製造業・小売業等の動脈産業と廃棄物処理・リサイクル業等の静脈産業との連携を通じてこれまで培われてきた高い技術力を一層効果的に活用することで市場に新たな価値を生み出す動静脈連携は、我が国の新たな成長の鍵です。2021年に環境省、経済産業省及び一般社団法人日本経済団体連合会が立ち上げたJ4CE(循環経済パートナーシップ)、2023年に設立したCPs(サーキュラーパートナーズ)を活用し、先進的な取組事例の共有・発信、ビジネスマッチングの実施、コミュニケーションの促進等を通じて、産官学の幅広い主体の連携を促進しています。具体的には、J4CEでは立ち上げから5年を迎え、日本企業によるサーキュラーエコノミーに関する先進的な取組として、事業者間連携や自治体との連携について、これまでに233事例(2026年3月31日時点)を取りまとめて、ウェブサイトにおいて公開しました。また、既に実績のある技術やビジネスモデル、将来に向けた研究開発や連携の取組など、様々な観点から特に注目すべき事例をまとめ、3冊の注目事例集を発行いたしました。
また我が国では、石油・金属等の資源を輸入に依存する一方で、国内のリサイクル原料の多くが焼却、輸出されている現状があります。そこで現状の抱える課題を特定し、資源循環を通じた我が国の自律性・不可欠性の向上に向けた施策につなげるため、再資源化拠点等の構築・ネットワーク形成に向けた調査・検討を実施しました。
あわせて、各種リサイクル法に基づく取組を着実に進めるべく、素材・製品ごとの取組を次のとおり進めました。
事例:環境省・経済産業省・経団連による、循環経済促進に向けた対話や情報共有等の取組/J4CE創設5周年の節目の報告
環境省、経済産業省及び一般社団法人日本経済団体連合会は、循環経済の取組の加速化に向けた官民連携による「循環経済パートナーシップ(J4CE、ジェイフォース)」を2021年3月に立ち上げました。J4CEは2025年度に創設5周年を迎え、我が国の先進的な取組事例の収集と国内外への発信・共有、循環経済促進に向けたテーマ別の講演やディスカッション等の対話の場の設定、ビジネスマッチングを実施しました。
2026年2月に開催したJ4CE官民対話・ビジネス交流会において、環境省・経済産業省・経団連は創設5周年を踏まえたJ4CEの今後の方向性を発表し、今後J4CEの取組を国内外へ積極的に発信していくことを共有しました。


容器包装の3R推進に関しては、3R推進団体連絡会による「容器包装3Rのための自主行動計画2025」(2021~2025年度)に基づいて実施された「事業者が自ら実施する容器包装3Rの取組」と「市民や地方自治体など主体間の連携に資するための取組」について、フォローアップが実施されました。
2022年4月に施行したプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号。以下「プラスチック資源循環促進法」という。)は、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般にわたって、3R+Renewableの原則にのっとり、あらゆる主体のプラスチックに係る資源循環の促進等を図ることを目的としています。同法第33条に基づく市町村による再商品化計画については、2025年度に26件の認定を行い、計52件となりました。また、同法第39条に基づく製造事業者等による自主回収・再資源化事業計画については、2025年度に2件の認定を行い、計7件となりました。同法第48条に基づく排出事業者による再資源化事業計画については、2025年度に3件の認定を行い、計9件となりました。このほか、環境配慮設計の製品の製造・販売、プラスチック製品の使用の合理化、分別収集・リサイクルの取組など、各主体による取組が進展しているところです。特に、環境配慮設計の製品の製造・販売に関して、特に優れた環境配慮設計を行っているプラスチック使用製品の設計についての認定制度を設けており、清涼飲料用ペットボトル容器、文具、家庭用化粧品容器、家庭用洗浄剤容器の4つの製品分野において、2026年2月に運用を開始しました。2025年度に計42製品を認定しました。
また、自治体の取組を後押しするため、市区町村が実施するプラスチック使用製品廃棄物の分別収集・再商品化に要する経費について、昨年度に引き続き、特別交付税措置を講じたほか、事業者・自治体のプラスチック資源循環に資する取組を支援する「プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業」を実施しました。同法を円滑に施行するとともに、引き続き「プラスチック資源循環戦略」(2019年5月消費者庁・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省策定)で定めたマイルストーンの達成を目指すために必要な予算及び制度的対応を行いました。また、化石資源由来プラスチックを代替する再生可能資源への転換及びプラスチックのリサイクルに関する技術的な課題解決や廃プラスチックのリサイクル体制の整備を支援するため、「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入促進事業」及び「脱炭素型循環経済システム構築促進事業」を実施しました。また、2025年10月に、「食品分野におけるプラスチック容器包装資源循環タスクフォース」を設置し、食品用プラスチックに係る循環経済の実現に向けた業界の状況、課題について認識共有を図りつつ、再生材利用を主軸とするプラスチック資源循環に関する取組方向の議論・検討を行いました。
