環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和8年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第7節 原子力災害からの環境再生の推進

第7節 原子力災害からの環境再生の推進

1 放射性物質に汚染された土壌等の除染等の措置等

2011年3月11日、マグニチュード9.0という日本周辺での観測史上最大の地震が発生しました。

この地震により引き起こされた津波によって、東北地方の太平洋沿岸を中心に広範かつ甚大な被害が生じるとともに、東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の事故によって大量の放射性物質が環境中に放出されました。また、福島第一原発周辺に暮らす多くの方々が避難生活を余儀なくされました。

環境省ではこれまで、除染や中間貯蔵施設の整備、特定廃棄物の処理など、被災地の復興・再生に向けた事業を続けてきました(写真3-7-1)。

写真3-7-1 石原宏高環境大臣、辻清人環境副大臣、友納理緒環境大臣政務官の伊澤史朗双葉町長との面会の様子

平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)では、除染の対象として、国が除染の計画を策定し、除染事業を進める地域として指定された除染特別地域と、1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村を対象に関係市町村等の意見も踏まえて指定された汚染状況重点調査地域を定めています。

(1)除染特別地域と汚染状況重点調査地域

国が除染を実施する除染特別地域では、2012年4月までに環境省が福島県田村市、楢葉町、川内村、南相馬市において除染実施計画を策定し、同年7月から田村市、楢葉町、川内村で本格的な除染(以下「面的除染」という。)を開始しました。他の除染特別地域の市町村においても除染実施計画策定後、順次、面的除染を開始し、2017年3月末までに11市町村で避難指示解除準備区域及び居住制限区域の面的除染が完了しました。また、2022年3月31日には田村市において除染特別地域の指定を解除しました。

市町村が除染を実施する汚染状況重点調査地域では、2018年3月末までに8県100市町村の全てで面的除染が完了しました。

また、汚染状況重点調査地域では、2026年2月末までに、地域の放射線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト未満となったことが確認された40市町村において、汚染状況重点調査地域の指定が解除されました。

面的除染完了後には、除染の効果が維持されているかを確認するため、詳細な事後モニタリングを実施し、除染の効果が維持されていない箇所が確認された場合には、個々の現場の状況に応じて原因を可能な限り把握し、合理性や実施可能性を判断した上で、フォローアップ除染を実施しています。

(2)森林の放射性物質対策

森林については、2016年3月に復興庁・農林水産省・環境省の3省庁が取りまとめた「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」に基づき、住居等の近隣の森林、森林内の人々の憩いの場や日常的に人が立ち入る場所等の除染等の取組と共に、林業再生に向けた取組や住民の方々の安全・安心の確保のための取組等を関係省庁が連携して進めてきました。

具体的には、里山再生のための取組を総合的に推進するため、除染等を含めた里山再生モデル事業を14地区で実施し、その結果を踏まえて2020年度以降は「里山再生事業」として、2026年3月までに13地区を選定し、事業を実施しています。

(3)仮置場等における除去土壌等の管理・原状回復

除染により生じた土壌等(除去土壌等)のうち福島県内のものは、一時的な保管場所(仮置場等)で管理し、順次、中間貯蔵施設及び仮設焼却施設等への搬出を行っており、2026年2月時点で、仮置き場等の総数1,372か所に対し、約99%に当たる1,362か所で搬出が完了しています。除去土壌等の搬出が完了した仮置場等については原状回復を進めており、2026年2月時点で、総数の約95%に当たる1,303か所で完了しています。

福島県外の除去土壌については、埋立処分に伴う作業員や周辺環境への影響等を確認することを目的として、宮城県丸森町、茨城県東海村及び栃木県那須町の3か所で埋立処分の実証事業を実施しました。敷地境界の空間線量率等を測定したところ、除去土壌の埋立前後で大きな変化がなく、周辺環境が安全であることを確認したとともに、浸透水中の放射能濃度についても、全ての検体で検出下限値未満であり、地下水の汚染を生じさせるおそれがないことを確認しました。また、除去土壌の処分方法を定めるため、有識者による「除去土壌の処分に関する検討チーム会合」を開催し、専門的見地から議論を進めてきました。こうした実証事業の結果や有識者からの助言等を踏まえ、2025年3月に放射性物質汚染対処特措法施行規則の一部を改正して除去土壌の埋立処分基準を策定するとともに、福島県外において発生した除去土壌の埋立処分に係るガイドラインを公表しました。また、本基準における安全対策等のこれまでの取組は、国際原子力機関(IAEA)から十分に安全であるという見解が示されています。

