土壌制度小委員会(第1回)議事録

日時

令和6年9月18日(水)14:00~16:00

開催形式

WEB会議システム併用(YouTubeによるライブ配信)

議題

(1) 小委員会における検討の進め方
(2) 土壌汚染対策の現状と主な課題
(3) その他

配付資料

資料1   中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
資料2   今後の土壌汚染対策の在り方について(諮問・付議)
資料3   中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の小委員会の設置について
資料4   中央環境審議会水環境・土壌農薬部会の運営方針について
資料5   今後の検討スケジュール(案)
資料6   土壌汚染対策法の施行状況
資料7-1 土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書)概要
資料7-2 土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性(報告書)

参考資料1 土壌汚染対策法(概要)
参考資料2 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)
参考資料3 土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)
参考資料4 土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)
参考資料5 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)

議事録

(長谷川土壌汚染対策係長)
 それでは定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境・土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催いたします。委員の皆様にはご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の小委員会は、委員総数20名のうち過半数の18名がご出席で、淡路委員及び奈良委員がご欠席の予定となっております。定足数の要件を満たし、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
 また、WEBを併用した会議でございまして、YouTubeの環境省環境管理課公式動画チャンネルで同時配信をしております。
 それでは、開催に当たり、環境省水・大気環境局長の松本よりご挨拶申し上げます。
 
(松本水・大気環境局長)
 皆さんこんにちは。本年7月に水・大気環境局長を拝命しました松本と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は大変ご多忙の中、また残暑厳しい中、こちらにご参集賜りまして本当にありがとうございます。
 この小委員会ですけれども、今年6月に、大臣から中央環境審議会に対しまして、今後の土壌汚染対策の在り方についてということで諮問を賜りました。その諮問を受け、水環境・土壌農薬部会の下に新たに設置したものでございます。この小委員会でご審議を賜ります土壌汚染対策法は、平成14年に制定されまして、それ以降、土壌汚染に対するリスク管理の法改正が二度にわたり行われてございます。今般、平成29年の法改正の附則に定められました法律の点検・見直しの時期、いわゆる5年見直しを迎えましたために、審議会でご審議を開始いただくものでございます。
 今般の法の点検見直しにおきましては、現行の制度、そして運用状況の点検をした上で、人の健康リスクに応じたさらなる必要かつ合理的な管理の在り方や、脱炭素の観点等も含むサステナブルな土壌汚染対策の在り方についてご審議を賜りたいというふうに考えてございます。こうした背景、そして法の施行状況も踏まえまして、委員の皆様の専門的な見地から、様々な課題のご指摘、ご意見、ご指導、忌憚なく賜りますようお願い申し上げまして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。では本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 
(長谷川土壌汚染対策係長)
 松本局長につきましては、公務の都合によりここで退席させていただきたく存じます。
 
(局長退室)
 
