不法投棄等の未然防止・拡大防止対策としては、不法投棄等に関する情報を国民から直接受け付ける不法投棄ホットラインを運用するとともに、産業廃棄物の実務や関係法令等に精通した専門家を不法投棄等の現場へ派遣し、不法投棄等に関与した者の究明や責任追及方法、支障除去の手法の検討等の助言等を行うことにより、都道府県等の取組を支援しました。さらに、国と都道府県等とが連携して、不法投棄等の撲滅に向けた普及啓発活動、新規及び継続の不法投棄等の監視等の取組を実施しています。2022年度は、全国で6,489件の普及啓発活動や監視活動等が実施されました。
不法投棄等の残存事案対策として、1997年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成9年法律第85号。以下「廃棄物処理法平成9年改正法」という。)の施行(1998年6月)前の産業廃棄物の不法投棄等については、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号)に基づき、2022年度は9事案の支障除去等事業に対する財政支援を行いました。そのほかにも廃棄物処理法平成9年改正法の施行以降の産業廃棄物の不法投棄等の支障除去等については、廃棄物処理法に基づく基金からの財政支援を実施しています。2020年度に本基金の点検・評価を行い、2021年度以降の支援の在り方について見直しを行いました。
2021年7月1日からの大雨により、静岡県熱海市の土石流災害を始め、全国各地において土砂災害や浸水被害が発生し、大きな被害をもたらしたことを受け、政府として、盛土による災害の防止に全力で取り組んでいくこととなりました。環境省では、盛土の総点検により確認された危険が想定され、産業廃棄物の不法投棄等の可能性がある盛土について、都道府県等が行う調査及び支障除去等事業を支援する仕組みを作りました。
一般廃棄物の適正処理については、当該処理業が専ら自由競争に委ねられるべき性格のものではなく、継続性と安定性の確保が考慮されるべきとの最高裁判所判決(2014年1月)や、市町村が処理委託した一般廃棄物に関する不適正処理事案の状況を踏まえ、2014年10月8日に通知を発出し、市町村の統括的責任の所在、市町村が策定する一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物処理法の適正な運用について、周知徹底を図っています。
2018年12月には大量のエアゾール製品の内容物が屋内で噴射され、これに引火したことが原因とみられる爆発火災事故が発生したことから、環境省としては、廃エアゾール製品等の充填物の使い切り及び適切な出し切りが重要であると考え、「廃エアゾール製品等の排出時の事故防止について(通知)」(平成30年12月27日付け)にて、製品を最後まで使い切る、缶を振って音を確認するなどにより充填物が残っていないか確認する、火気のない風通しの良い屋外でガス抜きキャップを使用して充填物を出し切るといった適切な取扱いが必要であることなど、廃エアゾール製品等の充填物の使い切り及び適切な出し切り方法について、周知を徹底しています。また、2023年1月にも同様のエアゾール製品が原因とみられる爆発事故が発生したことから、「廃エアゾール製品等の排出時等の事故防止のための周知徹底について(事務連絡)」(令和5年1月19日付け)を発出し、改めて周知を図ったところです。
また、リチウム蓄電池及びリチウム蓄電池を使用した製品(以下「リチウム蓄電池等」という。)が、地方公共団体が定める適切な分別区分で廃棄されず、廃棄物の収集・運搬又は処分の過程において、火災が発生しています。
環境省ではこれまで、地方公共団体の分別区分を見直すことなどによる効果的な回収体制の構築等を支援するモデル事業を実施し、2021年度に4件を採択したほか、廃棄物となったリチウム蓄電池の排出方法に関して普及啓発を実施してきました。そこで得られた成果等については、「リチウム蓄電池等処理困難物対策集」にまとめて公表(2024年4月に最新版を公表)し、地方公共団体間での好事例の横展開を図っています。また、廃棄物処理法に基づく広域認定制度を活用し、製造事業者等による処理体制の構築を支援してきました。2023年度は、地方公共団体などから要望の多い普及啓発の部分を強化していくために、啓発用ツールを作成し、地方公共団体に配付しました。具体的には、著名人を起用した動画を作成したほか、キャラクターコンクールを実施して、一般の方からキャラクターを公募し、選定したキャラクターを採用したポスターを作成しました。また、ライフサイクル全体での対策を重視する観点から、製造事業者などと連携したモデル事業を実施しました。具体的には、Jリーグのクラブやリチウム蓄電池の製造事業者と連携して、市民向けのモバイルバッテリー回収キャンペーンなどを実施し、製造事業者等による回収の推進に取り組んでいます。
「第四次循環基本計画」において、電子マニフェストの普及率を2022年度において70%とすることを目標に掲げています。この目標を達成するために、2020年12月に策定した「オンライン利用率引上げの基本計画」に基づいて、電子マニフェストシステム未加入の事業者に対する導入実務説明会及び操作体験セミナーの開催等の施策を推進した結果、2021年末に電子マニフェストの普及率が70%を超え、前倒しで目標を達成しました。