(4)中間貯蔵施設の整備等
ア 中間貯蔵施設の概要

福島県内の除染に伴い発生した放射性物質を含む土壌等及び福島県内に保管されている10万ベクレル/kgを超える特定廃棄物等を最終処分するまでの間、安全に集中的に管理・保管する施設として中間貯蔵施設を整備しました。

中間貯蔵施設事業は、「令和7年度の中間貯蔵施設事業の方針」(2025年3月公表)に基づき、取組を実施してきました。本方針は、安全を第一に、地域の理解を得ながら事業を実施することを総論として、

[1]特定帰還居住区域等で発生した除去土壌等の搬入を進める

[2]受入・分別施設は新たな施設の設計・工事に着手し、土壌貯蔵施設は安全性を確保しつつ、適切な維持管理を徹底すること

[3]復興再生利用・最終処分の基準や今後の進め方等に基づき、着実に取り組んでいくこと

などを定めており、あわせて、施設整備概要を公表しています。

イ 中間貯蔵施設の現状

中間貯蔵施設整備に必要な用地は約1,600haを予定しており、2026年3月末までの契約済み面積は約1,321ha(全体の約82.6%。民有地については、全体約1,270haに対し、約96.1%に当たる約1,220ha)、1,990人(全体2,360人に対し約84.3%)の方と契約に至っています。用地取得については、地権者との信頼関係はもとより、中間貯蔵施設事業への理解が何よりも重要であると考えており、地権者への丁寧な説明を尽くしながら取り組んでいます。

2016年11月から受入・分別施設(写真3-7-2)や土壌貯蔵施設(写真3-7-3)等の整備を進めています。受入・分別施設では、福島県内各地にある仮置場等から中間貯蔵施設に搬入される除去土壌を受け入れ、容器の破袋、可燃物・不燃物等の分別作業を行います。土壌貯蔵施設では、受入・分別施設で分別された土壌を放射能濃度やその他の特性に応じて安全に貯蔵します。

写真3-7-2 受入・分別施設
写真3-7-3 土壌貯蔵施設

中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送については、各地元関係者の理解と協力の下、2022年3月末をもって福島県内に仮置きされている除去土壌等(帰還困難区域を除く)をおおむね搬入完了するという目標を達成し、引き続き、特定帰還居住区域等で発生した除去土壌等の搬入を進めています。

2026年3月末までの累計搬入量は約1,400万m3であり、より安全で円滑な輸送のため、運転者研修等の交通安全対策や必要な道路補修等に加えて、輸送出発時間の調整など特定の時期・時間帯への車両の集中防止・平準化を実施しました。

除染や中間貯蔵施設の整備、特定廃棄物の処理、帰還困難区域における特定復興再生拠点区域及び特定帰還居住区域の整備等の復興・再生に向けた事業を進めると同時に、既存の環境再生プラザやリプルンふくしまに加え、2025年3月には中間貯蔵事業情報センター及びながどろひろばを開設しました。これらを主な拠点として放射線や地域の環境再生への取組等について分かりやすく情報を提供しています。さらに、高い専門性や豊富な経験を持つ専門家の、市町村や町内会、学校等への派遣、Web等を活用した除染・放射線学習をサポートする教材の配布を実施しています。

2 福島県外最終処分に向けた取組

(1)県外最終処分に向けたこれまでの取組

福島県内で発生した除去土壌等については、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成15年法律第44号)において、中間貯蔵に関する国の責務として、中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることとされています。環境省では、2025年3月に、「県外最終処分に向けたこれまでの取組の成果と2025年度以降の進め方(中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略の取りまとめ)」を公表しました。

(2)福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議

県外最終処分の実現に向けては、最終処分量を減らすことが鍵であり、復興再生利用(福島第一原発の事故による災害からの復興に資することを目的として、再生資材化した除去土壌を適切な管理の下で利用すること)等による最終処分量の低減方策、風評影響対策等の施策について、政府一体となって推進するため、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議を2024年12月に設置しました。