(長谷川土壌汚染対策係長)
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を確認いたします。委員の皆様につきましては、資料はタブレットに格納しておりますので、見方が分からない方がいらっしゃいましたら、手を挙げてお知らせいただければと思います。係の者が操作をしに参ります。
 では、議事次第に記載しております配付資料一覧をご覧いただければと思います。配付資料には資料1から資料7-2及び参考資料1から5までがございます。こちらに沿って今回進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 また、資料に加えて参考資料として、こちらも土壌汚染対策法の概要、法令の条文等まとめたものをお配りしております。会議の中で必要に応じ、ご参照いただければと考えております。何か不足等ございましたら、事務局までお申出ください。
 なおこれらの資料及び本小委員会は、運営規則等に基づき公開とさせていただきます。
 それでは、これより議事に移りたいと思います。大塚委員長に議事進行をお願いいたします。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございます。
 ふつつかでございますけれども、委員長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは議事に入ります。議題1、小委員会における検討の進め方です。資料の1から資料の5につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
(金井環境汚染対策室長補佐)
 環境省環境汚染対策室の金井と申します。よろしくお願いします。
 資料1から資料5までのご用意をお願いいたします。これらをまとめてご説明いたします。
 資料1は本小委員会の委員名簿です。今回は第1回会合となりますので、本小委員会の委員構成を改めてご確認ください。委員の皆様には、本小委員会にご参画いただきまして、改めて感謝を申し上げます。
 続きまして、資料2及び資料3により、本小委員会を開催する経緯を報告します。
 資料2をご覧ください。資料2は6月5日付で環境大臣から中央環境審議会会長に対して、今後の土壌汚染対策の在り方について諮問をされた文書の写しです。またその裏面は、当該諮問事項について6月6日付で中央環境審議会会長から水環境・土壌農薬部会長に付議されたことを示すものです。土壌汚染対策法の平成29年改正法において、施行後5年を経過した場合において、その施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、その規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていることから、今般、今後の土壌汚染対策の在り方について、中央環境審議会に諮問されております。
 これを受けて、資料3のとおり、6月11日から18日の水環境・土壌農薬部会の書面開催により、本小委員会の設置が決定されました。
 続きまして資料4をご覧ください。資料4は本小委員会の運営方針に関する資料です。会議や資料の公開などは部会の運営方針に準ずるものとなります。
 続きまして資料5をご覧ください。資料5は本小委員会の今後の大まかな検討スケジュール案を示すものです。今回は、土壌汚染対策の現状等、主な課題についてご審議いただきます。次回以降については、まず自治体、産業界、その他土壌汚染対策法関係者からヒアリングを実施してはどうかと考えます。時期は本年秋頃を想定しており、日程は追ってご案内したいと考えています。ヒアリング以降は、委員の皆様のご都合を伺いながら、複数回に分けて、各論点についてご審議いただいてはどうかと考えます。具体的な開催回数は、審議の進行状況を見ながら、委員長とご相談させていただきたいと思います。その後、答申については1か月程度のパブリックコメント手続を経て、来年夏から秋頃をめどに取りまとめていただくことでどうかと考えております。
 説明は以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきましてご質問がございましたらお願いいたします。札を立てていただけると大変ありがたいです。
 はい。では、ございませんようですので、それでは今後、これらの運営方針などに沿って、本小委員会の審議を進めることとしたいと思います。
 続きまして、議題2は土壌汚染対策の現状と主な課題です。資料6、7-1及び資料7-2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
(金井環境汚染対策室長補佐)
 ありがとうございます。
 では続けて資料6、資料7-1、資料7-2のご用意をお願いします。
 今回の土壌汚染対策法の点検・見直しに当たりまして、2種類の資料を用意しました。資料6が土壌汚染対策法の施行状況です。また資料7のシリーズが土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性という資料となります。
 まず資料6をご覧ください。
 法の点検・見直しに当たりましては、施行の状況を勘案することとされていることから、施行状況を取りまとめた資料として、資料6のご用意をしております。
 1ページからの1ポツが調査・区域指定に関すること、また、おめくりいただきまして、17ページからの2ポツが汚染土壌の搬出・運搬・処理に関すること、また最後に23ページからの3ポツが指定調査機関、基金、立入検査等という形で、それぞれの制度の概要、施行状況を説明しております。
 幾つか、例えばどのようなことが書かれているかというところを、ご紹介いたします。
 例えば、調査の状況というところでは、7ページをお願いします。7ページは、土壌汚染調査件数を施行状況として示しておりまして、法に基づく調査件数は増加傾向にあります。それぞれの条文に基づく調査が行われているわけでございますが、これらの合計がこのページに示されておりまして、着実に調査が行われているということが示されております。
 また9ページをお願いします。9ページは、要措置区域と形質変更時要届出区域といった区域指定制度の概要や施行状況をお示ししています。右下に区域指定件数のグラフがございまして、こちらに記載のとおり、8割以上が形質変更時要届出区域の指定であるといった特徴をお示ししております。
 続けて10ページですけれども、10ページの右下には特定有害物質の種類別の区域指定件数というグラフがございまして、特定有害物質は全部で26物質ございますが、どの物質が要因となって区域指定されているかという傾向をお示ししております。
 また11ページをお願いします。11ページは、要措置区域と形質変更時要届出区域において、どのような措置が取られているかというものを示しておりまして、掘削除去が最も多くなっているという特徴をお示ししています。
 また、さらに飛ばしていきまして、19ページをお願いします。汚染土壌の搬出・運搬・処理に関する施行状況として、例えば19ページには、汚染土壌の処理量について一次処理が約650万トン、二次処理が約300万トンといったデータ等をお示ししております。
 また24ページをお願いいたします。24ページ以降は、指定調査機関、基金、立入検査等の関係で、例えば指定調査機関に関する施行状況としては、指定調査機関数は681件、事業所数は819件ですとか、また土壌汚染調査技術管理者試験の状況として、受験者数、合格者数、合格率の推移についてもお示ししております。
 これらの施行状況を踏まえて、今回、見直し・点検のご審議をお願いしたいというふうに思っております。
 もう1種類の資料として、資料7-1をお願いいたします。
 資料7-1は土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性という資料になります。
 資料7-2として、実際のこちらの報告書本文をそのままお配りしております。
 この資料7-1は、資料7-2の報告書本文を取りまとめた経緯や位置づけ、また報告書における主要な論点等の概要のご説明をするための資料としてご用意をしました。
 この資料7-2の報告書をベースに、今後、関係者からのヒアリングを経て、個別の論点の議論を進めてはどうかというふうに事務局としては考えています。
 資料7-1をおめくりいただきまして1ページ、報告書の目次をご覧ください。
 目次については、1ポツが法の制度・運用と施行状況等の概要、2ポツが現行の制度・運用に関する主な課題ということで、先ほどご説明した資料6の土壌汚染対策法の施行状況を踏まえた記述がされている部分となります。この報告書は、この1ポツと2ポツのところをレビューした上で、3ポツの点検・見直しに関する基本的考え方・視点、また4ポツで個別の制度・運用に関する論点と考えられる見直しの方向性について取りまとめていただいたものとなります。
 2ページ目、「はじめに:本報告書について」という部分をご覧ください。
 土壌汚染対策法は平成14年に制定され、平成15年に施行されております。その後、平成21年、平成29年の2回にわたり法改正が行われました。平成29年改正法では、施行後5年を経過した場合において、その施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、その規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされています。
 一番下、環境省における対応ですが、こちらの法の点検・見直しの開始、中央環境審議会での検討に備えまして、令和5年10月から令和6年5月にかけて、法の施行状況、制度的課題等の把握・整理、課題の解決に必要な見直し事項の検討を、環境省として予備的に実施しておりました。
 3ページ目をお願いします。
 環境省の下で設置をした「土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会」において、資料7-2の「土壌汚染対策法の見直しに向けた検討の方向性」という報告書を取りまとめております。こちらは※2のところですけれども、今後、環境省において、本資料を踏まえて関係省庁、関係者等を調整し、また、この中央環境審議会での議論も踏まえて、土壌汚染対策法の見直しの検討を進めていくことを期待した、検討会での提言として取りまとめたものでございます。
 下に委員名簿がございますが、本小委員会における複数の委員に、こちらの検討会にもご参画いただいておりました。誠にありがとうございました。
 続けて4ページ目をご覧ください。
 このページは、点検・見直しに関する基本的考え方・視点として、この検討会報告書全体にわたっての流れや文脈を示しているページでございます。
 上の四角に大きな方向性、左側に課題、右側に基本的考え方・視点を示しています。
 まず上の四角ですけれども、大前提として、土壌汚染に伴う健康リスク管理のための実効的な仕組みを維持していくことは、今後も必要不可欠であるということがございます。このことを大前提に、脱炭素社会の実現、人口減少等への対応といった新たな社会的課題に対して関係者が対応しやすい「持続可能な土壌汚染対策」を推進する必要があると考えておりまして、そのために、現行の制度・運用を見直していくということが求められているというふうに示されています。
 続けて、左側の課題、右側が基本的考え方・視点ですが、それぞれ3点ずつございまして、対応しておりますので、順次ご説明してまいります。
 1点目、課題1は、制度や運用の複雑化、関係者の事務・対策負担という点になります。法律の適切な施行・遵守のために理解すべき内容が膨大となっていて、運用が複雑化していること、また自治体や事業者が、恒常的に十分な専門性を有する人員を配置するのは困難であるといった、法施行に伴う業務負担について触れているというのが1点目の課題となります。これに対する基本的考え方・視点として、1ポツにある制度・運用の合理化・分かりやすさの改善を掲げています。環境・経済・社会に対するネガティブな要素をできる限り取り除くことを目指すべきというふうに示されておりまして、具体的には事務等の負担、不透明性、本来は不要な掘削除去等の措置の選択といった要素を見直すべきだということをお示ししています。このために適切で合理的な土壌汚染に係る健康リスクの管理を図ることや、複雑化した現行の制度・運用を合理化すること、具体的には、特例措置を含めた新たな制度・運用の創設は可能な限り控えることなどが示されています。
 続けて課題2は、土壌汚染状況に関する情報の把握、承継、散逸等という項目になります。土壌汚染状況に関する情報の散逸が進んでおりまして、地歴調査を円滑に行うことが年々困難になるといった傾向が課題となっています。地方自治体もデジタル化が進んでいないなどによって、事務負担の観点から、これ以上大きな役割を補うことは困難というふうに論じられておりまして、その傾向は人口減少社会が本格的に到来して加速化することが懸念されている、というものです。右側がその対応ですけれども、土壌汚染状況に関する情報の適切な管理、承継等の強化ということで、土壌汚染状況に関する情報の適切な管理、承継等を強化する方策を検討すべきとの提言が示されています。
 続けて課題3は、法に位置付けられた関係事業者の質の確保等です。汚染土壌処理施設や技術管理者といった法に位置付けられた関係事業者が、汚染土壌の適正な取扱いの確保や、透明性向上に努めるなど、業務の品質を確保するなどが課題であるというふうに示されています。このため、対応としては右側の関係事業者の質の持続的な確保等ということで、汚染土壌処理施設及び指定調査機関について、事業の透明性と適切な技術的能力等を持続的に確保するための方策を検討すべきというふうにまとめられております。
 次は5ページをご覧ください。
 5ページ以降は具体的な論点として幾つか示しておりまして、制度の概要、課題、検討会報告書における方向性を順次示しているものとなります。
 この(1)は土壌汚染状況調査等における制度の合理化・分かりやすさの改善等というところでして、下に、調査方法として地歴調査と試料採取等調査というものがございますが、地歴調査を実施して、その上で試料採取等調査も行うというのが現行の仕組みという形になっています。
 6ページをお願いします。
 土壌汚染状況調査を巡る課題としては、中小事業者では調査契機のときがイコール廃業時の場合があって、調査・対策が実施できない事例が発生しているというところや、調査が猶予されている土地において、土地の利用用途の届出を徹底させる仕組みが不十分であるという議論、また、実際には、土壌汚染の発見の蓋然性が非常に低い場合や、健康リスクが特段ない場合も法に基づく事務が発生し、事業者・自治体の双方に負担が生じるというところが示されています。検討会報告書における方向性としては、調査契機については、考え方や手続が分かりやすいものへと改善を図るべきだということが提言されています。土壌汚染状況調査が法律上、地歴調査と試料採取等調査で構成されることを明確化した上で、地歴調査の契機を拡充し、併せて試料採取等調査は健康リスクの程度に応じて対象等を合理化するべきというところが示されております。
 7ページが参考ですけれども、見直しの方向性は一番上に書いているように、調査契機を分かりやすくし、地歴調査の契機を拡充して、その上で、試料採取等調査や形質変更届出対象は合理化するといった考え方でして、これを図にするとこちらのページのようなイメージになります。
 現行ですと、法第3条と第4条がございまして、調査をするときには、地歴調査及び試料採取等調査を実施することとなるという形ですけれども、見直し後のイメージとしては、地歴調査と試料採取等調査を分け、地歴調査のところで【3】、【4】として、有害物質使用特定施設を承継するときや、事業場の土地の所有者等を変更するときについて、地歴調査を拡充するといった方向が示されています。
 続けて8ページをお願いします。
 区域指定制度、基準不適合土壌に対する搬出規制等の合理化等というページです。
 制度の概要としては、区域は汚染範囲の深さは考慮せず平面方向のみで指定をしていることや、試料採取等調査と併せて、汚染の範囲を深度も考慮した立体的(3次元的)に絞り込む詳細調査が行われているといった実情、また汚染土壌については、汚染土壌処理施設での処理等を義務づけていることや、自然由来等土壌については特例制度が存在するといったことをご紹介しています。
 9ページをお願いします。
 課題としては、区域指定制度が複雑になっており、また、各特例制度が講じられていますが、それに伴う負担の大きさや手続の煩雑さなどの理由から十分活用されていないことや、区域外に搬出しようとする土壌を法の対象から外すには認定調査が必要といったところを示しています。検討会報告書における方向性としては、試料採取等調査の一部として、深さ方向の汚染の範囲を特定する調査を位置づけることや、深さ方向の汚染の範囲を考慮した区域指定を検討すること、また自然由来等土壌については従来の区域指定(形質変更時要届出区域)を行わず、搬出時に基準適合性を確認するということなど、幾つかのアイデアが提言されております。
 10ページをお願いします。
 今、ご説明したところの模式図がこちらの図になっておりまして、平面として地下も含めて区域指定するので、左図下のオレンジ色のところが、区域内にあるが基準には適合している土壌となります。ここの部分も区域指定方法を合理化することによって、区域の対象外とするというようなアイデアでございます。
 11ページをお願いします。
 11ページは(3)土地の土壌汚染状況に関する情報の適切な管理、承継等の強化ということで、現状として、個別の土地の汚染状況に関する情報については、もともとは土地の所有者等が所有・管理をしていて、その一方、土地の所有者等に情報の保存の責務はないといったところや、実際、自治体は届出等に係る情報を長期間保存していること、自治体が台帳を調製していることなどの現状をお示しした上で、課題としては、この情報の散逸化が進んでいて、地歴調査を円滑に行うことが年々困難となりつつあると示しています。検討会報告書による方向性では、地歴調査の実施を義務づけることや、その結果を新しい所有者等に当事者間で承継することを義務づけることを検討するといったところが、アイデアとして示されています。また、この検討に当たって、調査結果の保管の委任や閲覧に関しては、受益者負担の下、国が適切な形で関与するサービスの提供が可能かというのを検討するというところを併せて示しています。
 12ページが、(4)汚染土壌処理施設及び指定調査機関の技術的能力等の持続的な確保等ということでございまして、一部事業者で許可等の手続の違反行為が確認されていることや、管理票の作成、交付等の行為を電子的に行うことが可能にされたといった状況をお示ししつつ、また、指定調査機関に関しては、公正な調査の実施、技術管理者の配置等を義務づけているという制度をご説明した上で、13ページにお進みいただきまして、処理の透明性や技術的能力に関しては課題という形で指摘をされています。検討会報告書における方向性ですけれども、電子管理票システムについて示しながら、情報収集や公開を行う等の運用を検討すべきことや、指定調査機関の業務の体制・品質確保・調査方法等について適切な説明を義務づけるなどの方向性を示されています。
 続けて14ページをお願いします。
 14ページは(5)基本方針ですが、法律に基づく国の基本方針(仮称)というのを創設してはどうかという提言になります。
 最後に15ページになりますけれども、その他の論点ということで、1点目は土壌汚染状況調査における汚染原因者負担及び事故時の対応の強化ということで、事故が発生し土壌が汚染された場合における調査の主体や負担に関する論点となります。
 また2番目は、基準値等に関する科学的知見やリスクコミュニケーションについてです。現行の基準値の設定の考え方や方法について改めて技術的な検討を行うべき、リスクコミュニケーションについても検討するべきといった方向が示されています。
 3点目は、費用負担能力が低い者への支援等ということで、調査契機等の見直しを踏まえて、費用負担能力が低い者にいかに対応するかという論点が示されています。
 4点目はガイドライン等の法の解釈・運用等に係る資料の改善等ということで、可能な限りコンパクト化を目指すという方向が示されています。
 最後の5点目が土壌環境行政における人の健康保護以外の視点からの取組ということで、今年の5月に閣議決定された環境基本計画では「土壌が有する炭素貯留、水源の涵養といった環境上の多様な公益的機能」に関して指摘されておりまして、こちらも検討会報告書の中では触れているところでございます。
 以上、説明が長くなりましたが、資料6と資料7のシリーズ、こちらが今回、法の点検・見直しに当たって、事務局がご用意した資料でございます。施行状況及び検討会報告書で示されている問題意識等に対して、ご意見いただければというふうに考えております。
 事務局からのご説明は以上でございます。ありがとうございます。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 資料7-2の報告書をベースに、今後、関係団体からのヒアリングを経て、個々の論点については議論するということでございますが、本日は第1回目でございますので、今後、個別論点について議論を深める前に、各委員から土壌汚染対策制度全般についての問題意識などのご発言をいただきたいと思っております。
 委員の皆様におかれましては、3点申し上げますが、第一に、ご自身の専門分野や土壌汚染対策との業務上の関係などを簡潔にご紹介いただいた上で、第二に、今回の土壌汚染対策制度全般に関する問題意識についてご発言いただき、第三に、先ほど事務局から説明がございました資料の6、7-1、7-1がまとまっており7-2はご説明いただけませんでしたが、これに対するご質問事項、以上3点に関するご発言などをお願いしたいと思います。念のため、もう一遍言いますが、一つ目は専門分野とか業務上の関係、二つ目は、土壌汚染対策制度全般に関する問題意識、三つ目は資料の6から7-2までについてのご質問事項でございます。
 会議時間の制約上、お一人2分から3分以内を目安にしていただいて、全委員ご発言いただきたいと思いますので、ご協力のほどお願い申し上げます。委員名簿の上から順番にお願いするということでございまして、3人から4人ご発言なさったところで一旦区切って、質問事項などについて事務局からまとめて回答していただきたいと思っております。
 はい。まず、小林剛委員、お願いします。
 