東日本大震災以降、分散型電源であり、かつ、安定供給が見込める循環資源や、バイオマスの熱回収や燃料化等によるエネルギー供給が果たす役割は、一層大きくなっています。
このような中で、主に民間の廃棄物処理事業者が行う地球温暖化対策を推し進めるため、2010年度の廃棄物処理法の改正により創設された、廃棄物熱回収施設設置者認定制度の普及を図るとともに、廃棄物エネルギーの有効活用による地域共生型廃棄物発電等導入促進事業を実施しました。2025年度は民間事業者に対して、6件の高効率な廃棄物熱回収施設、3件の廃棄物燃料製造施設の整備を支援しました。
未利用間伐材等の木質バイオマスの供給・利用を推進するため、木質チップ、ペレット等の製造施設やボイラー等の整備を支援しました。また、木質バイオマスのエネルギー利用を推進するために必要な調査を行うとともに、相談窓口・サポート体制の確立に向けた支援を実施しました。このほか、木質バイオマスの利用拡大に資する技術開発については、スギ材のリグニンを化学的に改質し取り出した素材(改質リグニン)の大規模製造技術実証やリサイクル及び副産物利用に係る技術の開発を支援しました。また、農山漁村におけるバイオマスを活用した産業創出を軸とした、地域づくりに向けた取組を支援しました。
2050年ネット・ゼロへの移行を実現するためには、エネルギー部門の取組が重要となり、化石燃料由来のCO2排出削減に向けた取組が必要不可欠です。特に、航空分野については、CO2排出削減に寄与する「持続可能な航空燃料(SAF)」の生産技術、ならびに原料の開発を進めました。[1]多様な原料を利用可能なSAF製造技術の開発[2]革新的なSAF等製造技術の開発[3]SAF原料の多様化また、未利用のグリーストラップ浮上油の有効利用可能な賦存量を調査するとともに、SAFの原料製造を目指した実証事業を開始しました。
下水汚泥資源については、農林水産省と国土交通省が連携して、「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を2022年に開催し、関係者の役割や取組の方向性を取りまとめました。「食料安全保障強化政策大綱」(2022年12月食料安定供給・農林水産業基盤強化本部決定)においては、2030年までに堆肥・下水汚泥資源の肥料としての使用量を倍増するという目標が掲げられています。このような背景を踏まえ、下水道管理者は今後、下水汚泥は肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととして基本的な考え方を定めました。また、2025年度には、18団体を対象とした流通確保に向けた案件形成支援事業、49処理場を対象とした下水汚泥資源の重金属・肥料成分分析支援事業を実施し、下水汚泥資源の肥料利用の大幅な拡大に取り組みました。
また、下水汚泥資源についてはエネルギー利用も推進しており、2024年度末時点における下水処理場でのバイオガス発電施設は146施設となっています。さらに、下水処理場に生ごみや刈草等の地域のバイオマスを集約することによる、効率的な資源・エネルギー回収の推進も行っており、具体的な案件形成のための地方公共団体へのアドバイザー派遣事業等を2025年度に2件行いました。
食品廃棄物については、食品リサイクル法に基づく食品廃棄物等の発生抑制の目標値を設定し、その発生の抑制に取り組んでいます。また、国全体の食品ロスの発生量について推計を実施し、2023年度における国全体の食品ロス発生量の推計値(約464万トン)を2025年6月に公表しました。
食品リサイクルに関しては、食品リサイクル法の再生利用事業計画(食品関連事業者から排出される食品循環資源を用いて製造された肥料・飼料等を利用して作られた農畜水産物を食品関連事業者が利用する仕組み。)を通じて、食品循環資源の再生利用の取組を促進しました。
廃棄物の適正処理及び資源の有効利用の確保を図ることが求められている中、小型電子機器等が使用済みとなった場合には、鉄やアルミニウム等の一部の金属を除く金や銅等の金属は、大部分が廃棄物としてリサイクルされずに市町村により埋立処分されていました。こうした背景を踏まえ、小型家電リサイクル法が2013年4月から施行されました。
2024年度に小型家電リサイクル法の下で処理された使用済小型電子機器等は、約8万5,000トンでした。また、約800トンの使用済小型電子機器等が再使用され、再資源化された金属の重量は約4万4,000トンでした。再資源化された金属を種類別に見ると、鉄が約3万7,000トン、アルミが約4,000トン、銅が約2,400トン、金が約250kg、銀が約3,100kgでした。
さらに、使用済製品に含まれるベースメタルやレアメタル等の有用金属の回収技術を高度化するため、リチウムイオン電池からのリチウム等の回収に関する実証事業を行うなど、リサイクル技術開発支援を実施しました。
広域認定制度の適切な運用を図り、情報処理機器や各種電池等の製造事業者等が行う高度な再生処理によって、有用金属の分別回収を推進しました。
長期にわたって使用可能な質の高い住宅ストックを形成するため、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)に基づき、長期優良住宅の建築・維持保全に関する計画を所管行政庁が認定する制度を運用しています。この認定を受けた住宅については、税制上の特例措置を実施しています。なお、制度の運用開始以来、累計で約174万戸(2025年3月末時点)が認定されており、新築住宅着工戸数に占める新築認定戸数の割合は約18%(2024年度実績)となっています。
