容器包装の3R推進に関しては、3R推進団体連絡会による「容器包装3Rのための自主行動計画2025」(2021年度~2025年度)に基づいて実施された「事業者が自ら実施する容器包装3Rの取組」と「市民や地方自治体など主体間の連携に資するための取組」について、フォローアップが実施されました。
2022年4月に施行したプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号。以下「プラスチック資源循環促進法」という。)は、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般にわたって、3R+Renewableの原則にのっとり、あらゆる主体のプラスチックに係る資源循環の促進等を図るためのものです。同法第33条に基づく再商品化計画については、2023年11月に富山県高岡市をはじめ、富山地区広域圏事務組合、京都府亀岡市、砺波広域圏事務組合、岐阜県輪之内町に対して、2024年3月に東京都新宿区を始め、愛知県岡崎市、岩手県岩手町、福岡県北九州市、三重県菰野町、大阪府堺市に対して認定を行い、14件となりました。また、同法第39条に基づく自主回収・再資源化事業計画については、2023年4月に1件、2024年3月に2件の認定を行ったほか、同法第48条に基づく再資源化事業計画については、2023年4月に2件、2024年1月に1件の認定を行いました。このほかにも、環境配慮設計の製品の製造・販売、プラスチック製品の使用の合理化、分別収集・リサイクルの取組など、各主体による取組が進展しているところです。また自治体の取組を後押しするため、市区町村が実施するプラスチック使用製品廃棄物の分別収集・再商品化に要する経費について、昨年度に引き続き特別交付税措置を講じたほか、「プラスチックの資源循環に関する先進的モデル形成支援事業」を実施しました。同法を円滑に施行するとともに、引き続き「プラスチック資源循環戦略」(2019年5月31日消費者庁・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省策定)で定めたマイルストーンの達成を目指すために必要な予算、制度的対応を行いました。また、プラスチック資源循環促進法に基づき、化石由来プラスチックを代替する再生可能資源への転換・社会実装化及び複合素材プラスチック等のリサイクル困難素材のリサイクル技術・設備導入を支援するための実証事業及び日本国内の廃プラスチックのリサイクル体制の整備を後押しすべく、プラスチックリサイクルの高度化に資する設備の導入を補助する「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入促進事業」を2023年度も実施しました。さらに、プラスチック資源循環促進法に基づき回収されるプラスチックの高度な資源循環に資する技術に係る設備投資等を支援する「資源自律に向けた資源循環システム強靱化実証事業」を2023年度に実施しました。
東日本大震災以降、分散型電源であり、かつ、安定供給が見込める循環資源や、バイオマス資源の熱回収や燃料化等によるエネルギー供給が果たす役割は、一層大きくなっています。
このような中で、主に民間の廃棄物処理事業者が行う地球温暖化対策を推し進めるため、2010年度の廃棄物処理法の改正により創設された、廃棄物熱回収施設設置者認定制度の普及を図るとともに、廃棄物エネルギーの有効活用によるマルチベネフィット達成促進事業を実施しました。2023年度は民間事業者に対して、5件の高効率な廃棄物熱回収施設、6件の廃棄物燃料製造施設の整備を支援しました。
未利用間伐材等の木質バイオマスの供給・利用を推進するため、木質チップ、ペレット等の製造施設やボイラー等の整備を支援しました。また、未利用木質バイオマスのエネルギー利用を推進するために必要な調査を行うとともに、全国各地の木質バイオマス関連施設の円滑な導入に向けた相談窓口・サポート体制の確立に向けた支援を実施しました。このほか、木質バイオマスの利用拡大に資する技術開発については、スギ材のリグニンを化学的に改質し取り出した素材(改質リグニン)を用いた高付加価値材料の開発を推進しました。また、農山漁村におけるバイオマスを活用した産業創出を軸とした、地域づくりに向けた取組を支援しました。
2050年カーボンニュートラルへの移行を実現するためには、エネルギー部門の取組が重要となり、化石燃料由来のCO2排出削減に向けた取組が必要不可欠です。特に、航空分野については、CO2排出削減に寄与する「持続可能な航空燃料(SAF)」の技術開発を加速させる必要があり、三つの技術開発を進めました。[1]HEFA技術(微細藻類培養技術を含む):カーボンリサイクル技術を活用した微細藻類の大量培養技術とともに、抽出した油分(藻油)や廃食油等を高圧下で水素化分解してSAFを製造。[2]ATJ技術:触媒技術を利用してアルコールからSAFを製造。[3]ガス化・FT合成技術:木材等をH2とCOに気化し、ガスと触媒を反応させてSAFを製造。また、可燃性の一般廃棄物や木質系バイオマスからSAFの原料となるエタノールを製造する実証事業を実施しました。(再生規制)