(小林臨時委員)
 横浜国立大学の小林と申します。
 私の専門は化学物質の環境安全管理で、30年近く土壌汚染の効率的な調査、リスク評価や対策について、研究テーマとして取り組んできております。
 土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会の委員でもあるので、報告書についての質問はいいかなと思うのですが、問題意識としては、やはり、この後の議論でも出てくるかと思いますが、大きな企業についてはこの20年間で大分調査や対策が進んでいると思う一方で、中小企業についてはまだまだ調査や対策が進んでいない面がある。そういうところを何とかしていかなければいけないのだろうと考えております。そのためには比較的安価な調査や対策というのを考えていかなければいけないと考えております。現状、形質変更時要届出区域でも七、八割方で掘削除去が行われているという状況にもあります。土対法自体はリスク管理型の法律なのですが、実態として、社会ではリスクに基づく判断ではなく、基準値を超えているか超えていないかという判断が多くされている面がございます。リスクの高いところはやっぱり早急に対応をしないといけないですし、リスクの低いところはサステナビリティ、先ほど局長もおっしゃっていましたけれど、そういうことも配慮しながら、リスク管理型の対応が進むというのが、一番関心を持っているところでございます。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では、足立委員、足立総一郎委員、お願いします。
 
(足立専門委員)
 一般社団法人不動産協会の環境委員を務めております足立と申します。よろしくお願いいたします。
 実務におきましては、野村不動産で集合住宅並びにホテル等の品質及び事業リスク全般の管理などの業務を介して、土壌汚染対策法に接しております。まずは不動産協会のご説明を簡単にさせていただきます。不動産協会はオフィスビル、商業施設、物流施設等の開発、運営、管理など、またマンション、戸建て住宅の開発分譲、その他不動産仲介業等、幅広い不動産分野に係る民間大手デベロッパー約160社を会員企業としており、良好な住宅ストックや高度なビジネス基盤の形成、安心、安全、快適で魅力的なまちづくりを行ったり、都市再生を推進する会員の企業が、積極的かつ効率的に事業が推進できるよう、関連諸制度への政策提言や調査研究に取り組んでいる団体でございます。関係各社における各種不動産の開発に当たりましては、土壌汚染対策法は全ての事業に関わる重要な法律だと認識しております。事務局からご説明いただいた検討の方向性につきましては、おおむね違和感はございません。
 他方、我々の事業環境で申しますと、建設資材の高騰や働き方改革に伴う労務費の上昇、こういった背景で建築費が非常に上昇しているということがございまして、事業環境は大変厳しい状況でございます。そういった中で、土対法の対応につきましても、コスト等のインパクトはありまして、ガイドライン等の資料は現状もあるものの、会員会社からは、制度の複雑さ、分かりにくさ、予見がしづらいなどの観点から、見直しの要望が高まっている状況でございます。
 協会各社に対して事前にアンケートを行っておりまして、その中では特に自然由来の汚染であるとか、あるいは地下水汚染の対応について、法改正等の見直しを要望する声が多くございました。自然由来の汚染や地下水汚染に関しましては、範囲が広範にわたる場合や、あるいは措置にかかる期間が長期間に及ぶということが多く、対策工事やモニタリング等の対応が事業に与える影響が大きいということがその理由でございます。先のご説明の中で、自然由来の土壌については合理化が検討されているような方向であることは承知しておりますが、例えば、地下水のモニタリングに係る軽減など、同様に検討いただけたらというふうに考えております。また区域指定に関する情報のデータ化についてもご説明ございましたが、地下水汚染の調査の際には、周辺の地下水利用の情報が必要であることに鑑み、地下水の利用に関する情報についても、同様にデータ化等、適正な開示をご検討いただきたいところでございます。
 法の趣旨である汚染状況の把握、健康被害の防止、拡散防止などの適切な措置を講じつつ、所有者、事業者に対する対応義務の軽減や事業の予見性確保などについては、この小委員会を通じてぜひご議論させていただきたいと考えております。
 今申し上げました自然由来あるいは地下水についての課題以外も含めて、次回以降のヒアリングにて、具体的な課題、課題に対するご提言をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい、ありがとうございます。
 では、石巻実穂委員、お願いします。
 
(石巻専門委員)
 ありがとうございます。早稲田大学の石巻と申します。このたびは土壌制度小委員会に委員として参加させていただき、ありがとうございます。
 私は理工学術院に所属しておりますが、理系ではなく文系の法学の人間でして、法律を対象とする研究を専門としております。具体的には、環境法を専門領域としております。これまでの研究では、環境問題を防止したり、実際に発生してしまった環境問題への事後的な対応をしたりする際に、そういった対策について、誰がどのような責任を負担するのが妥当かといった観点から、法律の解釈適用を考えてまいりました。中でも、原因者負担原則の在り方を中心に研究してまいりました。その意味で、原因者負担を徹底しようとするということが現実的には難しい土壌汚染の問題には、学生時代から強い関心を抱いておりまして、実際に土壌汚染対策法に基づく対策をめぐる責任の所在について、その適切な形を探るために、アメリカやドイツを比較対象とした研究をしてまいりました。そうした研究を通じて、海外の先進国における土壌汚染対策とは異なり、日本の土壌汚染対策法には所有者の負担が大きいという特徴があると思っておりまして、原因者負担原則の考え方との関係で見ても、この点は重要な課題なのではないかなと考えてきたところです。
 この点に関しまして、先ほどご説明いただきました資料7-1の15ページでご紹介いただきました「その他」の項目の一つ目の丸のところで、「土壌汚染状況調査における汚染原因者負担及び事故時の対応の強化」におきまして、汚染原因者にも調査について対応をしていただくことを検討すべきというふうなご指摘を書いていただいておりますこと、それから三つ目の丸のところで、「費用負担能力が低い者への支援等」ということで、調査の場面でも費用負担能力が低い人に対する助成を検討すべきではないかといったご指摘を書いていただいていることに関しましては、賛同しますといいますか、検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
 まだまだ未熟な身で恐縮ではございますが、土壌汚染対策法については、これまで自ら研究の中で長く向き合ってきたという思い入れがあり、今回の制度見直しの機会に、何らかの貢献ができれば幸いです。よろしくお願い申し上げます。
 
(大塚委員長)
 はい。どうもありがとうございます。
 では、江種伸之委員、お願いします。
 
(江種専門委員)
 和歌山大学の江種と申します。よろしくお願いいたします。
 私の専門は土木工学の中の水理学、水の流れに関することでして、学生時代から、特に有機塩素化合物が地下水中に広がっていくというようなことを水理学的な観点から研究し始めました。それ以降、博士課程まで進んで、その後、和歌山大学に移ったのですが、それ以降はどちらかといいますと、対策技術ですね。特に掘削除去みたいな単純なのではなく、水理学的に、非常に地下水や土壌ガスの動きが複雑な、例えば地下水中に空気を吹き込むエアースパージングとかそういう技術の開発とか、近年ですと、微生物を使ってきれいにするというバイオレメディエーション、そういったような対策技術の開発を様々な民間企業と一緒にずっと行ってきております。
 そういう観点から、昨年度の土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会にも参加させていただいて、この報告書の作成に少しでも役立つように、いろいろと発言させていただきました。報告書にも書かれていましたが、やはり私は地下水に係る知見があるということもあり、土壌と地下水というのは切っても切れない関係がありますので、土壌汚染対策法でも、もう少し地下水との連携というものを、何とか今よりも充実したものにできないか、そのためにはどうすればいいのかということに一番関心を持っております。その一部が今回の報告書にも、事故の場合とかそういった形で組み込まれておりますので、それをしっかりと今回の制度見直しに生かしていきたいと思っております。そのためにもこの小委員会においても、私もしっかりといろいろ議論に参加していきたいなと思っております。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では、ここまでの委員のご発言につきまして、事務局からこの場で回答とか補足など、もしございましたらお願いいたします。
 