家電については、特定家庭用機器廃棄物の適正回収の強化を目指し、「小売業者の引取義務外品の回収体制構築に向けたガイドライン」(平成27年3月)の見直し等を検討するため、関係者・有識者から助言を得るための検討会を設置しました。検討会では、自治体における回収体制の現状・課題等を整理するとともに、その結果等を踏まえたガイドラインの改定方針を取りまとめました。また、2026年2月に中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合を開催し、直近の家電リサイクル法の施行状況・活動内容を報告し、今後の見直し検討会に向けた課題と認識の共有を行いました。
自動車について、使用済自動車の解体・破砕段階におけるプラスチックやガラスの資源回収を強化するため、2026年4月から使用済自動車に係る資源回収インセンティブ制度を開始することとしており、参画する意思のある事業者等が制度に対する理解を深め、取組を円滑に進めることができるようにするため、環境省及び経済産業省は2025年3月にガイドラインを策定するなど、制度開始に向けて準備を行いました。
そして、2025年9月から中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合において、自動車リサイクル法施行20年目の評価・検討を開始し、[1]自動車リサイクル制度の安定化・効率化、[2]国内資源循環の推進、[3]変化への対応と発展的要素の三つの基本的な方向性に沿って議論を進めています。
また、我が国の自動車向け再生プラスチックの市場構築を実現するため、2024年11月、環境省は、経済産業省と連携し、産官学からなる「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム」を立ち上げました。産官学コンソーシアムでは、これまで連携が十分でなかった自動車製造業から資源循環産業までのサプライチェーンを横断する業界団体が一堂に会し、有識者の参画を得て、自動車向けの再生プラスチック市場構築を通じた我が国の関連産業の目指す姿や、動静脈連携に基づく取組(設備投資や実証事業)の必要性、そして、その実現に向けた国の支援策等について議論し、2026年3月末には「産業競争力のある再生プラスチック市場構築に向けたロードマップ」を取りまとめました。
小型家電については、2025年2月から2026年3月にかけて、中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合を開催し、小型家電リサイクル法の基本方針に定める回収量目標未達の原因分析や論点整理の検討を行いました。また、GIGAスクール構想に基づき全国の小中学校に一体的に配備された情報端末が、今後更新を迎え一斉に廃棄されることに備え、小型家電リサイクル制度等に基づく適正な処理・リサイクルを推進するため、全国の市区町村及び教育委員会向けに説明会や個別コンサルティングを実施しました。
第1部第4章第1節5(1)を参照。また、2026年1月に、中央環境審議会循環型社会部会太陽光発電設備リサイクル制度小委員会と産業構造審議会イノベーション・環境分科会資源循環経済小委員会太陽光発電設備リサイクルワーキンググループの合同会議を開催し、新たな法制度案の検討状況について報告しました。
繊維製品のうち衣類については、「大量生産・大量消費・大量廃棄」によって製造時の資源やエネルギー使用の増加、ライフサイクルの短命化等から環境負荷が非常に大きいとも指摘されるようになり、EUを始め、我が国・企業においても、環境対策の動きが進んでいます。
我が国においては、経済産業省と環境省で2023年1月に「繊維製品における資源循環システム検討会」を立ち上げ、「回収」「分別・再生」「設計・製造」「販売」の4つのフェーズにおける、繊維製品の資源循環システムの構築に向けた課題の整理と取組の方向性を検討し、同年9月に報告書を取りまとめました。これを受け、経済産業省では、産業構造審議会繊維産業小委員会において取り組むべき具体的な政策について議論を行い、2024年6月に、「繊維産業におけるサステナビリティ推進等に関する議論の中間とりまとめ」、「繊維製品における資源循環ロードマップ」を公表・策定しました。また、2024年3月には「繊維製品の環境配慮設計ガイドライン」、同年6月に「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」をそれぞれ策定し、ガイドラインの普及に向けた取組を推進しています。2026年3月には、環境省は、本ロードマップで掲げた取組を更に推進するための方向性を取りまとめた「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を策定・公表しました。また、2026年1月には、消費者庁、経済産業省及び環境省による「サステナブルファッションの推進に向けた関係省庁連携会議」を開催し、今後連携する取組について確認しました。さらに、経済産業省・環境省では、企業と家庭から排出される衣類の量も含めた各種ロードマップの進捗の把握、リサイクル技術等の開発、グリーン購入法の調達基準の改定等に取り組むとともに、環境省では、使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業の実施等の取組を、経済産業省では、情報流通PF構築の検討や、標準化等の取組を進めています。