同会議において、2025年5月に「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針」が決定され、2025年8月には当面5年程度で主として取り組むことを取りまとめた「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップ」が決定されました。

(3)復興再生利用の推進に係る取組

復興再生利用の推進については、2025年3月に、実証事業で得られた知見や国内外の有識者の助言等を踏まえ、復興再生利用の基準及びガイドラインを策定しました。国民の幅広い理解醸成を図るという観点から、政府が率先して取り組むため、2025年7月に、総理大臣官邸で復興再生利用を施工し、これに続いて、2025年9月から10月にかけて、霞が関の中央官庁の花壇等9か所で施工しました。これらの場所では定期的に空間線量率のモニタリングを実施しており、人体への影響は無視できるレベルであることを確認しています。

(4)県外最終処分に向けた検討に係る取組

県外最終処分に向けた検討に当たり、専門的知見を活用するため、2025年9月に環境再生に関する技術等検討会を設置しました。当該検討会では、復興再生利用及び最終処分に係る事項を始めとして、環境再生に係る技術的な事項等について検討を行うこととしています。

(5)全国的な理解醸成活動

福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向け、復興再生利用の必要性・安全性等に関する全国での理解醸成活動の取組として、福島県内外の音楽イベント、大阪・関西万博等一般の方向けのイベント会場へのパネル出展や、環境省の取組についてのパネルディスカッション、テレビ局と連携した番組の放送等により、広く発信を行いました。また、飯舘村長泥地区及び中間貯蔵施設の現地見学会を開催したほか、大学生等への環境再生事業に関する講義、現地見学会等を実施するなど、若い世代に対する理解醸成活動も実施しました。

また、県外最終処分・復興再生利用について分かりやすく説明したリーフレット・ポスターの配布・公開に加え、霞が関の中央官庁等での復興再生利用の現場を活用した理解醸成を実施しました。さらに、復興再生利用に用いる除去土壌は資源であり、復興再生利用の必要性・安全性について理解を深めていただくため、2025年9月に復興再生利用に用いる除去土壌の呼称を「復興再生土」と決定しました。

3 放射性物質に汚染された廃棄物の処理

(1)対策地域内廃棄物と指定廃棄物の概要

放射性物質汚染対処特措法では、対策地域内廃棄物及び指定廃棄物を特定廃棄物として国の責任の下、適切な方法で処理することとなっています。

対策地域内廃棄物は、汚染廃棄物対策地域(国が廃棄物の収集・運搬・保管及び処分を実施する必要があるとして環境大臣が指定した地域)内で発生した廃棄物を指し(避難指示解除後の事業活動等に伴う廃棄物を除く)、主に津波がれき、家屋等の解体によるもの、片付けごみが該当します。現在、福島県の10市町村にまたがる地域(楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の全域、並びに南相馬市、川俣町及び川内村で当時警戒区域又は計画的避難区域であったことのある地域。除染特別地域と同じ。)が汚染廃棄物対策地域として指定されています(田村市については、2022年3月31日に地域指定を解除)。

指定廃棄物は、放射能濃度が8,000ベクレル/kgを超え、環境大臣が指定した廃棄物です。2025年12月末時点で、9都県において、焼却灰や下水汚泥、農林業系廃棄物(稲わら、堆肥等)等の廃棄物計約50.2万トンが環境大臣による指定を受けています。指定廃棄物の処理は、放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針(2011年11月閣議決定)において、当該指定廃棄物が排出された都道府県内において行うこととされています。

なお、8,000ベクレル/kg以下に減衰した指定廃棄物については、放射性物質汚染対処特措法施行規則第14条の2の規定に基づき、当該廃棄物の指定の取消しが可能です。指定取消し後の廃棄物の処理については、国は技術的支援のほか、指定取消し後の廃棄物の処理に必要な経費を補助する財政的支援を行うこととしています。

(2)福島県内の特定廃棄物の処理

福島県内の特定廃棄物のうち可燃物については、可能な限り減容化することとしており、これまで9市町村に12の仮設焼却施設を設置しました。このうち9施設は運営終了し、2025年10月末時点では、残りの3施設において減容化処理を実施しています。