また、廃棄物の不適正処理事案の発生や雑品スクラップの保管等による生活環境保全上の支障の発生等を受け、廃棄物の不適正処理への対応の強化(許可を取り消された者等に対する措置の強化、マニフェスト制度の強化)、有害使用済機器の適正な保管等の義務付け等を盛り込んだ廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第61号)が、第193回国会において成立し、2018年4月から一部施行されました。
家庭等の廃棄物を不用品として無許可で回収し、不適正処理・輸出等を行う違法な回収業者、輸出業者等の対策として、地方公共団体職員の知見向上のため、「自治体職員のための違法な廃棄物回収業者対策セミナー」を全国2か所で開催しました。
海洋ごみ対策については、第4章第6節1を参照。
使用済FRP(繊維強化プラスチック)船のリサイクルが適切に進むよう、地方ブロックごとに行っている地方運輸局、地方整備局、都道府県等の情報・意見交換会の場を通じて、一般社団法人日本マリン事業協会が運用している「FRP船リサイクルシステム」の周知・啓発を図りました。
一般廃棄物の最終処分に関しては、ごみのリサイクルや減量化を推進した上でなお残る廃棄物を適切に処分するため、最終処分場の設置又は改造、既埋立物の減容化等による一般廃棄物の最終処分場の整備を、引き続き循環型社会形成推進交付金の交付対象事業としました。また、産業廃棄物の最終処分に関しても、課題対応型産業廃棄物処理施設運用支援事業の補助制度により、2023年度までに、廃棄物処理センター等が管理型最終処分場を整備する6事業に対して支援することで、公共関与型産業廃棄物処理施設の整備を促進し、産業廃棄物の適正な処理の確保を図りました。
同時に海面処分場に関しては、港湾整備により発生する浚渫(しゅんせつ)土砂や内陸部での最終処分場の確保が困難な廃棄物を受け入れるために、事業の優先順位を踏まえ、東京港等で海面処分場を計画的に整備しました。また、「海面最終処分場の廃止に関する基本的な考え方」及び「海面最終処分場の廃止と跡地利用に関する技術情報集」を取りまとめました。
陸上で発生する廃棄物及び船舶等から発生する廃油については、海洋投入処分が原則禁止されていることを踏まえ、海洋投入処分量の削減を図るとともに、廃油処理事業を行おうとする者に対し、廃油処理事業の事業計画及び当該事業者の事業遂行能力等について、適正な審査を実施し、適切に廃油を受け入れる施設を確保しました。「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書」を担保する海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)(昭和45年法律第136号)において、廃棄物の海洋投入処分を原則禁止とし、2007年4月に廃棄物の海洋投入処分に係る許可制度を導入しました。当該許可制度の適切な運用により、海洋投入処分量が最小限となるよう、その抑制に取り組みました。
廃棄物のうち爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものを特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物(以下「特別管理廃棄物」という。)として指定しています。事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を設置する必要があり、特別管理廃棄物の処理に当たっては、特別管理廃棄物の種類に応じた特別な処理基準を設けることなどにより、適正な処理を確保しています。また、その処理を委託する場合は、特別管理廃棄物の処理業の許可を有する業者に委託する必要があります。
これまでに、表3-5-1に示すものを特別管理廃棄物として指定しています。
石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律(平成18年法律第5号)が2007年4月に完全施行され、石綿(アスベスト)含有廃棄物の安全かつ迅速な処理を国が進めていくため、溶融等の高度な技術により無害化処理を行う者について環境大臣が認定した場合、都道府県知事等による産業廃棄物処理業や施設設置の許可を不要とする制度(無害化処理認定制度)がスタートしています。2024年3月時点で2事業者が認定を受けています。また、2010年の廃棄物処理法施行令の改正により、特別管理産業廃棄物である廃石綿等の埋立処分基準が強化されています。2021年3月には前年の大気汚染防止法等の改正に伴って、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」を改定しています。
石綿を含む家庭用品が廃棄物となったものについては、他のごみと区別して排出し、破損しないよう回収するとともにできるだけ破砕せず、散水や速やかな覆土により最終処分するよう、また、保管する際は他の廃棄物と区別するよう、市町村に対して要請しています。