(甲斐環境汚染対策室長補佐)
 はい。事務局でございます。各委員の皆様、貴重なご意見、それから今回の検討へのご参加の意気込み、問題意識をおっしゃっていただきましてありがとうございます。
 個別の今後の課題につきましては、それぞれのご発言を踏まえて、これから事務局のほうでしっかり検討してまいりたいというふうに思ってございますが、こちらのほうからは、ただいま言及いただいたご意見のうち、こういった箇所に関係する記載が資料の中にされていますというご紹介を、簡単にさせていただければと思います。
 まず、小林委員のほうから頂戴いたしました中小企業における調査・対策に関しての課題、それから石巻委員のほうからいただきました、こういった方に対しての負担軽減ですとかそういったことに関しましては、例えばでございますが、石巻委員のほうからも言及をいただきました資料7-1の最後のページ、15ページの真ん中の丸、「費用負担能力が低い者への支援等」といった論点で記載させていただいております。また、今日は事務局のほうから、大部にわたるためご紹介いたしませんでしたが、資料7-2におきまして関係する箇所が幾つかございます。例えば、資料7-2の39ページになりますが、こちらの下段のほうの片括弧2に具体的な記載をしてございますので、今後、必要に応じてご参照いただければと思います。
 それから、小林委員のほうからいただいた掘削除去あるいはコストの低減、それから足立委員のほうからもいただきましたコストに関しては、自然由来等土壌を中心にもう少し合理化が図れないかというご指摘がございました。これらに関しましては、かなり全体的な論点に関わる内容かと思いますところ、資料7-1で申し上げますと、まさに事務局のほうからご説明をさせていただいたスライド4のうち、制度や運用の複雑化、関係者の事務・対策負担であったり、これらを受けた制度・運用の合理化・分かりやすさの改善といったこういう大枠の考え方でありましたり、スライド6にあります土壌汚染状況調査等の関係でご説明した内容、この辺りに横断的に関わってくる内容ではないかというふうに考えてございます。
 それから、同じく足立委員からご指摘があった地下水のモニタリングあるいは江種委員からも頂戴した地下水環境の保全と土壌汚染対策の連携といったところ、これらも資料7-1のほうでは分量の関係もございまして盛り込めていないところもございましたが、資料7-2のほうにおきましては、一部関係する記述をさせていただいてございまして、例えば、江種委員からご発言がありました事故時の関係につきましては、27ページ目の中段から始まっています片括弧3、「調査における汚染原因者負担及び事故時の対応の強化」ということで論点を出していただいているといった状況でございます。
 なかなか一つ一つ対応箇所をご説明さしあげることは難しいご発言もございましたが、こういったご意見を踏まえて、これから検討してまいりたいと思います。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 よろしいですか。ありがとうございました。
 では、続きまして、勝見武委員、お願いします。
 
(勝見専門委員)
 はい、ありがとうございます。京都大学の勝見です。よろしくお願いいたします。
 私は先ほどの江種先生と同じ土木工学が専門でございますが、土質地盤工学の方を専門にしてまいりまして、その中でも地盤環境工学ということで、建設リサイクルですとか、あるいは土壌汚染、地下水汚染も勉強してまいりました。方針、スタンスとしては、土をできる限りうまく利用していく、あるいは土の特性を活用して、有害物質の封じ込めや遮水を図っていく。さらに土地を汚染地も含めて有効に活用していく、そういうことに携わってまいりました。最近ですと、建設汚泥の処理と有効利用ですとか、自然由来の重金属等の対応ということで研究の方を進めているところでございます。
 今回の委員会に先立っての昨年度の土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会にも参画をさせていただきました。ここで議論された基本的な方向性に関する全般的な意見、問題意識ということでございますが、何度も説明がありましたが、制度・運用の複雑化に対して合理化、分かりやすさを進めていくということが一つうたわれています。現状、いろいろなお立場の方からご相談をいただいたり、あるいは、私自身が現場で勉強させていただいたりという中で、リスクに対して必ずしもマッチしていない、実務的に見ても、それから手続的に見ても、そこまでやらなくてもいいのではないかというようなことが幾つかあるのではないかということで、それを今回、しっかり合理化の方向に進めていただくということはあるべき姿だなという具合に思っております。一方で、法律において様々なことが分かってきて複雑になり、複雑になり過ぎたから合理化するという文脈ではなく、法律の施行後20年間でいろんなデータや知見が蓄積されてきたので、ここは力を入れるべきだとか、ここは少し力を抜いて別の方法でうまく拾えるんじゃないか、そういうめり張りをつけていく、そういう局面になっているという具合に私自身は理解をしております。そういう意味では、データや知見の蓄積という点を考えても、先ほどほかの委員からもございましたが、土壌と地下水の関係も、もう少し連携があるべきということで、基準値の科学的知見の整理、運用といったことも挙げていただいてますが、この点でも土壌、地下水とが連携して、議論していただくきっかけになればいいのではないかという具合に思っているところでございます。
 土壌の方も地下水汚染の方も、研究者が減っているという印象があって、それは世の中がうまく回っているから減っているという見方もできるのかと思いつつ、企業の方も、やはりほかにも大事な案件があって、土壌に対してのヒューマンリソースが減ってきているような印象がないわけでもない。最初に、人口減少や脱炭素社会の実現といったこともございましたが、いろいろほかのこともやらないといけない中で、質は下げずに土壌汚染対策を進めていくということにかじを切っていく大事な局面だという認識でおります。よろしくお願いいたします。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では、金見拓委員、お願いします。
 
(金見専門委員)
 はい。東京都環境局環境改善部で土壌地下水汚染担当課長をしています金見と申します。よろしくお願いします。
 土壌汚染に関しましては、今回7月から今の担当となりまして、それ以前ですと平成13年、14年に土壌汚染対策法が立ち上がる頃に2年間担当し、それ以降22年ぶりということではあります。そういうことではあるのですが、基本的には水道の水質をずっと20年以上やっていた人間ではありますが、私ども東京都は年間2,000件以上届出を受けて審査しているというような自治体でございますので、そこで得ている事例や知見を背景にご意見を述べさせていただくというのが求められているのかなというふうに考えております。
 問題意識といいますか、土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会にも私どもの職員が参加しまして、いろいろご意見を言わせていただいたところではございます。やはり審査を行う行政や審査を出される事業者の方ですと、制度がかなり複雑化しているというところもございますので、いろいろなものをカバーするために特例を設けるような形でやってきてはいますが、特例をさらに増やすというのではなく、既存の仕組みをベースから見直すような形にしていただくほうが、かなり制度としてはすっきりするのではないかというところで考えております。また、ほとんど運用されてない規定というのは、やはり抜本的に見直しが必要なのではないかというところもあります。
 それから、汚染拡散リスクや健康リスクを防ぐというところが重要なところでございますので、レアケースをどんどん抑えるというよりも、要は調査の在り方ですとか、規制のタイミングですとか、そもそも割り切りがあるような制度設計ですので、そこのバランスをどう取るかというところも、そろそろ考えていってもいいのかなというふうに考えております。
 また、審査をしておりまして、先ほど掘削除去が多いということも述べられておりましたが、区域指定ということになりますと、そこに汚染土壌があるという中で商取引というところになり、やはり抵抗感があるというか、法令上は十分な対策だといいつつも、そこに大きなハードルがあるので、過剰な対策を取ってしまうというところもあるのかなというのもございます。できれば他の制度、商習慣や税制といったところについても、完全には短期間ではできないかもしれないですが、検討も出てきてもいいのかなというふうに考えております。
 細かくはいろいろありますけども、以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい。どうもありがとうございます。
 では鎌田雅美委員、お願いします。
 
(鎌田専門委員)
 はい。日本汚染土壌処理業協会の鎌田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私ですが、ふだんはDOWAエコシステム(株)というところで、汚染土壌、地下水の対策の実務を担当させていただいております。この環境修復分野はちょうど2001年から携わっておりますので、今年で大体20何年という状況で、主に現地や場外における汚染土壌対策の開発及びその施工といったところを担当させていただいております。
 私どもの日本汚染土壌処理業協会について簡単にご紹介したいと思います。設立は2010年、正会員は現在12社ございます。汚染土壌の許可施設を有する会社で構成しておりまして、それに賛同される賛助会員15社の組織でございます。この組織の目的ですが、汚染土壌の適正処理の推進、適正な運搬と処理技術の研究研さんに関わる取組、汚染土壌処理業における諸制度の確立を促進することのご意見を言わせていただき、汚染土壌処理を適正に進められるようにしたいといったところを中心としておりまして、汚染土壌処理業の健全な発展に寄与することで、国民の皆様の健康保護に寄与するということを目的としております。
 主要事業でございますが、管理票の電子化について、この4月に電子化という要件が出ておりますが、2017年から運用を開始しております。それから土壌の処理方法という面でいきますと、乾式磁力選別処理工法の推進ということで、処理コストの削減、簡易化を目指した処理技術の普及ということを目指しております。
 次に2番目としまして、土壌汚染対策に係る全体の問題意識というところでございますが、私も昨年度の土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会から参加させていただいて、ご意見を言わせていただいたり等しております。既に委員の皆様がご発言されているとおり、法の運用というのが、やはり詳細になってきたことで、複雑でぱっと分かりづらいといったところが増えてきているのかなと思います。分かりにくさということだけを解消しても意味がないとは思っておりますけども、事実に基づく判断があるとよろしいのかなと思っています。その上で、土地を利用・開発するという行為と、環境を保持するといったことの両立がすごく重要だなと思っております。また、土壌と地下水の環境基準に関してですが、基準に関わる皆さんの認識というのが重要であり、それによってリスク管理や除去といった部分が両立されるのではなかろうかというふうに考えております。
 3番目としまして、土壌汚染対策法に対する問題意識ということでございますが、私どもの業界目線でお話をさせていただくと、二つございまして、一つは汚染土壌の適正処理ということで、処理の見える化というところから適正処理を推進していければと考えております。その中で、資料にも書いてあったような電子化ということがより推進されることで、ちゃんとこういうふうに土壌が処理されているというのをお示ししていけるような形ができればいいなと考えております。
 また汚染土壌の運搬の適正化ということについても、開発規模が大きなものになりますと、汚染土壌の運搬はかなり大変でございまして、汚染土壌の運搬基準における搬出期限の緩和と運搬のモードによっては、CO₂削減ができる部分があると思いますので、この部分の取組というか、最適化が実際の課題かなと思っております。
 それから、先ほども同じようなことを申し上げましたが、その上でのリスク管理と場外搬出の両立による効率化というところが必要じゃないかなというふうに考えています。場外搬出がコストだとか過剰なリスク削減になっているんじゃないかというご意見がありますが、やはり土地を開発する上で、例えば根切り工事で発生する土壌のような利用しない土壌が出ることとかがありますところ、うまく現場で設計していただけていると思いますので、そこはしっかり見た上で、最適でかつ効率のよい対策ができればいいなと考えております。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございます。
 では、川瀨弘靖委員、お願いします。
 