また、放射能濃度が10万ベクレル/kg以下の特定廃棄物は、既存の管理型処分場(特定廃棄物埋立処分施設又はクリーンセンターふたば(写真3-7-4))を活用して埋立処分を行っています。それぞれ、特定廃棄物埋立処分施設(旧フクシマエコテッククリーンセンター)では2023年10月末に埋立処分が完了し、クリーンセンターふたばでは2023年6月に特定廃棄物の搬入を開始、2026年3月末時点で3万6,089袋の埋立処分を実施しています。他方で、放射能濃度が10万ベクレル/kgを超える特定廃棄物については、中間貯蔵施設において保管されています。

写真3-7-4 既存の管理型処分場(クリーンセンターふたば)の様子

これらの取組により、2023年2月末時点で、帰還困難区域を除く対策地域内廃棄物の仮置場への搬入、中間処理、最終処分はおおむね完了しました。

特定廃棄物の処理に当たっては、2018年8月に開館した特定廃棄物埋立情報館「リプルンふくしま」において、情報発信を行うなど、引き続き、安心・安全の確保に万全を期して事業を進めていきます。

(3)福島県外の指定廃棄物等の処理

環境省では、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県及び群馬県において、指定廃棄物の長期管理施設を設置することとし、有識者会議において、長期管理施設の安全性を適切に確保するための対策や候補地の選定手順等について、科学的・技術的な観点からの検討の上、2013年10月に長期管理施設の候補地を各県で選定するためのベースとなる案を取りまとめました。その後、それぞれの県における市町村長会議の開催を通じて長期管理施設の安全性や候補地の選定手法等に関する共通理解の醸成に努めた結果、宮城県、栃木県及び千葉県においては、各県の実情を反映した選定手法が確定しました。

これらの選定手法に基づき、環境省は、宮城県においては2014年1月に3か所、栃木県においては同年7月に1か所、千葉県においては2015年4月に1か所、詳細調査の候補地を公表しました。詳細調査候補地の公表後には、それぞれの県において、地元の理解を得られるよう取り組んでいるところですが、いずれの県においても詳細調査の実施には至っておりません。

その一方で、各県の課題に応じた段階的な対応も進めています。

宮城県においては、県の主導の下、各市町村が8,000ベクレル/kg以下の汚染廃棄物の処理に取り組むこととしたことを受け、環境省はこれを財政的・技術的に支援しています。2025年3月末時点で、黒川圏域では汚染廃棄物の処理が終了し、石巻圏域及び仙南圏域では本焼却が終了しているほか、大崎圏域において焼却を実施中です。

栃木県においては、指定廃棄物を保管する農家の負担軽減を図るため、2018年11月、指定廃棄物を一時保管している農家が所在する市町の首長が集まる会議を開催し、国から栃木県及び保管市町に対し、市町単位での暫定的な減容化・集約化の方針を提案し合意が得られました。2020年6月には、暫定保管場所の選定の考え方を取りまとめ、可能な限り速やかに暫定保管場所の選定が行われるよう、県や各市町と連携して取り組むことを確認しました。また、2021年6月には環境省から那須塩原市に対して、農業系指定廃棄物の暫定集約に加え、8,000ベクレル/kg以下となったものについて指定取消しを経て処分することなどの協力を要請しました。この方針等に沿って、環境省では2021年10月から2023年3月にかけて、那須塩原市内53の保管農家の敷地から暫定集約場所へ指定廃棄物を搬出するとともに、8,000ベクレル/kg以下となったものについては指定取消しを行い、他の一般廃棄物と混焼し処分するなどの取組を実施しました。また、日光市、大田原市及び矢板市では、方針に基づき農業系指定廃棄物を暫定保管場所へ集約する作業が完了し、那須町においてもおおむね完了するなど、関係市町において取組が進められています。

千葉県においては、2016年7月に全国で初めて8,000ベクレル/kg以下に減衰した指定廃棄物の指定取消を行いました。引き続き、課題解決に向け関係自治体と調整しながら指定廃棄物の処理を進めていきます。

茨城県においては2016年2月、群馬県においては同年12月に、「現地保管継続・段階的処理」の方針を決定しました。この方針を踏まえ、必要に応じた保管場所の補修や強化等を実施しつつ、8,000ベクレル/kg以下となったものについては、段階的に既存の処分場等で処理することを目指しています。