永続的な措置として、石綿含有家庭用品が廃棄物となった場合の処理についての技術的指針を定め、市町村に示し、適正な処理が行われるよう要請しています。
2016年4月から施行されていた廃水銀等の特別管理産業廃棄物への指定やその収集・運搬基準に加え、2017年10月に完全施行された廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成27年政令第376号)及び関係省令等により廃水銀等及び当該廃水銀等を処分するために処理したものの処分基準並びに廃水銀等の硫化施設の産業廃棄物処理施設への指定等について規定されています。また、排出事業者により水銀使用製品であるか判別可能なものを水銀使用製品産業廃棄物、水銀又はその化合物を一定程度含む汚染物を水銀含有ばいじん等とそれぞれ定義し、これまでの産業廃棄物の処理基準に加え、新たに水銀等の大気への飛散防止等の措置を規定するなど処理基準が強化されています。さらに、これらの基準について具体的に解説するための「水銀廃棄物ガイドライン」を策定しています。国際的にも、水銀廃棄物の環境上適正な管理に関する議論が進められており、2019年5月には水俣条約締約国会議の決議に基づく専門家会合を我が国で開催するなどし、これに貢献しました。
また、退蔵されている水銀血圧計・温度計等の回収を促進するため、2016年度に改訂した「医療機関に退蔵されている水銀血圧計等回収マニュアル」や2017年度に作成した「教育機関等に退蔵されている水銀使用製品回収事業事例集」を参考に、医療関係団体や教育機関、地方公共団体等と連携し、回収促進事業を実施しています。
市町村等により一般廃棄物として分別回収された水銀使用製品から回収した廃水銀については、特別管理一般廃棄物となります。
市町村等において、使用済の蛍光灯や水銀体温計、水銀血圧計等の水銀使用製品が廃棄物となった際の分別収集の徹底・拡大を行うため、「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」及び分別収集についての先進事例集を作成し、普及啓発を行ってきました。また、家庭で退蔵されている水銀体温計等の回収について、「市町村等における水銀使用廃製品の回収事例集(第2版)」を公表しました。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成28年法律第34号。以下、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法を「PCB特別措置法」という。)が2016年8月に施行され、PCB廃棄物の濃度、保管の場所がある区域及び種類に応じた処分期間が設定されました。これにより、PCB廃棄物の保管事業者は、処分期間内に全てのPCB廃棄物を処分委託しなければなりません。PCB特別措置法で定める、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」に基づき、政府一丸となってPCB廃棄物の期限内処理に向けて取り組んでいます。
環境省は都道府県と協調し、費用負担能力の小さい中小企業者等による高濃度PCB廃棄物の処理を円滑に進めるための助成等を行う基金「PCB廃棄物処理基金」を造成しています。
高濃度PCB廃棄物は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の全国5か所(北九州、豊田、東京、大阪、北海道(室蘭))のPCB処理事業所において処理する体制を整備し、各地元関係者の理解と協力の下、その処理が進められています。
処理事業が終了した施設から順次解体・撤去を進めています。
低濃度PCB廃棄物は、民間事業者(環境大臣認定の無害化認定業者又は都道府県許可の特別管理産業廃棄物処理業者(2024年3月末時点でそれぞれ31事業者及び2事業者))によって処理が進められています。
低濃度PCB廃棄物の処理が更に合理的に進むよう、処理体制の充実・多様化を図っていきます。
ダイオキシン類は、物の燃焼の過程等で自然に生成する物質(副生成物)であり、ダイオキシン類の約200種のうち、29種類に毒性があるとみなされています。ダイオキシン類の主な発生源は、ごみ焼却による燃焼です。廃棄物処理におけるダイオキシン問題については、1997年1月に厚生省(当時)が取りまとめた「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」や、1997年8月の廃棄物処理法施行令及び同法施行規則の改正等に基づき、対策が取られてきました。環境庁(当時)でも、ダイオキシン類を大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)の指定物質として指定しました。さらに、1999年3月に策定された「ダイオキシン対策推進基本指針」及び1999年に成立したダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「ダイオキシン法」という。)の二つの枠組みにより、ダイオキシン類対策が進められました。2022年におけるダイオキシン類の排出総量は、削減目標量(2011年以降の当面の間において達成すべき目標量)を下回っています(表3-5-2)。