(川瀨専門委員)
 はい。名古屋市環境局地域環境対策部で土壌汚染の関係も含めて担当課長をしております川瀨と申します。
 私個人的には、土壌汚染対策法施行の平成15年から4年間担当者として担当しておりまして、課長級として、この3年間、計7年担当しております。その関係で、昨年度の土壌汚染対策法の施行状況等に関する検討会から引き継いで、今回参加させていただいております。この委員会では土対法を実際に運用している立場ということで、自治体の立場ということでお力になればと思って考えております。
 名古屋市の問題意識の部分でございますが、名古屋市では土壌汚染の担当者が6人いるところ、名古屋市でも東京都ほどではないですが、土地改変のケースが非常に多く、担当者はそれぞれ一人1日当たり四、五件、事前予約制で1時間ぐらいの打合せをこなしながら、それに加えて電話対応や区域の指定、台帳整備とか、そういった事務処理をやっておりまして、非常に忙しくしております。現行の土対法では、汚染の物質とか程度、あと性質ですかね、そういうようなもの、自然由来だとか、非常に濃いレベルも含めて、同じ枠組みで規制や手続がかけられておりますので、「この程度のレベルでも同じ事務量や業務量を事業主も自治体もやらなくちゃいけないのか」というふうに、お互いに思いながら打合せさせていただいてるという部分があります。その辺、今回、方向性でも、合理化という言葉がありますが、実際の土壌汚染調査結果を踏まえて、余分な特例をつくって新しい調査をやるのではなく、どういうふうにやっていったらいいのかについて合理化を図って、無駄のないような手続ができればというふうに考えております。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では、ここまでの委員のご発言に関しまして、事務局からこの場で回答とか補足など、もしございましたらお願いいたします。
 
(金井環境汚染対策室長補佐)
 各委員からご意見いただきまして、ありがとうございます。
 勝見委員からは、制度や運用が複雑化したので元に戻すという議論ではなく、20年間法律を施行して、データや知見が蓄積されている旨のご指摘をいただきました。このご指摘に関しては、資料7-2の報告書の13ページをお願いします。先ほどパワーポイントの資料でお示ししましたが、こちらの13ページの一番上、「基本的考え方」では、一つ目の黒丸で、法の施行から20年が経過し、この間様々な知見が蓄積をされており、その上で土壌汚染の状況の把握や健康被害の防止が着実に図られてきた旨が記載されております。こうした蓄積があるからこそ、今回、「法において実効性のある」とか、「合理化」ですとか、いろんなキーワードで現行制度・運用をよりシンプルにするというような議論もあったわけですが、こういった前提があるというところはよく意識をしながら、これから議論をしていきたいと、このように思っております。
 また、金見委員からは、既存の仕組み、制度が複雑化しているため、既存の仕組みそのものを見直すということも含めて議論をするべきであるという趣旨のコメントもございました。ここに関しては、先ほどのご説明の再掲になりますが、資料7-2の18ページにございまして、これが全てではないですけれども、例えば、今の調査という考え方は、土対法第3条や第4条などの中で行われているところ、そもそも地歴調査と試料採取等調査を分けるといった、基本の仕組みそのものを見直すというのも含めて、これからその可能性について議論していきたいとこのように思っておりますので、ご指摘のところを踏まえながら考えていきたいというふうに思っております。
 また、同じく金見委員から掘削除去が多いというところについてご指摘いただきましたが、先ほど今後のスケジュール(案)のところで、関係者からヒアリングを行うというご説明をさせていただいております。掘削除去がかなり多いということについては、理由や事情はそれぞれ個別に様々であり、原因が分からないと対策も考えようがないと思いますので、ヒアリングで各団体様にご意見や現場の情報をいただきながら対応を考えていきたいというふうに思っているところです。
 また、川瀨委員から、名古屋市では市役所の担当が6人いてというところについてご紹介いただきましたが、その自治体の実情の関連情報として、資料7-2の46ページ上段に、地方自治体の土対法担当部局の体制という資料をお付けしておりまして、自治体にも都道府県と政令市があり多少ばらつきがあると思いますが、専任にしても兼任にしても、体制の脆弱さが示されています。こういった自治体の体制の実情を見ながら、円滑に合理的に土対法を執行できるような知恵を、関係者でよく議論しながら見出していく必要があると、改めて理解をしているところでございます。ヒアリングでは、今回、本小委員会には東京都と大阪府、名古屋市にご参画いただいていますけれども、さらに小規模な自治体のヒアリングも、今、調整しておりますので、また追ってご案内したいとこのように思っております。
 
(甲斐環境汚染対策室長補佐)
 続けて、二、三追加でご説明させていただきますと、金見委員のほうから頂戴いたしました区域指定とそのビジネスへの影響について、先ほどいただいた足立委員のご発言とも関係しており、こちらに関しましては、主に自然由来等土壌の関係かとは存じますが、資料7-2の中では30ページの中段から片括弧2として、「自然由来等基準不適合土壌の取扱の合理化等」というパートがございまして、こちらの中で関係する記述がございますので、ご確認をいただけると幸いに存じます。
 それから、鎌田委員及び勝見委員のほうから頂戴いたしました基準値に関しましては、同じく資料7-2の39ページ目の一番上、「(6)その他の見直し事項」の片括弧1というところで、基準値についても点検をしていくといったこと、それから基準値の持つ具体的な意味が国民の方々に伝わるような取組を検討できないかといった問題意識を検討会からも提言いただいておりますので、ご紹介させていただきます。
 それから最後に、金見委員と川瀨委員から頂戴いたしました特例制度等をあまり新たにつくらないほうがといったご趣旨のご発言に関しましては、13ページ、先ほどご紹介いたしました中のうち、(2)の①の二つ目の黒丸のほうになりますが、個別の制度・運用の見直しを行う際には、関係者による能動的な土壌汚染対策に関わる運用、商習慣等を十分に踏まえた上で、特例措置を含めた新たな制度や運用を上乗せ的に創設することは可能な限り控えるべきといった考え方も、検討会からはご提言をいただいております。
 これらを踏まえながら、今後の議論をしていっていただけると幸いに存じます。以上です。
 
(大塚委員長)
 よろしいですか。どうもありがとうございました。
 はい。では、次に佐藤委員、佐藤哲哉委員、お願いします。
 
(佐藤専門委員)
 全国中小企業団体中央会の佐藤と申します。
 私ども、中小企業が単独では扱えないようないろいろな特定物質の含有状況を緩和するために、組合という共同体をつくって対応しておりますが、それを支援するというような役割を持っています。特にこの土対法の関係でいきますと、クリーニング屋さんの組合とか、製造業でいくとメッキの組合とか、こういったところが汚染物質を扱っている業種になりますので、こういったところの声をいろいろ聞いております。
 そういうような中で聞こえてまいりますのは、今回仮に、地歴調査の契機を拡充するというようなご提言がありますが、実態からすれば、廃業のときの地歴調査というのは、実は資金的な余裕がなく、半分以上が調査猶予(一時免除)の状況になっています。したがって、もし地歴調査を仮に行うということであるならば、原因である資金状況とか、技術的なサポート、こういうものがどうしても必要になってまいります。それから、事業承継のときも調査契機になっておりますが、例えば父親から子供に事業を承継する場合には、同じ事業所で同じ家族がやるわけなので、事業承継が理由で地歴調査を行うということについては、なかなか納得感が得られないというような状況かもしれません。したがって、こういったような様々な事情で調査猶予されている事例、それから承継などの経費などにつきましては免除するとか、資金的もしくは技術的に不足する場合には、資金援助、技術援助といったようなものを手厚くしていただく必要がどうしてもあるかなと考えています。これは資料7-1の6ページに、問題の指摘として挙げていただいておりますけれども、さらに実態を申し上げれば、先ほど述べたような状況です。私どもが一番危惧していますのは、ご承知のとおり、今後、コロナ対策が終わっていろいろなサポート措置がなくなってきますので、資金繰り、人材不足、そして後継者不足で、廃業、倒産がさらに増えていくだろうと予想しており、そうしますと、今後の地歴調査の契機に該当するケースが非常に増えてくることです。現状からすると、地歴調査を仮に拡充していただいても、なかなか対応が難しいのではないかということが一つです。
 それから2番目は、仮に地歴調査によって試料採取等調査が必要となった場合ですが、例えばクリーニング屋さんですと、非常に小さな事業所で稼働していますので、その狭いところで上に建屋と設備がある中で、どうやって試料を採取するのかとか、そういう技術的な問題、さらにそれを除去しろと言われたときに、そのような技術があるのかといったような疑問もあります。そして、調査等は土地の所有者が義務を負いますので、仮にテナントを借りて操業していた場合、調査で土地の所有者が汚染に気がついて、今まであなたに貸していたところが汚染されている、あなたが汚染の原因だと思うから浄化費用を全部出してくださいとかですね、契約に新しい制約条件が盛られていってしまう。それから土地を所有して事業を行っているような中小企業の場合には、汚染がきっかけになって風評被害が発生し、自分たちが銀行の担保価値として持っている土地の価値が毀損してしまう。それがまた次の資金繰りの焦点につながる。いろいろな状況が現に起こっていたり、危惧されていたりするという状況です。
 したがいまして、こういったようないろいろな問題が中小企業では山積しておりますので、新しく改善をしていただくということについては賛成ですが、やはり健康リスクを防ぐ、こういった大きな目的の中で、リスクより過剰であるとか、「念のため」といったような発想というのは、できるだけやめていただきたいというのがお願いでございます。
 また自治体の方々も、今サポートをいただいておりますが、先ほどのように人が足りない、それから余裕がないというような状態で、なかなかご相談に行こうと思っても時間がかかる、余裕がないということですので、ぜひ自治体の方々へのサポートもお願いしたいですし、また自治体によっても法の解釈などについて担当者による差といったようなものがないように、明確な基準と運用方法といったようなものを明らかにしていただきたいなというふうに考えております。
 ちょっと長くなりました。大変失礼いたしました。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では、島田曜輔委員、よろしくお願いします。
 