4 帰還困難区域の復興・再生に向けた取組

帰還困難区域については、2017年5月に改正された福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号。以下「福島特措法」という。)に基づき、各町村の特定復興再生拠点区域復興再生計画に沿って、特定復興再生拠点区域における除染や家屋等の解体を進めてきました。

また、2021年8月31日に、原子力災害対策本部・復興推進会議において「特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方」を決定し、2020年代をかけて、帰還意向のある住民が帰還できるよう、帰還に関する意向を個別に丁寧に把握した上で、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除の取組を進めていくこととされました。この方針を実現するため、2023年6月に福島特措法を改正し、避難指示解除による住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指す「特定帰還居住区域」を設定できる制度が創設されました。

また、帰還される住民の方々の安心・安全を確保するため、2013年度から帰還困難区域等において、イノシシ等の生息状況調査及び捕獲を実施しています。2025年度は、5町村(福島県富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村)でイノシシ(626頭)、アライグマ(203頭)、ハクビシン(33頭)の総数862頭が捕獲されました(3月末時点)。

(1)特定復興再生拠点区域での取組

特定復興再生拠点区域における除染はおおむね完了しており(2026年2月末時点)、また、家屋等の解体の進捗率(申請受付件数比)は約96%です(2026年2月末時点)。こうした取組を踏まえ、2023年11月までには、全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。

(2)特定帰還居住区域での取組

特定帰還居住区域については、特定帰還居住区域の設定範囲、公共施設の整備等の事項を含む「特定帰還居住区域復興再生計画」を市町村が作成し、内閣総理大臣の認定を受け、認定された計画に基づき、国による除染等の実施や道路・上下水道等のインフラ復旧等の避難指示解除に向けた取組を進めることとしています。

2022年度以降、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、葛尾村及び南相馬市で帰還意向調査を実施しており、そのうち、大熊町及び双葉町では、2023年度から先行的な除染や家屋等の解体を実施するため、両町の一部区域について、それぞれ特定帰還居住区域復興再生計画が作成され、2023年9月に内閣総理大臣が認定を行いました。これを受け、同年12月に除染や家屋等の解体が開始されました。

浪江町及び富岡町でも特定帰還居住区域復興再生計画が作成され、それぞれ2024年1月と同年2月に内閣総理大臣が認定を行いました。これを受け、浪江町では2024年6月、富岡町では同年9月に除染や家屋等の解体が開始されました。

さらに、南相馬市及び葛尾村でも特定帰還居住区域復興再生計画が作成され、それぞれ2025年3月と同年7月に内閣総理大臣が認定を行いました。また、大熊町、双葉町、富岡町、浪江町及び葛尾村で計画を変更し、区域が広がりました。

引き続き、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を進めていきます。

5 復興の新たなステージに向けた未来志向の取組

環境省では、環境再生の取組のみならず、自然再興、炭素中立、循環経済といった環境の視点から地域の強みを創造・再発見する「福島再生・未来志向プロジェクト」を推進しており、2020年8月に福島県と締結し、さらに2026年3月に改定した「福島の復興に向けた未来志向の環境施策推進に関する連携協力協定」も踏まえ、福島県や関係自治体と連携しつつ施策を進めていくこととしています。

福島での自立・分散型エネルギーシステム導入に関する重点的な財政的支援を「脱炭素×復興まちづくり」推進事業として2021年度から継続して実施しており、2025年度は、設備導入補助を5件採択しました。

また、2023年3月に設立した「脱炭素×復興まちづくりプラットフォーム」では、230を超える民間企業等が参画し、各テーマに応じた個別ワーキンググループを設置し、復興まちづくりと脱炭素社会の同時実現に向けた検討を進めています。

さらに、2019年4月に福島県と共同策定した「ふくしまグリーン復興構想」を踏まえ、優れた自然環境を有する国立・国定公園の魅力向上や、自然資源、歴史や文化、景観、食、温泉等の地域資源を取り入れた国立・国定公園間を広域的に周遊する仕組みづくりなどの取組を進めてきました。また、これらにより、自然環境の保全と調和を図る適正な利用を推進し、交流人口の拡大を図ってきました。

2025年度は、同構想の見直しを進め、これまでの取組成果や課題を踏まえ第2期計画を策定し、自然公園やロングトレイルの滞在体験向上、保護地域やOECMの拡大等を通じ、自然環境の保全と自然保護意識の醸成等に継続して取り組むこととしました。