[Excel]
2022年の廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量は、1997年から約99%減少しました。この結果については、規制強化や基準適合施設の整備に係る支援措置等によって、排出基準やその他の構造・維持管理基準に対応できない焼却施設の中には、休・廃止する施設が多数あったこと、また基準に適合した施設の新設整備が進められていること(廃棄物処理体制の広域化、廃棄物処理施設の集約化を含む。)が背景にあったものと考えられます。
感染性廃棄物については、2020年1月以降の国内における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の適正処理のための対策とそれ以外の廃棄物も含めた処理体制の維持に係る対策を講じました。具体的には、法令に基づく基準や関係マニュアル等について、地方公共団体、廃棄物処理業界団体、医療関係団体等に改めて周知するとともに、感染防止策や留意事項についてのQ&Aやチラシ、動画の作成・周知や、感染拡大状況下における特例措置の制定、さらにはそれらの内容を取りまとめた「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」の策定・周知を行いました。また、廃棄物処理に必要な防護具が不足しないよう廃棄物処理業者等への防護具の斡旋等の処理体制維持に係る取組も行いました。2021年4月には、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種に伴い排出される廃棄物の処理に関する留意事項を取りまとめて通知を発出しました。また、新型コロナウイルス感染症への対応で得られた知見を基に「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」を2022年6月に改訂し、2023年5月には、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが新型インフルエンザ等感染症から5類感染症に変更されたことに伴い改訂しました。
残留性有機汚染物質(POPs)を含む廃棄物については、国際的動向に対応し、適切な処理方策について検討を進めてきました。2009年8月にPOPs廃農薬の処理に関する技術的留意事項を改訂、2011年3月にペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項を改訂し、2022年9月にPFOS及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項を策定し、その周知を行ってきました。その他のPOPsを含む廃棄物については、POPsを含む製品等の国内での使用状況に関する調査や分解実証試験等を実施し、その適正処理方策を検討するとともに、POPsの物性情報や分析方法開発等に係る研究を推進しています。また、2016年からは、POPsを含む廃棄物の廃棄物処理法への制度的位置付けについて検討を行っています。
また、廃棄物に含まれる有害物質等の情報の伝達に係る制度化についても検討を行っています。
さらに、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)に基づき、原子炉等から排出されるもののうち、放射線防護の安全上問題がないクリアランスレベル以下の廃棄物については、トレーサビリティの確保に努めています。
安全・安心がしっかりと確保された循環型社会を形成するため、有害物質を含むものについては、適正な管理・処理が確保されるよう、その体制の充実を図る必要があります。
石綿に関しては、その適正な処理体制を確保するため、廃棄物処理法に基づき、引き続き石綿含有廃棄物の無害化処理認定に係る事業者からの相談等に対応しました。
高濃度PCB廃棄物については、JESCO全国5か所のPCB処理事業所にて各地元関係者の理解と協力の下、処理が進められています。また、低濃度PCB廃棄物については、廃棄物処理法に基づき、無害化処理認定を受けている事業者及び都道府県知事の許可を受けている事業者により処理が進められています。
埋設農薬に関しては、計画的かつ着実に処理するため、農薬が埋設されている県における、処理計画の策定等や環境調査に対する支援を引き続き実施しました。
海洋ごみについては、第4章第6節1を参照。
生活環境保全上の支障等のある廃棄物の不法投棄等については、第3章第5節1(1)を参照。
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)では、除染の対象として、国が除染の計画を策定し、除染事業を進める地域として指定された除染特別地域と、1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村を対象に関係市町村等の意見も踏まえて指定された汚染状況重点調査地域を定めています。