(島田専門委員)
 はい。私は日本建設業連合会の土壌汚染対策ワーキングの座長を務めさせていただいております。私個人は、ゼネコンの土壌汚染対策を担当する部署ということで、2000年の少し前から、この業界のことをやり始めております。したがいまして、法律ができる前から油汚染の対応も含めて、長年調査・対策、そして技術開発を行ってきました。
 日建連のメンバーの中も、やはり同じようにゼネコンのところで業務を行ってきているメンバーが多く、日建連としては、調査・対策を請け負う施工者側の立場からいろいろご意見を申し上げていきたいなというふうに考えております。
 今回、いろいろと複雑化してきている法の中身を、少しでも合理化していこうということで、私どももそれには非常に賛成というふうに考えておりますが、一方で、今まであったものがなくなってしまうとちょっと困るなというような内容もございまして、その辺は少しお願いしていかないといけないなというふうに思ってございます。
 例えば、指定区域の範囲を立体化して上下で区切っていくということで、これはこれで非常に面白いといいますか、画期的な考えだというふうに思いますが、これによって、少し調査のやり方が今までと変わってしまうところもあるということで、例えば深さ限定調査がもしなくなってしまうと、ちょっと困るなというような意見もございます。深さ限定調査というのは、形質変更をある深度までやるといった場合、その1メートル下までの限定で調査をするというようなことになりますが、大きな工場の中で一部を浅くを堀るようなものだと、敷地全部を一律に調査するというよりも、浅い部分は深さ限定調査を実施することによって、お客様の負担も軽減できるような調査の仕組みということで、これはこれでいいというふうに思っています。
 それからもう一つ、地歴調査に関して、やはり結果を承継していくということは非常に大事だなというふうに思っておりまして、そのために、廃止時等に調査をするのではなくて、もし過去のデータが残っているのであればそれは非常にありがたい。お客様にいろいろヒアリングする中で、やはりもう昔の人はいないということで、詳しい状況を聞けないということが多々あります。そういう中で、昔実施した調査結果があれば、それがデータとして承継されていくべきだろうというふうに思っております。今回地歴調査契機が新設されるというようなお話もありますところ、新設をしたときに、土地所有者が承継していくということになろうかと思いますが、ただ、土地所有者だけで承継していくと、やはりどこかで情報が消えてしまうというようなこともございますので、土地所有者及び行政も一体となった承継、データの管理の仕組みというものが非常に大切になってくるのではないかというふうに思います。
 ほかもいろいろとございますので、またヒアリング等させていただけるのであれば、そのときにいろいろお願い申し上げられると思います。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 ありがとうございます。
 では、袖野玲子委員、お願いします。
 
(袖野専門委員)
 ありがとうございます。芝浦工業大学の袖野と申します。
 私は20年間ほど環境省におりまして、その後、大学のほうに移りました。土対法の関係で言いますと、当時、土壌課の下にありました地下水室で汚染物質の地下浸透防止などの担当しておりました。大学のほうでは、環境政策全般ということで調査研究を進めておりますが、特にSDGsの観点でということで、様々な課題の横串的な見方というものについて、特に関心がございます。
 今般の土対法の見直しに向けてということなのですが、土対法制定当時に廃棄物処理の考え方を入れたということで、土対法には随所に廃掃法の影響が見られるところ、この廃棄物処理の考え方であったり、地下水や水質の考え方であったり、こういった他法令との整合性を図っているというところは一つ重要かなと思います。
 一方で、土壌という特性のあるところで、例えば廃棄物ですと性状も様々なものの考え方を土壌に入れていくというのは、やはり厳し過ぎるなというのは、当時も感じておりまして、その部分でリスク管理の考え方を入れながら合理化できるところはしていくということなのかなと思います。その中で、先ほど掘削除去は非常に偏っているという話もございましたが、やはり関係者から聞いていますと、そもそも汚染が見つかったときに掘削除去しなければいけないと思い込んでいる方がいたりであったり、封じ込めでもいいのは知っているが風評被害が怖くて掘削除去せざるを得ないであったりというようなことを聞いておりまして、そこはやはり、リスクコミュニケーションの部分が重要なのかなと考えています。やはり難しいですが、リスク管理をしていくというところでは、方々の理解を得ていくという部分も非常に重要な要素なのかなと思います。
 今、基本方針のところで、サステナブルな制度を目指していくということは先ほども説明ありましたが、SDGsの中でも様々な課題を同時に解決していくというところで、土壌をきれいにするというだけではもはや駄目で、CO₂排出を抑える、資源循環していくというような中でのビジョンということになりますので、全体を見ながらサステナブルな方向性というものを今回見いだしていければいいなというふうに思っております。
 資料については、これから検討されていくことなのかなと思いますが、地歴調査の情報の整備というところが面白いなと思っておりまして、アセスの問題の中でも、地歴調査でかなり時間を取られたりしていますので、他分野でのシナジー効果なども出てくるのかなと思っております。この中に、国の関与というようなことが書かれていましたところ、今後の検討だとは思うのですが、どうやって国が関与できるのかなというところで、イメージが事務局のほうにありましたら、教えていただければと思います。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございます。
 では、寺浦康子委員、お願いします。
 
(寺浦専門委員)
 ありがとうございます。弁護士の寺浦康子と申します。
 私は分野としては企業法務を主に扱っておりますが、日本弁護士連合会、第一東京弁護士会等の環境委員会の委員をしておりまして、その観点でも環境分野について興味を持って、ほかの弁護士等と一緒に調査研究をしているという状況です。
 その観点で申しますと、特に日弁連のほうの弁護士の興味分野としましては、やはり汚染土壌の適切な管理というところで、例えば、汚染された土壌が不適切に盛土に使用され、それによって有害物質が流れ出て被害が出るということもありますので、そういったことがないようにという観点で見ている弁護士は多いということを、ご紹介させていただきたいと思います。
 それから、私自身のほかの関心事としては、土対法は土地所有者に調査それから対策の義務を負わせているということで、先ほど石巻委員からもご指摘がありましたとおり、かなり海外の制度とも違う観点を取り入れているということがあります。土地の所有者というのは、大企業であるとか専門の方だけではなくて、一般市民も多くいらっしゃる中でそういった義務があるということはあまり広く知られていない。土対法施行後20年経ったとはいえ、そのような義務について知らない人も多いという中で、例えば土地を貸すときであるとか、譲渡するとき、あるいは利用するときに、調査義務や対策義務があるというようなことはなかなか考えておらず、事前に契約(例えば契約書)の中にそういう観点を盛り込むことができるのはその知識がある人のみです。知識がない土地所有者等というのは、そういったものが盛り込めないままとなっていることがあって、後になって、そんな義務があるんだと知って困るというケースが非常に多いということがあると思います。ですので、これ以上、土地所有者の義務を拡大するというのは、大きな障害になるのではないか。ただ一方で、地歴調査の結果を残し、汚染の拡散を防止していくという必要性はありますので、地歴調査をした結果を、行政が、もっとも地方自治体は大小さまざまで、人手不足というのがありますので、やはりここは国のほうで管理をするというふうなことを考えていただきたいというのが、素直な関心事でございます。
 それから、土地所有者が全く汚染原因に関わっていないという場合の、その汚染原因者への負担への移行です。先ほどありましたとおり、資料7-2のその他というところの一つ目にあります。これまでは措置を実施した場合、汚染原因者にその費用求償ができるが、調査費用等について求償できるような法制度にはなっていませんので、調査費用についても汚染原因者に求償できるような仕組みであるとか、そういったことがまとまればいいなと考えております。
 取り急ぎ以上です。
 
