環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第5節 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び放射性物質に汚染された廃棄物の処理

第5節 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び放射性物質に汚染された廃棄物の処理

1 災害廃棄物の処理

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法(平成23年法律第99号。以下「災害廃棄物処理特措法」という。)に基づき、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、工程表を定め、被災した自治体の災害廃棄物処理について、きめ細やかな進捗管理を実施し、目標としていた平成26年3月末までに、福島県の一部地域を除いて災害廃棄物等の処理を完了しました。岩手県や宮城県等、平成26年3月末までに災害廃棄物の処理を完了した地域では、災害廃棄物の仮置場として活用されていた用地等がメガソーラー発電所等に活用されています。平成27年度は、処理の完了していない福島県の一部地域において、引き続き、きめ細かな進捗管理を継続して行いました。

 また、災害廃棄物処理特措法に基づき災害廃棄物(可燃物)の代行処理の要請を受けている福島県の4市町のうち、処理が完了していない2市町について、国がその処理を引き続き実施しました。広野町は平成27年6月から処理を行っており、南相馬市は仮設焼却施設の建設工事を行っています。東日本大震災により発生したコンクリート殻・津波堆積土砂を、被災した海岸堤防の復旧工事の盛土材に活用する取組では、平成27年度に災害廃棄物由来の再生資材として仙台市で発生した津波堆積土等約4.3万m3を活用しました。

2 放射性物質に汚染された廃棄物の処理

 福島県内の汚染廃棄物対策地域では、対策地域内廃棄物処理計画(平成25年12月一部改定)に基づき処理を進めています。平成27年度には、帰還困難区域を除いて、帰還の妨げとなる廃棄物の仮置場への搬入を完了しました。仮設焼却施設については、8市町村9施設において設置を予定しており、6施設が稼働中です。

 福島県内の指定廃棄物及び対策地域内廃棄物について、放射能濃度が10万ベクレル/kg以下のものは、既存の管理型処分場を活用して埋立処分する計画です。平成27年6月に同処分場の国有化を含めた国の考え方を福島県・富岡町・楢葉町に提示しました。これに対して、平成27年8月に県・両町から申入れを受け、同年11月にその申入れを踏まえた国の考え方を再度提示し、その後、平成27年12月に県・両町から、当該処分場の活用の容認がなされました。(また、同県内の放射能濃度10万ベクレル/kg超の指定廃棄物等を搬入する予定の中間貯蔵施設の整備については、第1部パート2第1章第2節3を参照。)

 福島県で実施している減容化事業に関し、鮫川村における農林業系副産物等処理実証事業については、平成27年7月末をもって焼却を完了しました。また、県中・県南等の24市町村の農林業系廃棄物については、田村市・川内村における減容化事業において処理することとしており、仮設焼却施設の設置に向けて手続を進めました。飯舘村の蕨平(わらびだいら)地区においては、平成28年1月に仮設焼却施設、4月に資材化施設の運転を開始しました。

 福島県外の指定廃棄物については、特に保管状況が逼(ひっ)迫している県において、国が各県内で早期に処理するための調整を行っています。宮城県においては、平成27年4月・5月・10月に宮城県民を対象としたフォーラム、10月・11月に有識者を交えた環境省と加美町の意見交換会、12月には市町村長会議を開催し、丁寧な説明に努めてきました。加えて、平成28年2月には、同県内の指定廃棄物の放射能濃度の再測定結果を公表するとともに、同年3月の市町村長会議において、[1]比較的濃度が高いものについては、災害等のリスクの観点から県内1か所に集約して安全に管理、[2]自然減衰により8,000ベクレル/kgを下回ったものについては、指定解除の仕組みも活用しながら順次処理するという環境省の考え方を説明しました。栃木県においても平成27年5月・6月・9月に、栃木県民を対象としたフォーラムを開催するなど、指定廃棄物の処理に関し、丁寧な説明に努めてきました。千葉県では、平成27年4月に、詳細調査を実施する候補地を1か所提示しました。その後、地元自治体に説明するほか、5月・6月に地元自治体の市議会全員協議会で2回、6月~8月に住民を対象とした説明会を5回開催しました。

 また、茨城県においては、平成27年4月、平成28年2月に「一時保管市町長会議」を開催し、8,000ベクレル/kg以下となるのに長期間を要する指定廃棄物については、災害等のリスクの観点から、引き続き県内1か所に集約して安全に管理する方針を堅持しつつ、8,000ベクレル/kg以下となるのに長期間を要しない指定廃棄物については、現地保管を継続し放射能濃度の減衰後に段階的に処理を進めていく方針を決定しました。上記の各種廃棄物への対応に加えて、飼料については、定められた暫定許容値以上となるものは、焼却等により適切に処理するよう、都道府県等に周知徹底を図りました。また、肥料についても、平成23年8月に汚泥肥料を含めた全ての肥料の放射性セシウム暫定許容値を400ベクレル/kgと定めており、同様に引き続き都道府県等に周知徹底を図るとともに、汚泥肥料の放射性セシウム濃度の測定を実施しました。

 上記取組に関する背景や取組状況、成果等の詳細については、第1部パート2第1章第2節1(2)を参照。

 特定一般廃棄物・特定産業廃棄物については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特別措置法)(平成23年法律第110号)の施行状況に関する取りまとめにおいて、規制内容が合理的なものとなるよう今後措置すべきであると示されました。これを受け、放射性物質汚染廃棄物に関する安全対策検討会にて検討を行い、特定一般廃棄物・特定産業廃棄物の要件(対象となる地域等)を見直し、省令改正を行いました。