国が除染を実施する除染特別地域では、2012年4月までに環境省が福島県田村市、楢葉町、川内村、南相馬市において除染実施計画を策定し、同年7月から田村市、楢葉町、川内村で本格的な除染(以下「面的除染」という。)を開始しました。他の除染特別地域の市町村においても除染実施計画策定後、順次、面的除染を開始し、2017年3月末までに11市町村で避難指示解除準備区域及び居住制限区域の面的除染が完了しました。また、2022年3月31日には田村市において除染特別地域の指定を解除しました。
市町村が除染を実施する汚染状況重点調査地域では、2018年3月末までに8県100市町村の全てで面的除染が完了しました。
また、汚染状況重点調査地域では、2024年3月末までに、地域の放射線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト未満となったことが確認された39市町村において、汚染状況重点調査地域の指定が解除されました(図3-5-1)。
面的除染完了後には、除染の効果が維持されているかを確認するため、詳細な事後モニタリングを実施し、除染の効果が維持されていない箇所が確認された場合には、個々の現場の状況に応じて原因を可能な限り把握し、合理性や実施可能性を判断した上で、フォローアップ除染を実施しています。
森林については、2016年3月に復興庁・農林水産省・環境省の3省庁が取りまとめた「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」に基づき、住居等の近隣の森林、森林内の人々の憩いの場や日常的に人が立ち入る場所等の除染等の取組と共に、林業再生に向けた取組や住民の方々の安全・安心の確保のための取組等を関係省庁が連携して進めてきました。
除染を含めた里山再生のための取組を総合的に推進するモデル事業を14地区で実施し、その結果を踏まえて2020年度以降は「里山再生事業」を実施、2024年3月までに13地区を事業実施地区として選定しました。
除染で取り除いた福島県内の土壌(除去土壌)等は、一時的な保管場所(仮置場等)で管理し、順次、中間貯蔵施設及び仮設焼却施設等への搬出を行っており、2024年2月時点で、総数1,372か所に対し、約99%に当たる1,357か所で搬出が完了しています。除去土壌等の搬出が完了した仮置場等については原状回復を進めており、2024年2月時点で、総数の約87%に当たる1,199か所で完了しています(表3-5-3)。
[Excel]
福島県外の除去土壌については、その処分方法を定めるため、有識者による「除去土壌の処分に関する検討チーム会合」を開催し、専門的見地から議論を進めるとともに、除去土壌の埋立処分に伴う作業員や周辺環境への影響等を確認することを目的とした実証事業を、2023年度も茨城県東海村及び宮城県丸森町の2か所で実施しました。周辺環境の安全を確認するため敷地境界の空間線量率等を測定したところ、除去土壌の埋立前後で大きな変化がないことを確認しました。また、地下水を経由した被ばくが懸念されることから浸透水中の放射能濃度を測定したところ、全ての検体で検出下限値未満でした。
放射性物質汚染対処特措法等に基づき、福島県内の除染に伴い発生した放射性物質を含む土壌等及び福島県内に保管されている10万ベクレル/kgを超える指定廃棄物等を最終処分するまでの間、安全に集中的に管理・保管する施設として中間貯蔵施設を整備することとしています。
中間貯蔵施設事業は、「令和5年度の中間貯蔵施設事業の方針」(2023年3月公表)に基づき、取組を実施してきました。本方針は、安全を第一に、地域の理解を得ながら事業を実施することを総論として、
[1]特定復興再生拠点区域等で発生した除去土壌等の搬入を進める
[2]施設整備の進捗状況、除去土壌等の発生状況に応じて、必要な用地取得を行う
[3]中間貯蔵施設内の各施設について安全に稼働させるとともに、土壌貯蔵が終了した土壌貯蔵施設の維持管理を着実に行う
[4]再生利用についての技術開発、再生利用先の具体化、減容・再生利用の必要性・安全性等に関する理解醸成活動を全国に向けて推進し、また、減容処理・安定化技術の更なる開発・検証を行うなど、県外最終処分に向けた検討を進めるなどを定めており、あわせて、当面の施設整備イメージ図(図3-5-2)を公表しています。
中間貯蔵施設整備に必要な用地は約1,600haを予定しており、2024年3月末までの契約済み面積は約1,301ha(全体の約81.3%。民有地については、全体約1,270haに対し、約95.0%に当たる約1,207ha)、1,883人(全体2,360人に対し約79.8%)の方と契約に至っています。政府では、用地取得については、地権者との信頼関係はもとより、中間貯蔵施設事業への理解が何よりも重要であると考えており、地権者への丁寧な説明を尽くしながら取り組んでいます。
2016年11月から受入・分別施設(図3-5-3、写真3-5-1)や土壌貯蔵施設(図3-5-4、写真3-5-2)等の整備を進めています。受入・分別施設では、福島県内各地にある仮置場等から中間貯蔵施設に搬入される除去土壌を受け入れ、容器の破袋、可燃物・不燃物等の分別作業を行います。土壌貯蔵施設では、受入・分別施設で分別された土壌を放射能濃度やその他の特性に応じて安全に貯蔵します。