(大塚委員長)
 では、ここまでの委員のご発言について、事務局からこの場で回答とか補足がもしあればお願いします。
 
(甲斐環境汚染対策室長補佐)
 はい。各委員の皆様、ご意見いただきましてありがとうございます。
 既にご発言いただいた委員へのお答えで申し上げたような点は、適宜割愛をさせていただき、ポイントについてご回答させていただきますと、まず佐藤委員、それから寺浦委員のほうから頂戴いたしました、土地所有者の方のご負担、あるいは特に中小企業へのご負担といったところにつきましては、まさに今後のヒアリングやご議論によってどういった対応を環境省として考えていくのかところかと存じます。資料7-2の中で申し上げると、18ページのほうに、スライドのほうにも転用をさせていただいた調査契機等の見直しの方向性のイメージがございますが、こちらの一つ手前の16から17ページのほうで様々な記述がございますところ、こういった記述の中に、関係者の方々の商習慣、契約等の在り方とかそういったものもしっかり伺いながら、この議論を深めていくことが必要ということを、検討会のほうでご指摘いただいておりますので、そういった議論をこれからしていけたらというふうに考えてございます。
 それから、同じく佐藤委員のほうから頂戴いたしました、調査の方法とか専門的なところというところがなかなか難しいといった関係につきましては、スライドのほうではあまり個別に記載してございませんでしたが、資料7-2の37ページにおきまして、指定調査機関に関しての現状と課題や、考えられる見直しの方向性についての記述がございまして、この中で調査実施時の調査の方法などについて、適切に土地の所有者の方々にしっかり説明いただくような仕組みをつくるべきではないかとか、そういった提言をいただいておりますので、こういったものも踏まえて、これから議論をお願いできればというふうに考えております。
 それから、島田委員のほうから頂戴いたしました深さ限定調査等の関係につきましては、これら調査方法の全体的な見直しの仕方につきましては、このご提言であったり、これからのご議論であったりを踏まえて具体的に検討していきたいというふうに思っておりますので、ご提言のとおりにすべきでないところもいろいろ出てくるかと思います。引き続きご意見いただければというふうに考えてございます。
 それから、袖野委員のほうからご質問いただいた地歴調査の承継に関してでございますが、こちらにつきましては、イメージというところもなかなか難しいところもございますが、非常にご議論がいろいろ出てくるところかなというふうに考えてございます。そもそも地歴調査の結果というのが、どういった公益性があり、誰に帰属してとか、そういったところからしっかり議論を積み上げていって、国の関与というのも、環境省自身の関与なのかとか、いろいろな議論が組織的にもあり得るかとは思いますので、今日のご意見も踏まえて、これからしっかり受け止めて議論していきたいと思います。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございます。
 そうしましたら、続けて、中込理欧委員、お願いします。
 
(中込専門委員)
 ありがとうございます。私、日本鉄鋼連盟環境保全委員会委員長を拝命しております中込でございます。
 私、普段はJFEスチール環境防災リサイクルというところで業務に当たってございます。環境防災リサイクル全般の業務でございますが、入社以来は、設備部門に配属されまして、製鉄所で長らく勤務してございました。土壌汚染対策の業務との関係でございますが、製鉄所の環境管理部門にいたときに、カーボンリサイクルの試験プラントの建設がございまして、かなりの土木工事のボリュームのある建設工事でございましたが、当時の自治体のほうから、地下水の保全専門委員会を設置して、その審議を受けて着工しなさいという指示がございまして、かなり苦労して工事に当たってきたという経緯がございます。その中でも地下水、それから土壌の採取等の調査から、汚染物質の拡散防止、具体的な方法指示、それから地下水の浄化対策、全般的にかなり苦労して行ってまいりました。
 鉄鋼連盟としての土対法に対する問題意識でございますが、各委員と同様の課題を持っておりますが、鉄鋼連盟といたしましては、特に製鉄所の土地の中での形質変更、ここに関わるところが非常に大きい影響がございます。製鉄所の土地というのは地下水が飲用される可能性がほぼないということと、かつ関係者以外の者の立入りを制限している区域ということでございますところ、実際は形質変更時要届出区域、こちら健康リスクのない区域ではございますが、要措置区域と同程度の、形質変更のための施工方法が求められるというところがございます。製鉄所の中の工事は、おおむね建設規模が大きいものでございまして、建設工事の高コスト化、工期がかなり延長されるというところが大きな課題でございます。
 先ほど、勝見委員のほうからもございましたが、製鉄所の中、かなりいろんなデータの蓄積がございまして、こちらを踏まえまして、リスクに応じた、めり張りの効いた規制に、この際、見直していくべきだという認識でございます。
 この小委員会を通しまして、ご議論のほう、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 1点だけすみません。要措置区域程度の措置を求められるというのは、社会的にというご趣旨ですよね。
 
(中込専門委員)
 はい。そうです。
 
(大塚委員長)
 はい。分かりました。
 では、西井裕子委員、お願いします。
 
(西井専門委員)
 はい。大阪府立環境農林水産総合研究所の西井でございます、
 私は過去に大阪府の行政におきまして、法律が施行されて、まだ今ほど運用が複雑でなかった当時と二、三年前ですね、現行法になってからのこの二度、土壌汚染対策に携わっておりました。現在は研究所におきまして、行政と情報共有しながら、地下水の調査分析とか、技術支援を行っておりますので、当委員会ではそのような立場で意見をさせていただきたいと考えております。
 土壌汚染対策法につきまして、今まで委員の皆様方からいろいろご意見いただいたものとかぶるところもございますが、法規制に加えて、ガイドラインが膨大なページ数になって、この対応が必要といった状況になっておりまして、そのために土地所有者や自治体の負担が大変大きくなっているということがありますので、やはり分かりやすく合理的なものに転換していくという方針には、大いに私も賛同いたします。一方で、自治体にとりましては、ガイドラインなどに望ましいと記載されていることを、土地所有者などにどこまで強制するかというのを見極めるのが大変難しく、指導の根拠を問われたときに、その説明に苦労することもあります。また、先ほどもご意見ありましたが、自治体によって判断が異なるといったことによりまして、土地の所有者等に混乱が生じてしまうことも実際にあります。
 例えばですが、有害物質使用特定施設を廃止して、調査義務が一時免除されている土地について、自治体が気づかないうちに第三者に売却されてしまうことを避けるために、大阪府では、毎年、土地の所有者に土地利用状況の報告書の提出を求めているのですが、これは任意であって強制ではありません。また猶予期間中の土地をホームページで公開などもしているのですが、このような努力をしていても、なかなか所有者と連絡が取れずに苦労するといったこともあります。ほかの自治体におきましても、猶予期間中に土地が第三者に売却されて、元の所有者の所在が分からないといった深刻な事態になるという可能性もあると思います。
 今後の見直しの方針に当たりましては、分かりやすい制度にするというだけではなく、リスクの管理上、汚染拡散を防止する上で必要だということをしっかりと見極めて、その部分は自治体の運用には委ねず、法制度化していくということも重要だと考えております。
 検討会の報告書におきまして、いろいろと問題提起されていて、よく現場の実態もまとめられていると思っております。今後、また具体的な方針について意見をさせていただきたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございます。
 では、原淳子委員、お願いします。
 
(原専門委員)
 産業技術総合研究所の原と申します。よろしくお願いします。
 産総研では環境問題に対して、大気、表層水、土壌地下水、それぞれ対象としているものによって研究グループが異なるのですが、私が所属しているグループでは主に土壌地下水汚染を対象とした研究をさせていただいております。当初、私がこの土壌汚染の研究をし始めたとき、ナチュラルアテニュエーション(自然減衰)という評価をメインのテーマにしておりまして、汚染物質の地下での動態ですとか、分解によってどのような副産物ができるか、それが人にリスクのあるものなのかというような観点で研究を進めておりました。
 業務と土対法との関連ですが、我々のグループでは、基準値の制定ですとか、物質の抽出方法、また計算ツールと、それぞれメンバーが協力・ご意見させていただいてきたという経緯があります。また近年では、我々は経産省に所属しますので、知的基盤整備といって、表層の土壌のバックグラウンドの調査をするという業務をさせていただいております。それに関連して自然由来の重金属類のバックグラウンドの調査をして、そのリスク評価をして見える化するといったような業務もさせていただいております。
 それに関連してですが、そういった業務を行っておりますと、やはり地方自治体との関連も強まりまして、自然由来の重金属に関する問合せ等も増えてきているのが現状です。自然由来の土壌に関しましては、自治体によって扱いの温度差がとてもあるというのが実情です。恐らく、臨海部の区域指定とか、自然由来の区域指定の制度の複雑さから、自治体によってその理解が異なると感じています。今回の検討は、合理化するということで、分かりやすい方向に進める方針です。このような方向性に関しては賛同しております。
 また現在、処理している土壌は、処理しなければならない土壌よりも、処理しなくていい非対策土壌のほうが多く処理されているという実情もありますので、ここの法整備、合理化について、明確に閾値をつくって、事業者が合理的な対策をできるような方向性にかじを切れることを希望しております。
 以上です。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございます。
 では、ここまでの委員のご発言に関しまして、事務局からこの場で回答とか補足があればお願いします。
 
(金井環境汚染対策室室長補佐)
 はい。事務局でございます。
 1点だけ、自治体関係のコメントについて触れたいと思います。先ほどは佐藤委員から、今さらに西井委員と原委員からも、自治体による判断にばらつきがあるという趣旨のコメントをいただいていたかと思います。こちらは報告書の40ページに、ガイドライン等の法の解釈・運用等に係る資料の改善等という項目で、まさにその部分が論じられております。土対法の運用は自治事務であることから、基本的に自治体の判断ということになるのですが、ただこのガイドラインは、制度の複雑化もあって総量が1,600ページを超えており、長大化、複雑化をしているという状況がございます。実務に活用しやすいガイドライン等の資料の在り方について幅広い関係者と意見交換しつつ、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。環境省の立場からも、具体的に書いたほうが現場で回るのか、それともなるべくシンプルにしたほうが回るのか、様々ご意見いただきながら考えてまいりたいと、このように思っております。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 では、古川隆委員、お願いします。
 
