、市町村に働きかけるかが重要であり、環境省とも連携し、進めていけるとよいと思う。
  • (瀬田委員:事前の御意見)地方公共団体が、区域施策編を作成するモチベーションが上がるように、区域施策編がもたらす便益は、本マニュアルの内外を問わないが強くアピールするべきである。
  • (佐土原座長)多岐に渡って御議論いただいた。温暖化対策はフェイズが変わっている印象であり、様々な計画に組み込まれる形で根付いており、コベネフィットの話はまさにその象徴だと思う。人口減少の本格化を迎える段階と、高度情報化のイノベーションが起こりつつある段階にあり、これに合わせて様々なステークホルダーが自分事として取り組むために、このマニュアルを広く活用いただくことが重要。マニュアルの完成に向けて更に詰めていっていただきたい。

以上

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