中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送については、各地元関係者の理解と協力のもと、2022年3月末をもって福島県内に仮置きされている除去土壌等(帰還困難区域を除く)をおおむね搬入完了するという目標を達成し、引き続き、特定復興再生拠点区域や特定帰還居住区域で発生した除去土壌等の搬入を進めています。
2024年3月末までの累計搬入量は約1,376万m3であり、より安全で円滑な輸送のため、運転者研修等の交通安全対策や必要な道路補修等に加えて、輸送出発時間の調整など特定の時期・時間帯への車両の集中防止・平準化を実施しました。
除去土壌等の最終処分については、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成15年法律第44号)において、中間貯蔵に関する国の責務として、福島県内除去土壌等の中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることが規定されています。県外最終処分の実現に向けては、2016年4月に取りまとめた「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」及び「工程表」に沿って取組を進めています。
減容等技術の開発に関しては、2023年度も福島県大熊町の中間貯蔵施設内に整備している技術実証フィールドにおいて、中間貯蔵施設内の除去土壌等も活用した技術実証を行いました。また、2023年度は福島県双葉町の中間貯蔵施設内において、2022年度に引き続き、仮設灰処理施設で生じる飛灰の洗浄技術・安定化技術に係る基盤技術の実証試験を実施しています。
除去土壌の再生利用については、福島県飯舘村長泥地区における実証事業として、水田試験等を実施し、栽培した作物の放射能濃度は一般食品の基準値を大きく下回ることを確認するとともに、水田等に求められる機能をおおむね満たすことなどを確認しました。これまでに実証事業で得られたモニタリング結果からは、施工前後の空間線量率に変化がないこと、農地造成エリアからの浸透水の放射性セシウム濃度はおおむね検出下限値(1ベクレル/ℓ)未満であることなどの知見が得られています。また、道路整備での再生利用について検討するため、2022年10月に着工した中間貯蔵施設内における道路盛土の実証事業については、2023年10月に工事を完了しました。モニタリング結果からは、施工前後の空間線量率に変化がないこと、作業者の追加被ばく線量が1ミリシーベルト/年以下であることなどの知見が得られています。こうした知見から、再生利用を安全に実施できることを確認しています。
福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向け、減容・再生利用の必要性・安全性等に関する全国での理解醸成活動の取組の一つとして、2021年度から全国各地で開催してきた対話フォーラムについて、第9回を東京都内で開催しました。さらに、一般の方向けに飯舘村長泥地区や中間貯蔵施設の現地見学会を開催したほか、大学生等への環境再生事業に関する講義、現地見学会等を実施するなど、次世代に対する理解醸成活動も実施しました。
加えて、中間貯蔵施設に搬入して分別した除去土壌の表面を土で覆い、観葉植物を植えた鉢植えを、2020年3月以降、総理官邸、環境大臣室、新宿御苑、地方環境事務所等の環境省関連施設や関係省庁等に設置しています。鉢植え設置以降1週間~1か月に1回実施している放射線のモニタリングでは、空間線量率に変化は見られませんでした。
放射性物質汚染対処特措法では、対策地域内廃棄物及び指定廃棄物を特定廃棄物として国の責任のもと、適切な方法で処理することとなっています。
対策地域内廃棄物は、汚染廃棄物対策地域(国が廃棄物の収集・運搬・保管及び処分を実施する必要があるとして環境大臣が指定した地域)内で発生した廃棄物を指します(避難指示解除後の事業活動等に伴う廃棄物を除く)。現在、福島県の10市町村にまたがる地域(楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の全域並びに南相馬市、川俣町及び川内村の区域のうち当時警戒区域及び計画的避難区域であった区域。除染特別地域と同じ。)が汚染廃棄物対策地域として指定されています(田村市については、2022年3月31日に地域指定を解除)。
指定廃棄物は、放射能濃度が8,000ベクレル/kgを超え、環境大臣が指定したものです。指定廃棄物は、2023年12月末時点で、10都県において、焼却灰や下水汚泥、農林業系廃棄物(稲わら、堆肥等)等の廃棄物計約45万トンが環境大臣による指定を受けています(表3-5-4)。指定廃棄物の処理は、放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針(2011年11月閣議決定)において、当該指定廃棄物が排出された都道府県内において行うこととされています。
[Excel]
なお、8,000ベクレル/kg以下に減衰した指定廃棄物については、放射性物質汚染対処特措法施行規則第14条の2の規定に基づき、当該廃棄物の指定の取消しが可能です。また、指定取消後の廃棄物の処理について、国は技術的支援のほか、指定取消後の廃棄物の処理に必要な経費を補助する財政的支援を行うこととしています。