(古川専門委員)
 はい。経団連の環境管理ワーキンググループの座長を務めております、古川と申します。
 私は住友化学のレスポンシブルケア部という部署で仕事をしており、環境と気候変動全般を担当しておりまして、経団連の座長も務めております。炭素と炭素をリアクターの中で結合させる有機合成が専門でして、免疫抑制剤や、農薬である殺虫剤や除草剤などの生理活性物質を作ることがもともとの専門です。土対法には研究棟の建設の際に関与しまして、その際に随分苦労したという経験がございます。その後、本社のレスポンシブルケア部に移り、土対法も含めた環境と気候変動全般の業務を7年以上、務めております。
 全体の問題意識に関しましては、資料7-1の4ページに記載がある通り、全体のネガティブな要素をできるだけ取り除くとの方向性には賛同いたします。この方向性に向けて、産業界の意見をストレートにお伝えさせていただき、皆様にご議論いただきたいと思っております。
 発言に当たり、2点ほど気にしていることがございます。私は産業界の代表として、ストレートに意見を申し上げますが、土対法のステークホルダーはとても多く、必ずしも皆様に聞きごたえのよいものではないかと思います。特に、運用を担当されている地方自治体の方々にとっては、あまりよい印象を受けない発言をするかもしれませんが、温かい気持ちで聞いていただきたいと思います。もう一点は、今回の議論の中での発言が、条例に関わる法定受託事務の部分にまで踏み込んでいるように捉えられてしまうと困りますので、あくまでも発言の意図は土対法の見直しに関する意見であるということは申し上げたいと思います。
 次に3点目の土対法の見直しに関し、経団連としては四つの大きな視点で見ています。
1点目は、複数の委員からご意見が出されましたが、混乱が生じやすい運用面の課題についてです。汚染のおそれがある場合や、健康被害のおそれがない場合については、なかなか判断が難しいかと考えています。具体的な事例としては、人が使っていない飲用井戸がある場合や、上水道が整備されていている場所にて井戸が近接にあった場合の対応や、試薬レベルの特定有害物質の使用があったときの対応などが挙げられます。法の解釈だけでは難しいとの感触は、既に皆様共有されておられる部分があると思いますので、今回の運用面の見直しについて、分かりやすく合意を得られればよいかと考えています。
 2点目は、地歴調査についてです。この点も運用面に関わるのですが、産業界としては過度な負担については当然懸念しております。どこまで地歴情報を遡るのかや、調査の対象範囲、一部の有害物質使用特定施設が廃止されたときに工場の敷地全体で調査を行うのかといったことも含め、明らかにしながら、よい方向に持っていければと思っています。
 3点目は、2点目にも関連しますが、情報の承継についてです。産業界としましては、公的主体が責任を持って土壌汚染に係る情報を管理していくことが、最終的にはよいのではないかと考えています。大企業は事業主体が情報を引き継いでいけると思いますが、法律の枠組みでうまく運用していくためには、先ほどご発言があったと通り、公的主体と連携しながら情報を管理することが必要ではないかと考えています。
 4点目は、水濁法上の事故発生時の対応についてです。これも何人の委員からご発言があったと思いますが、私どもの視点では、水濁法で対応すべき部分と土対法で対応すべき部分は当然違いがあります。水質は汚濁防止法であるところ、土壌は汚染対策法であり、汚濁防止法ではありません。したがって、今回、分かりやすい方向に見直すことには賛成ですが、そもそも土対法が持つ法の趣旨を逸脱した、追加的な措置を議論することには抵抗感があります。あくまでも今回は土対法の中での追加的措置がないような形で、議論を進められればよいと思っております。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では。光成委員、お願いします。
 
(光成専門委員)
 はい株式会社FINEVの光成と申します。よろしくお願いいたします。
 私は前職含めて22年ほど環境やサステナビリティ全般の調査、コンサルティングをしておりまして、土壌汚染についてもほぼ同じ期間、90年代後半にアメリカでサイトアセスメントの勉強をしてから、日本の土壌汚染対策法ができて以来続けています。仕事内容としては、土壌の調査とか浄化をされる企業への市場調査・技術動向調査や、海外の法制度調査、土地を持っていらっしゃる企業には、コストを削減しつつリスク管理をどうするかというようなアドバイスをさせていただいております。
 また、土壌汚染周りの会計処理とか、跡地問題とか、日本不動産鑑定士協会連合会での土壌汚染のある土地の評価とか、保険とか、土壌汚染に関わる周辺のところを一通り、企業の皆様と勉強させていただいたという形でございます。
 今回の検討にあたって、土壌汚染対策法施行後20年間、国内で大きな健康被害もなく進んだというのは、非常にいいことだなと思っております。一方で、本制度ができた当初から比べて、冒頭で局長からお話ありましたように、世界的な脱炭素とか、自然資本、企業のサステナブル開示などが、日本も国際的なルールに沿うような形で調和するような形になってきておりますので、土壌汚染のほうも、そういった視点も踏まえた見直しがなされるといいなというふうに思っております。
 具体的には、先ほど他の委員の方からお話ありました自然由来等土壌の取扱いとか、工業専用地域とか、データのデジタル化とかというのが進んでいただくといいなというふうに思っております。また、脱炭素とか自然資本、生態系もそうなんですが、長期的な目標、例えば2040年、50年までにどういう方向にするのかというのをつくっている国もございますし、脱炭素に係る事業転換、中小企業の廃業の増加などを踏まえて、跡地をどうするのかという議論も出てくるかと思います。跡地において、脱炭素に貢献する場合のインセンティブの検討なども、何らかの議論をしていただけるといいのではないかなというふうに思っております。
 以上でございます。
 
(大塚委員長)
 はい。ありがとうございました。
 では、最後に私が発言することになっていますが、私はこの土壌汚染対策法ができる前から、環境省との関係でも検討させていただきました。91年に森嶌先生が中央公害対策審議会の中で小委員会の座長をやられたのが最初で、そのときから関わらせていただいていますが、2002年に土対法ができたときは、鈴木室長はいらっしゃったなと思いますところ、汚染原因者のところも含めて侃侃諤諤の議論をしていたので、搬出土壌のところについては十分な規定が置けなかった。その後、2009年に搬出土壌の規定が入り、さらに調査の契機として今の法4条が入った。また、掘削除去が多いということがあったので、現在の要措置区域と形質変更時要届出区域の二つに分けたのも2009年です。そのため、2009年になって初めて、土対法全体の制度が大体固まったということだったが、2017年の改正辺りから自然由来の土壌汚染をどうするかという話が出てきていて、2017年に法律の中に初めて自然由来の汚染に関しての規定が入りました。ただ、ご指摘があったように、今まさに、人為的な汚染の場合と自然由来汚染の場合とで、基本的には土地の区域指定をしていくということでは同じような仕組みになっていることに関して、いろいろ批判が出てきているという状況があり、さらに先ほどご意見もあったように、自然由来については基準値に関しての議論もあるというような状況があり、まさにこれから議論しなくてはいけないところだなというふうに思っているところでございます。
 あと二、三点だけ申し上げておきますと、私の勝手な感触ですが、一つは分かりやすくという話は、これは2009年、2017年改正のときに、やはりすごく細かいことになっていってしまったので、先ほど西井委員がおっしゃったように、ただ分かりやすくすればいいだけではないというのはそのとおりで、そこは気をつけないといけないなと、私も思ってはいる。また、ガイドラインが電話帳みたいになっているので、そこは何とかしないといけない。全部読む人がどのぐらいいらっしゃるかみたいなことになってきてしまうと、ガイドラインをお作りになっていらっしゃる方、ものすごい一生懸命作っていらっしゃって議論されているので、とてもすばらしい仕事をやられているんですけど、ガイドラインがなかなか使えなくなってしまうと困ってしまうことが出てきています。
 EUとかわかりやすい資料作成は上手ですよね。EUのようにやったらいいということを言うつもりはないですが、若干見習ってもいいかなというところはあります。ある程度分かりやすくしないと、国民の方が見ないとか、大企業のごく一部の人だけが対処しているみたいなことになってしまうと、あまり有効ではないものですから、そこは考えなくてはいけないというのは、今回の第1点だとは思います。
 それから第2点として、情報の承継のようなことがありますが、これは先ほどからご議論があるように、まさにこれから人口減少により自治体の担当者の数が減っていかれるような状況がありますので、情報がどんどんなくなっていくということに対してどうするかというのが、最大の喫緊の課題という趣旨だろうと思います。そのときに、どこまで情報が出せるかとかいろんなことはあります。
 それから三つ目に、汚染原因者との関係の話は、先ほど寺浦委員がおっしゃったような話があり、調査のところは汚染原因者には費用負担をしていただくようなことになっていませんので、それが今回の報告書の中に出てきてはいるということですね。
 四つ目に、多くの方がご指摘になった自然由来の問題は、先ほど申し上げたようなとおりでございまして、要件としてその基準値をどうするか、さらに効果として今、区域指定をしているのをどうするかという問題があり、ではそれをどういうふうに攻めていくかということを、ぜひご議論いただけるとありがたいかなと思っています。
 第5点は、基金の話については、私は前から言っているのですが、基金をもっと活用しやすくしていただきたいなと個人的には思っています。他の仕事との関係とかもあり、なかなか難しいかと思いますが、資料7-1の最後のところの、負担能力が低い人は基金を使う可能性もあるのかなと思って見ています。基金については、実は現在、活用に関しては非常にシャビーになっていて、それは使いたくないからではなく、条件が厳しいということがありますので、ぜひここは環境省に考えていただきたいと個人的に思っています。
 これからどんどんご議論いただいて、いいものをつくっていただければと思っています。今の私の意見は私の勝手な個人的な意見でございますが、一言申し上げさせていただきました。今の委員の意見に関して、補足とかお話、ご回答いただけることがございましたらお願いします。
 
(鈴木環境汚染対策室長)
 環境汚染対策室長の鈴木でございます。
 光成委員、古川委員からいただいたご意見について、これまでも少しご紹介しましたが、報告書のほうにそれぞれ目出ししてある部分も一部ございます。最後、大塚先生から全般的なご意見もいただきました。今後、先ほど申し上げたように、複数回に分けて、関係業界の皆様からの問題意識やご意見を具体的にヒアリングさせていただいた後に、個別の論点についての議論ということで、またご意見を改めていただいて、論点として進めていければと思っております。
 事務局からは以上です。
 
(大塚委員長)
 そうですか。
 はい。それでは議題の3、その他に行きたいと思います。その他ですけど、事務から何かございますでしょうか。
(なし)
 はい。では本日の審議はこれで終了とし、議事の進行を事務局にお戻しします。
 
(長谷川土壌汚染対策係長)
 本日はご多忙のところご出席いただき、また大変活発なご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回以降の予定でございますが、議題1でもご説明いたしましたとおり、関係者からのヒアリングを予定しております。次回の日程は追ってご案内いたします。
 また、本会の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様のご確認を得て、環境省のホームページに掲載いたします。
 予定時刻を超過してしまいましたが、以上をもちまして、本日の土壌制度小委員会を閉会いたします。ありがとうございました。