下水汚泥資源については、農林水産省と国土交通省が連携して、「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を2022年に開催し、関係者の役割や取組の方向性を取りまとめました。「食料安全保障強化政策大綱」(2022年12月27日、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部決定)においては、2030年までに下水汚泥資源の肥料としての使用量を倍増するという目標が新たに掲げられています。このような背景を踏まえ、下水道管理者は今後、下水汚泥は肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととして基本方針を整理しました。また、2023年度には、20団体を対象とした流通確保に向けた案件形成支援事業、83処理場を対象とした下水汚泥資源の重金属・肥料成分分析を実施しており、下水汚泥資源の肥料利用の大幅な拡大に取り組んでいます。
また、下水汚泥資源についてはエネルギー利用も推進しており、2022年度末時点における下水処理場でのバイオガス発電施設は134施設となっています。さらに、下水処理場に生ごみや刈草等の地域のバイオマスを集約することによる、効率的な資源・エネルギー回収の推進も行っており、具体的な案件形成のための地方公共団体へのアドバイザー派遣事業等を行っています。
食品廃棄物については、食品リサイクル法に基づく食品廃棄物等の発生抑制の目標値を設定し、その発生の抑制に取り組んでいます。また、国全体の食品ロスの発生量について推計を実施し、2021年度における国全体の食品ロス発生量の推計値(約523万トン)を2023年6月に公表しました。
2023年10月には石川県金沢市、金沢市食品ロス削減推進協議会及び全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会の主催、環境省を始めとした関係省庁の共催により、消費者・事業者・自治体等の食品ロス削減に関わる様々な関係者が一堂に会し、関係者の連携強化や食品ロス削減に対する意識向上を図ることを目的として、第7回食品ロス削減全国大会を石川県金沢市で開催しました。
食品リサイクルに関しては、食品リサイクル法の再生利用事業計画(食品関連事業者から排出される食品廃棄物等を用いて製造された肥料・飼料等を利用して作られた農畜水産物を食品関連事業者が利用する仕組み。)を通じて、食品循環資源の廃棄物等の再生利用の取組を促進しました。
廃棄物の適正処理及び資源の有効利用の確保を図ることが求められている中、小型電子機器等が使用済みとなった場合には、鉄やアルミニウム等の一部の金属を除く金や銅等の金属は、大部分が廃棄物としてリサイクルされずに市町村により埋立処分されていました。こうした背景を踏まえ、小型家電リサイクル法が2013年4月から施行されました。
2020年度に小型家電リサイクル法の下で処理された使用済小型電子機器等は、約10万2,000トンでした。そのうち2,000トンが再使用され、残りの10万トンから再資源化された金属の重量は約5万2,000トンでした。再資源化された金属を種類別に見ると、鉄が約4万5,000トン、アルミが約4,000トン、銅が約3,000トン、金が約340kg、銀が約3,700kgでした。
このような中で、使用済製品に含まれる有用金属の更なる利用促進を図ることにより、資源確保と天然資源の消費の抑制に資するため、レアメタル等を含む主要製品全般について、回収量の確保やリサイクルの効率性の向上を図る必要があります。このため、技術開発から技術実証、設備導入にあたるまでの支援を実施することとして、廃家電から貴金属、レアメタル、ベースメタル、プラスチック等を資源循環する基盤技術、磁性材料の精錬に係る技術、アルミスクラップを自動車の車体等にも使用可能な素材(展伸材)へとアップグレードする基盤技術開発を実施し、電子基板や車載用リチウム蓄電池から、リチウムやコバルト等の有用金属を回収する実証支援の実施、リサイクルが困難な設備に含まれる希少金属について、レアアースの安価回収技術やリチウム等の金属資源高効率回収技術に係る設備投資支援や省CO2のリサイクル設備導入支援を実施しました。
広域認定制度の適切な運用を図り、情報処理機器や各種電池等の製造事業者等が行う高度な再生処理によって、有用金属の分別回収を推進しました。
長期にわたって使用可能な質の高い住宅ストックを形成するため、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)に基づき、長期優良住宅の建築・維持保全に関する計画を所管行政庁が認定する制度を運用しています。この認定を受けた住宅については、税制上の特例措置を実施しています。なお、制度の運用開始以来、累計で約148万戸(2023年3月末時点)が認定されており、新築住宅着工戸数に占める新築認定戸数の割合は13.7%(2022年度実績)となっています。
使用済再生可能エネルギー設備(太陽光発電設備、太陽熱利用システム及び風力発電設備)のリユース・リサイクル・適正処分に関しては、2014年度に有識者検討会においてリサイクルを含む適正処理の推進に向けたロードマップを策定し、2015年度にリユース・リサイクルや適正処理に関する技術的な留意事項をまとめたガイドライン(第一版)を策定しました。また、2014年度から太陽電池モジュールの低コストリサイクル技術の開発を実施し、2015年度からリユース・リサイクルの推進に向けて実証事業や回収網構築モデル事業等を実施しています。また、2018年には総務省勧告(2017年)や先般の災害等を踏まえ、ガイドラインの改定を行い(第二版)を策定しています。さらに、2021年には太陽電池モジュールの適切なリユースを促進するためのガイドラインを策定しています。