対策地域内廃棄物及び福島県内の指定廃棄物については、可能な限り減容化し、放射能濃度が10万ベクレル/kg以下のものは双葉地方広域市町村圏組合が所有する管理型処分場(クリーンセンターふたば)や特定廃棄物埋立処分施設(旧フクシマエコテッククリーンセンター)(写真3-5-3)において埋立処分し、10万ベクレル/kgを超えるものは中間貯蔵施設において中間貯蔵することとしています。
2023年10月末時点で、特定廃棄物埋立処分施設(旧フクシマエコテッククリーンセンター)への特定廃棄物の埋立処分を完了しました。
対策地域内廃棄物として、主に津波がれき、家屋等の解体によるもの、片付けごみがあります。2023年2月末時点で、帰還困難区域を除く対策地域内廃棄物の仮置場への搬入、中間処理、最終処分はおおむね完了しています。
仮置場への搬入については、2024年2月末時点で帰還困難区域を含め約343万トンの対策地域内廃棄物等の搬入を完了しています(うち、約59万トンが焼却処理済み、約237万トンが再生利用済み)(図3-5-5)。
仮置場に搬入した帰還困難区域を含む対策地域内廃棄物等のうち可燃物については、各市町村に設置した仮設焼却施設等で減容化を行っており、2024年2月末時点で12施設のうち8施設で減容化処理を完了しています(表3-5-5)。なお、事業を実施している仮設焼却施設においては、排ガス中の放射能濃度、敷地内・敷地周辺における空間線量率のモニタリングを行って安全に減容化できていることを確認し、その結果を公表しています。
[Excel]
また、可燃性の指定廃棄物のうち、2021年12月末時点で指定廃棄物として指定されている農林業系廃棄物や下水汚泥については、広域処理により2021年2月に減容化処理を完了しました。
2018年8月に開館した特定廃棄物埋立情報館「リプルンふくしま」では、2024年3月末日までに約8万人の来館者を迎えました。同情報館を拠点として情報発信に努め、引き続き、安心・安全の確保に万全を期して事業を進めていきます。
環境省では、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県及び群馬県において、有識者会議を開催し、長期管理施設の安全性を適切に確保するための対策や候補地の選定手順等について、科学的・技術的な観点からの検討を実施し、2013年10月に長期管理施設の候補地を各県で選定するためのベースとなる案を取りまとめました。その後、それぞれの県における市町村長会議の開催を通じて長期管理施設の安全性や候補地の選定手法等に関する共通理解の醸成に努めた結果、宮城県、栃木県及び千葉県においては、各県の実情を反映した選定手法が確定しました。
これらの選定手法に基づき、環境省は、宮城県においては2014年1月に3か所、栃木県においては同年7月に1か所、千葉県においては2015年4月に1か所、詳細調査の候補地を公表しました。詳細調査候補地の公表後には、それぞれの県において、地元の理解を得られるよう取り組んでいるところですが、いずれの県においても詳細調査の実施には至っておりません。
その一方で、各県ごとの課題に応じた段階的な対応も進めています。
宮城県においては、県の主導の下、各市町が8,000ベクレル/kg以下の汚染廃棄物の処理に取り組むこととしたことを受け、環境省はこれを財政的・技術的に支援しています。2023年3月末時点で、黒川圏域では汚染廃棄物の処理が終了し、石巻圏域では焼却が終了しました。また、大崎圏域、仙南圏域では本焼却を実施中です。
栃木県においては、指定廃棄物を保管する農家の負担軽減を図るため、2018年11月、指定廃棄物を一時保管している農家が所在する市町の首長が集まる会議を開催し、国から栃木県及び保管市町に対し、市町単位での暫定的な減容化・集約化の方針を提案し合意が得られました。2020年6月には、暫定保管場所の選定の考え方を取りまとめ、可能な限り速やかに暫定保管場所の選定が行われるよう、県や各市町と連携して取り組むことを確認しました。また、2021年6月には環境省から那須塩原市に対して、農業系指定廃棄物の暫定集約に加え、8,000ベクレル/kg以下となったものについて指定解除を経て処分することなどの協力を要請しました。この方針等に沿って、那須塩原市において2021年10月から2023年3月にかけて、環境省では市内53の保管農家の敷地から暫定集約場所へ指定廃棄物を搬出し、那須塩原市では8,000ベクレル/kg以下となったものについては指定解除を経て、他の一般廃棄物と混焼し処分するなどの取組が行われました。また、日光市及び大田原市では方針に基づき農業系指定廃棄物を暫定保管場所へ集約する作業が完了するなど、関係市町において取組が進められています。
千葉県においては、2016年7月に全国で初めて8,000ベクレル/kg以下に減衰した指定廃棄物の指定を取り消しました。引き続き、課題解決に向け関係自治体と調整しながら指定廃棄物の処理を進めてまいります。
茨城県においては2016年2月、群馬県においては同年12月に、「現地保管継続・段階的処理」の方針を決定しました。この方針を踏まえ、必要に応じた保管場所の補修や強化等を実施しつつ、8,000ベクレル/kg以下となったものについては、段階的に既存の処分場等で処理することを目指しています。
帰還困難区域については、2017年5月に改正された福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)に基づき、各町村の特定復興再生拠点区域復興再生計画に沿って、特定復興再生拠点区域における除染・家屋等の解体を進めてきました。
2021年8月31日に、原子力災害対策本部・復興推進会議において「特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方」を決定し、2020年代をかけて、帰還意向のある住民が帰還できるよう、帰還に関する意向を個別に丁寧に把握した上で、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除の取組を進めていくこととされました。この方針を実現するため、2023年6月に福島特措法を改正し、避難指示解除による住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指す「特定帰還居住区域」を設定できる制度が創設されました。
また、帰還される住民の方々の安心・安全を確保するため、2013年度から帰還困難区域等において、イノシシ等の生息状況調査及び捕獲を実施しています。2023年度は、5町村(福島県富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村)でイノシシ(579頭)、アライグマ(277頭)、ハクビシン(53頭)の総数909頭が捕獲されました。
特定復興再生拠点区域における除染はおおむね完了しており(2023年10月末時点)、また、家屋等の解体の進捗率(申請受付件数比)は約83%です(2023年10月末時点)。こうした取組を踏まえ、2023年11月までには、全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。
なお、特定復興再生拠点区域の整備事業に由来する廃棄物等のうち、可能な限り減容化した後、放射能濃度が10万ベクレル/kg以下のものについては、双葉地方広域市町村圏組合の管理型処分場(クリーンセンターふたば)を活用して埋立処分を行うことで同組合、福島県及び環境省との間で合意し、また、同組合及び環境省は、2019年8月に実施協定書を締結し、施設の整備及び管理に関する役割分担を確認しました。加えて、福島県、大熊町、同組合及び環境省は、2021年2月に安全協定を締結し、環境省は同組合の協力を得て安全確保のため万全の措置を講ずること、福島県及び大熊町はその状況を確認していくこととしました。2023年6月より特定廃棄物の埋立処分を開始しました。
特定帰還居住区域については、特定帰還居住区域の設定範囲、公共施設の整備等の事項を含む「特定帰還居住区域復興再生計画」を市町村が作成し、内閣総理大臣の認定を受け、認定された計画に基づき、国による除染等の実施や道路・上下水道等のインフラ復旧等の避難指示解除に向けた取組を進めることとしています。
大熊町、双葉町、浪江町及び富岡町では2022年度に、葛尾村では2023年度に帰還意向調査を実施しており、そのうち、大熊町及び双葉町では、2023年度から先行的な除染を実施するため、両町の一部区域について、それぞれ特定帰還居住区域復興再生計画が作成され、2023年9月に内閣総理大臣が認定を行いました。これを受け、同年12月に除染・解体工事が開始されました。
さらに、2024年1月に浪江町及び同年2月に富岡町で特定帰還居住区域が設定され、また同月に大熊町において計画の変更により区域が広がっており、これらの新たな区域についても早期の除染開始に向けた準備を進めています。
その他の自治体においても計画の作成を進め、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を進めていきます。
地域のニーズに応え、環境再生の取組のみならず、脱炭素、資源循環、自然共生といった環境の視点から地域の強みを創造・再発見する「福島再生・未来志向プロジェクト」を推進しています。本プロジェクトでは、福島県と連携しながら、脱炭素・風評対策・風化対策の三つの視点から施策を進めています。
2023年度は、福島県での自立・分散型エネルギーシステム導入に関する支援等を実施するとともに、2023年3月に設立した「脱炭素×復興まちづくりプラットフォーム」において、各テーマに応じた個別ワーキンググループを設置し、復興まちづくりと脱炭素社会の同時実現に向けた検討を開始しました。また、風評対策として、若い世代を中心に復興の現状や課題を見つめ直し、次世代の視点から情報を発信することを目的に「福島、その先の環境へ。」次世代ツアー等を実施したほか、第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、福島の復興や環境再生の取組を世界に発信しました。さらに、風化対策として福島の未来を若い方々と一緒に考える表彰制度「いっしょに考える『福島、その先の環境へ。』チャレンジ・アワード」を実施しました。